プロレス統計

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各種数値で見るネットプロレス大賞2020:最優秀試合編

ネットプロレス大賞2020の発表からはや1ヶ月ほどたってしまいましたが、先日ふとブラックアイ(@black_eye2)さんがベストバウト賞について呟いてらしたんでちょっと思い起こしてベストバウト部門に関してちょっと解析してみたやつです。

最優秀団体部門のやつ↓

各種数値で見るネットプロレス大賞2020:最優秀団体編 - プロレス統計

 

集計方法

最優秀団体編では全投票リストから自分で集計をしたんですが、こちらは表記揺れなどが少ないから巧くできたんですが、
ベストバウト部門はかなり表記ゆれが多く、機械的な集計はかなり難しいので今回は集計後の結果をスクレイピングしてその結果で以下の解析を行いました。
この場合、得点が9点以上の試合のみが結果に表示されているので注意が必要ではあります。
集計期間は2012~2020年のネットプロレス大賞の最優秀団体部門の結果になります。

2020年の団体別ノミネート割合・総得点

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2020年の同部門では169試合がノミネートしておりますが、各団体別のノミネート試合数を調べてみたのが上図。
ノミネート数が最も多かったのは新日本で約2割が新日本での試合だったという感じで、それにDDTとNOAHがほぼ同規模で続く感じ。
一応全体に対して4%以上を占めた団体について載せていますがいずれも独自の配信サイトなどを持っている団体が揃い、中継のみの大会が増え、さらには入場制限もあったことでより一層そういったシステムの重要性が増したかと思われますね。

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同様にして各団体の総得点を割合で示したのが上図で、
最も多かったのは新日本で37%を占めていましたが、それに次ぐのが27%のNOAHでこの2団体が3位以下を大きく引き離す形になりました。
この形は最優秀団体部門での1位票もこのように新日本・NOAHが多く票を集める結果になっており、ベストバウトへの投票と団体1位枠への投票にはなんらかの相関というか同じ意思決定が絡んでいるような感じもします、ベストバウトに推すからこそ最優秀団体である、的な。

こうしてノミネート数と総ポイント数を比較してみると、比較的近いポイント数であるとはいえ候補となる試合が多く分散もした新日本と、比較的候補が絞られたNOAHというような対比もできそうです。
この両団体にして言えばそもそもの興行・試合数が結構異なるという気もしますが新日本が113大会NOAHが79大会となっており、興行数の比と比べるとノミネート試合数の比の方が大きい感じはしますね。
このギャップについては何が原因なのかは気になるところではあります。

ノミネート試合数・総ポイント推移

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ノミネート試合数について2020年に上位だった5団体、新日本・DDT・NOAH・全日本・スターダムについて2012年以降のノミネート数についての変化を調べたものがこちら。
こうしてみるとノミネート数自体は、そもそもの興行数減少などもあって、新日本、NOAH、全日本の3団体で減少、DDTが微増でしたがスターダムは2018年以降は着実にノミネート数が増えている感はあります。

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先ほどと同様に総ポイント数の推移を見てみると団体部門ほどではないですがNOAHが2020年に着てかなり票を伸ばしていることが分かりますね。

月別ノミネート数

ここまでは団体ごとの結果などを見てきたわけですけど、割と本題としてはここからで、ネットプロレス大賞におけるベストバウト部門自体への解析も少しやってみました。

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上図は2012~2019年にかけての各月のベストバウト部門ノミネートの試合数になります。
興行数に関しては1年を通しておおよそ変動はない*1のですが、それに対してノミネートする試合数はかなりバラツキがある感じはしますね。
7,8月が飛びぬけて増えている感がありますが、これに関しては特定団体が多いとかそういう感じもなく、全体として7,8月はノミネートする試合が多い感じでした。
それ以外でいうと全体の傾向としては年の後半に行くほどノミネート数が多く、逆に年始ほど少ない傾向が見て取れると思いますが、
これに関してはやはり、投票するのが人であり、根拠が記憶と印象であるから記憶に新しい年末の試合がノミネートしやすく、年始の試合ほどノミネートしづらい傾向が存在するとみられます。

2020年版月別ノミネート数・ノミネート率

で、ここまでが通常の年に関する解析なんですが、興味があるのは2020年の事。
2020年はご存じのように3~6月にかけて興行の自粛期があり、無観客興行中継などもあったものの興行数と試合数も減っていたわけです*2
それによる影響はなかったのか?とちょっと調べてみたいと思います。

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上図は青色で2012~2019年の同部門での月別の平均ノミネート数を調べたもので、オレンジ色で2020年の実際のノミネート数を示しています。
予想通り、2020年のノミネートは通常と大きく異なっているのが分かります。

