プロレス統計

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新日本プロレス・G1 CLIMAXでのコロナ後動員回復率について

 つい先日、新日本プロレスの夏の*1恒例シリーズG1 CLIMAXが終了しました。
私も大阪大会1日目とかは現地まで見に行ったりしていたんですが、そういった内容面はさておき、今回はG1 CLIMAXの動員について少し調べました。
いいタイミングだったというのもあったんですが、思い返してみれば去年もこのタイミングで動員について解析してた*2んですね。
その時は1~8月にかけての回復率、という切り口でみていましたが今回はもっと狭くここ数年のG1 CLIMAX興行に絞った解析になります。

 

G1 CLIMAX総動員の推移

 上に示したのが2015年以降のG1 CLIMAXの総動員の推移になります。
この区切りにしたのは2015年からG1 CLIMAXの開催大会数が増えて全19大会での開催が始まったため、各年の比較がしやすいためです(2022年のみ全20大会)。
2023年の総動員は5万3277人となりましたが、前年からは+5千人弱の増加ですが、コロナ直前の2019年比で言うと54.8%、最終戦が今回と同じ両国国技館だった2017年比で言うと66.1%に相当します。

 これらの数値を動員の回復率と以降では定義しますが、昨年行った解析では1~8月の動員の回復率が新日本プロレスでは2019年比50%となっていたので、期間が異なるので単純比較はできませんが5%ほど微増した数字になっています。

 問題なのはこの数値が高いのか低いのかという話ですが、他のプロレス団体との比較はまた今度やるとして他業種との比較をやってみましょう。
ファンブログにあった情報(ブログ)ではありますが、2023年のプロ野球の動員自体は2019年比で全体で90%程度という数値になっているようですね。
そう考えるとG1 CLIMAXの数値はいささか低めな回復度という感じがあります。

優勝決定戦の回復度

 以降ではすこし詳細な解析をしてみます。
先ほどは総動員での回復度を見ていましたが、上図では優勝決定戦の動員のみを抜き出したもので、2023年の優勝決定戦は両国国技館開催で8283人
同会場で言うと2017年が最後の開催となっており1万280人だったので、2017年比の回復度としては80%ぐらいにはなっている。
また、先ほどの総動員の回復度から比較すると優勝決定戦の回復度のほうが増加率は大きい感じもする。
そういう意味では、全体はさておき、優勝決定戦の動員はそこそこ回復に向かっているといえるのではないか?

会場ごとの回復度

上述のとおり「全体はさておき優勝決定戦では」という視点を得たので、今度は会場ごとに回復度の違いがあるのでは?という観点で解析を行う。
あくまで回復度を調べるため、「2015~2019年にも開催している」「2023年にも開催している」会場について、2015~2019年の間での最大動員を1.0とした時の2020年以降の動員を回復度として以下では定義し、いくつかの会場についてデータを紹介する。

まず「比較的回復度が高い」代表例として両国と後楽園ホールの結果が上。
共通項としては元から動員が多く、新日本としても本拠地と言える東京のお馴染みの会場である。
いずれもコロナ前と比較し0.8近くまでの回復を見せている。

続いて「回復度が低い」代表例として、G1に限らず新日本おなじみの地方大会場であるエディオンアリーナ大阪及び広島サンプラザホールの結果が上。
いずれも0.6に届くか届かないくらいで停滞している状態にある。

これらの4会場を見てみると「都内会場は比較的回復度が高く」「地方会場での回復度が低い」とまとめられそうなものだったが、反例があった。

それがアオーレ長岡と大田区総合体育館で、新潟にある地方会場アオーレ長岡は回復度が0.76に達した一方で、大田区は今年0.6を割った。
こうしてみると首都圏/地方といった簡単な割り切り方ではまとめることができそうにないので、包括的にまとめるとすれば「会場・地方ごとに動員の回復率には現状まだムラがある」程度ではないかと考えられる。

 

所感雑感

というわけで簡単ですが動員回復度についてまとめでした。
コの動員回復度というものを調べ始めたのはコロナ明け、興行再開のタイミングからですが、当初は今のタイミングまでやっているとは思わなかった。
なんにせよ少なくとも新日本プロレス(プロレス界?)において回復と、原状復帰には時間がかかっている様子。
こういう数値を見てみるとコロナ時になんとなく思っていたような「ただ元に戻せば全てが元に戻る」わけではないということが見える。
まぁこんなことについて一素人が発破をかけるなんてたいそれたことを考えているわけではないですが、そういうのが分かっているからこそ今年のG1前にいろいろな仕掛けがあったんだろうなぁとつなげて考えたりはします。

*1:2020,2021年は東京オリンピックとの兼ね合いで秋にやりましたが

*2:コロナ以後の国内プロレス団体の動員回復率について - プロレス統計