プロレス統計

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緊急事態宣言下における大都市圏への興行集中に関して諸考察

すっかり時期を逸した感じもありますが、少し前には新日本の後楽園ホールの動員が少なかったーということで杞憂民が多数発生していた模様。
すっごい既視感を感じるなぁーと思ってたのは一昨年10月にも似たようなことがあり杞憂民が多数発生しており、それを踏まえてちょっと解析をしていたわけです。

後楽園動員について諸解析:新日本プロレス編 - プロレス統計

まぁここでの結論は「曜日依存性が存在(月曜日が最少)」「月間の後楽園数に負の相関(多いほど減る)」というもので、まぁ上の二つの条件に当てはまっていたので
コロナ下という特殊状況でこそあれこういう法則はまだ使えるんだなぁと感心するに留めました。
とはいえ実際1月の新日本は正気か?と思うほど都内大会が多く、1月中には後楽園ホール5大会(2月初めにも4大会)、それに加えて大田区総合体育館にTDCホールに東京ドーム2連戦と驚き?の9大会を開催、いやそりゃ都内のファンのプロレス予算も尽きるわ。と思わないでもない。

その一方で「なんでこんなに都内に集中しているのか?」と思ったり、そもそもこれは新日本だけに限った状況ではないのでは?ともおもったので少々調べものをしてみることにしました。

 

各月の興行数、興行開催都道府県数

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上図はいつもお馴染みCagematchから集計した、2019年~2021年にかけて日本国内で開催された各月のプロレス興行数(棒グラフ、左軸)、プロレス興行があった都道府県数(折れ線グラフ、右軸)のグラフになっています。
2019年は所謂普通の年の例として、2020年は3~6月にかけてCOVID-19第一波による興行自粛があった年、
そして2021年は1月27日までのデータに加えて28~31日に開催予定の興行をプヲタスケジュールさんから取得し1月いっぱいまでの見積もり値を表示しています。

まず2019,2020年のデータに注目するとCOVID-10第一波があった3~6月は、そもそもの有観客興行が行えなくなったため、一気に興行数・都道府県数が減少しているのが見て取れます。
7月以降有観客興行が再開され、徐々に興行数も都道府県数も回復していき、12月には前年とほぼ同等の興行数・都道府県数になっていることが見て取れます。

しかし2021年1月からはCOVID-19第三波が到来し一部都府県で緊急事態宣言が発令されることに。
今回の緊急事態宣言では有観客興行が禁止されこそしなかったものの、「キャパシティ50%or5000人未満」に加えて新たに「夜8時までの興行・イベントの終了」が盛り込まれることになりました。
その因果はさておき、結果として2020年は165大会/26都道府県だったのに対し、2021年は164大会/20都道府県となる予定です。
大会数に関しては昨年並みに対し、開催される都道府県数は明らかに少なく、2020年でいう3月や6月に相当する都道府県数になっており、一部の場所に興行が集中していることがうかがわれます。

都道府県別各月興行数割合

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上の図では各月の開催された興行の内何%が東京、大阪、神奈川、埼玉、千葉などの興行が多い地域*1を占めていたのかを示した図になります。

まず2019年を見ると1・2月などはトップ5都府県で全体の7割を占めていますがその後は50~60%台を推移しており、これが通常の状態であると仮定します。

それと比べると2020年はこのトップ5都府県が締める割合が常に高く、4~8月などは全体の80%近い割合を占めています。
その中でも無観客興行が主となっていた4・5月は大阪での興行がほぼなくなり、神奈川・埼玉・千葉の3県での興行(おそらくは無観客興行の中継会場としての利用)がかなり増えていました。

そして9月以降はトップ5都府県の割合が減り(例年比では依然として高いですが)ますが、
2021年の1月に至って再度占有率が80%超えになっています。
このデータから見ても通常時や2020年後半の有観客興行再開時と比較しても首都圏+大阪にプロレス興行が集中している状況が発生していると言えます。

 

なぜ興行集中が起きているのか?

ここまでの素材をそろえればとりあえず「首都圏+大阪への興行の集中が起きている」というのは確かに言えるでしょう。
これが遠因となって冒頭の一軒が起きているというのが私の考えですが、問題なのはなぜこういう現象がおきているのか?ということにあります。
昨年3月の緊急事態宣言の場合はそもそも興行が行えないために中継設備などがある都内の会場で無観客興行を行うケースが多かったのだと考えますが、今回の場合は有観客興行自体は可能であるため状況としては同じとは言えません。
加えるに、今回の緊急事態宣言では前回のような「都道府県間の移動の自粛」のような要請は特にないため、巡業のために移動することに関する制約はないはず。

となると思い当たるのは今回の宣言で新たに盛り込まれた「夜8時までの興行・イベントの終了」という要綱、私はこれが首都圏外での興行、特に平日興行の難しさを上げている要因と考えています。
例として2019年の新日本プロレスの平日興行でいうと都内・後楽園ホールは18:30開始*2に対して、地方興行としては18:30開始の興行もありますが19:00開始の興行も多々あります*3
興行の開始時間については伊達や酔狂で決めているわけではなく、周辺の交通インフラの充実度や人口密度にも依存していると思われ、
都内であれば密度も高く各種公共交通機関も発達しているため17時定時で退社しても十分に間に合うケースも多い。
一方地方となるとその密度は広くなり、手段としては車などが主となり17時定時としても入場するまでにかかる時間はダンチでしょう。
上述の「夜8時まで」の制限に対し、ほとんどの団体が興行の開始時間を早め1800開始にするなどの施策を取っていますが、地方に行けば行くほど「それではとてもじゃないが見に行けない」という状況が強まっているんではないでしょうか。

つまり興行終了時間の制限が興行開始時間の繰り上げを求め、それによって地方興行自体のハードルが高まり、結果として首都圏+大阪集中が起きているという可能性は考えています。

 

とここまで考えたんですがそもそも宣言は首都圏や大阪に限った宣言であり、地方には関係が無いので地方大会なら「夜8時まで」の制限もなしで良いんでは?という気がしたり(ガバ)。
他の理由があるのかもなぁ…とおもいつつ

きょうはこれまで、それでは