まず例年と比べ1,2月のノミネート数がかなり多い
これはコロナ第一波以前の有観客+歓声アリの興行を行っていた(現時点)最後の時期であり、例年よりもその当時の記憶が濃く残っているのか、それとも歓声がある方が良い試合に感じることが多いのか、いずれにしろ例年よりもベストバウトに推されることが多かったようです。

次に3~5月の興行自粛期に関しては例年比でもかなりノミネート数が少なくなりました。
これに関してはそもそもの試合数が少ないことが関係があると思われます。
しかしまだ有観客興行再開の半ばだった6月は例年以上にノミネートが増えており、有観客興行の再開もあり試合数が増えたことも関係があるとは思います。
しかし上位に入っているのを見るとDDTやNOAHのTVマッチや新日本のNJC(無観客興行)などが入っており、無観客であっても自粛明けが近づいたことでファンの目が今のプロレスに戻ってきたという時期かもしれません。

その後7,8月はノミネート数自体は少なくないものの例年比でいうとかなり減っています。
6月が単純に再開したことへの喜びで印象が強かったのだとしたら、7・8月はその喜びに慣れ、新しい観戦形式にのり切れてない時期かもしれません。
その後の推移は例年に近く、年末に近づくにつれてノミネート数も上がっていく傾向がありました。

こうしてみるとコロナというか興行自粛前後に関しての印象が強く残っているということがうかがえます。

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上述の通り、元々の試合数が異なるため、ノミネート数自体での比較で「印象の強さ」の比較は難しいとも考えたので、今度は2012~2019年と2020年で各月に行われた試合の内ノミネート試合が何%だったか?を試算してみました。
各月に行われた試合数については私の持っている別データベースとしてCagematchから国内で行われた全興行を集計し、そこでの件数を用いています。
勿論ネットプロレス大賞ベストバウト部門は海外の試合もノミネートされ、Cagematchに載っていないような試合もあるとは思うので、正確な数字ではないとは思いますがあくまでも参考にお願いします。

その結果が上の折れ線グラフですが、青が2012~2019年の平均、オレンジが2020年になっています。
結果として「自粛前の1,2月はノミネート率が高い」「自粛解禁直後の6月はノミネート率が高い」「7月以降は年末になるほどノミネート率があがる」という傾向はノミネート件数で見えた傾向と概ね合致しているのが見て取れます。
その中でいうとノミネート件数が極端に下がった3~5月に関しては、確かに1,2,6月と比べると下がっているのが見て取れますが、それでもノミネート率としては例年とそれほど変わりない割合になっていました。

そういう意味でいうと「無観客興行であったことがファンの印象に極端にネガティブ/ポジティブな影響を与えたわけではなかった」ということが言えるような気はします(少なくとも年末に振り返った際の印象として)。
これに関しては、私の推測として、「無観客だからあまりベストバウトに上げたくない」もしくは「あの時期の無観客だからこそベストバウトに推したい」といういずれかのバイアスが存在するのでは?と考えていたんですが、
結果としてはそのいずれも見えない感じでしたかね、勿論個々人で上記のようなバイアスはあるかもですが平均すると打ち消し合ったというか。
もちろん上で調べたのはノミネート数なので「印象に残る試合が多かったかどうか」であり、それが1試合に集中していればまた別という感じもしますね。

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ということで各月の総ポイント数で調べてみたのが上図。
前年を上回ったのが1,2,3月の自粛以前+自粛開始直後の無観客試合黎明期、特に3月については部門3位にNOAHの潮崎vs藤田が入っていたりしているのでさもありなん。
4月以降は例年よりもポイントを下回る月が続き、本格的に興行が再開したと言える9月以降はかなり上昇傾向が見え、後半に行くほど支持が集中している感がありますね。
実際ランキング(最優秀試合 / 2020年| ネット・プロレス大賞:公式サイト)を見てもトップ5は2020年の自粛前が1件、自粛黎明期が1件、年末が3件となっていますし。
これを踏まえても2020年のベストバウト部門に関しては「年末ほど印象が強い」「自粛前の印象が強い」「自粛黎明期の印象が強い」の3本立てだったかなぁと思います。

 

所感雑感

割ととりとめのない解析になってしまいましたが、ベストバウト部門に関して解析でした。
最優秀団体部門に関してはやはり「1年を通しての印象」になるためどうしても包括的になっちゃうんですが、ベストバウトに関しては上述の通り「その時何が起きてたか」も加味して投票されてると思うのでちょっと解析のし甲斐がありましたね。
だからなんだという話ではありますけど、こうして数値から人の行動というか印象・評価が透けて見えるのは面白いものです。

きょうはこれまで、それでは