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各種数値でみるネットプロレス大賞2022

今年もブラックアイ3さんが主催されているネット・プロレス大賞が行われ、1月20日のその結果が発表されました。
今回も公表されている投票結果を用いて、2022年ネット・プロレス大賞について解析を行います。

手法としては公開されている全投票者リストから独自に結果を集計し、解析を施しています。
近年の同大賞ではあらかじめ用意した選択肢からの選択式が主となったので私の集計ミスも減っているとは思いますが、自由記入の部分などで公式発表の結果と多少の誤差があるのはご注意ください。

公式サイト:ネット・プロレス大賞2022、結果| ネット・プロレス大賞:公式サイト

 

投票者数推移

まず初めに投票者の推移、2012年から2022年のものを示したのが上図。
2022年は402人の投票があったようです。
投票人数については公式の結果でも語られていますが2020年の542人をピークに2年連続の減少となりました。
過去のケースと比較すると2014年頃とほぼ同等の件数ですね。

この現象に関しては管理人さんは「主催者のブログ更新頻度が下がったことなど」を挙げられてましたがこのあたりをなにか解析できないか調べてみます。

上図は先ほどの投票者数の推移と似たグラフですが、新たにオレンジ色で「前年も投票していた人数*1」を表示しています。
2022年に限って言えば146人(36%)が継続して投票していました。
その前年などを見てみると2019~2021年はいずれも180人弱が継続して投票していたので、ある意味180人程度の固定客がいたといえますが、2022年にはそれが減少し、離れていったとも見えます。
一方で固定客でなかった、いわば浮動層の人数でみると2020年は360人いたのに対し、その後254人、256人と100人近く少ない状態が続きました。

つまりここ数年の投票者数減少を見ると「毎年投票する層が一部離れ」それ以上に「浮動層の人数が大きく減少した」というように解釈できます。
何がそういった現象を引き起こしたのかはさらなる解析が必要だとは思いますが、先述した管理人さんの想定原因もこれらの現象を起こしうる気はします。

最優秀団体部門推移

続いて最優秀団体部門の得点について、2012年以降上位3団体に入ったことがある6団体について、得点の推移を示したのが上図。
12年間新日本がトップの座を譲っていないそうで、実際新日本の得点数は常に天井のように存在していますが、近年はその得票数ががくっと下がっていることが見て取れます。

もちろん上述した通り毎年投票者数が変化しているのでポイントだけを見ては正確な比較はできない、ということで次の図は総得点に占める各団体の割合に変換したもの。
こうしてみると新日本が常に1位だった、とはいうものの実態としては2012年には40%近くを占めていたのが年々減少しているのが分かると思います。
そういう意味で言うと年々新日本のシェアをた団体が奪っているとも言えますが、新日本以外の得点割合の推移をみるとその奪ったシェアをどこかが常に独占できているというわけでもないんです。

例えば2012~2014年はDDTが20%近くを占めていましたが、その後減少し、近年は10%台を推移。
2015年には大日本が2位だったDDTを追い抜きますが、翌年以降に続かず。
2017・2018年はDDT・大日本と入れ替わるように全日本が2位に躍り出ますが、その地位も続かず。
2019・2020年とこれまでにない勢いで伸び、2020・2021年には新日本に僅差まで迫ったNOAHですが、2020年をピークにして、2022年は新日本との差が生まれる結果に。

つまり「新日本の支持率が年々下がっている」というのが最優秀団体部門の傾向であるのに加え、「次々と1位に迫る団体が表れては入れ替わっている」というのも一つの特徴といえます。
これに関しては2位以下の団体に関しては(少なくともファンの間の支持率で)決定的な差がなく、その時々で期待値の偏りが移り変わっているという感じもあります。
いうなれば打倒新日本を期待している層の票が、その時勢いがある団体へ流れ、打倒が難しそうと判断されるとそれが別団体に移る、といった感じでしょうか(実態はさておき)。
そういう意味では新日本の支持率が下がっている現状はチャンスではありますが、一方現状2位のノアもその期待感を逃さずにいられるのか?という感じではあります。

最優秀団体部門トップ10推移

上表は2012年から2022年の間の団体部門の上位10団体を示したもので、先ほどのグラフに出した6団体については色分けしてあります。
順位だけに絞った評価がこれでできますが、新日本とDDTに関しては比較的順位が安定している傾向で、ネット・プロレス大賞の投票者はこれらに団体を推している人が安定している印象ですね。
一方全日本・大日本・ノア・スターダムに関してはこの10年間でもかなり順位の変動が大きい団体に見えます。
そういう意味ではファンからの評価が大きく変わる、変動が大きい団体と言えるでしょう。

推し団体別解析

続いて少し複合的な解析として「推し団体」というものを定義したいと思います。
ここでは「各投票者が最優秀団体部門1位に投票した団体」を「推し団体」とします。
意向で行うのはこの「推し団体」別のMVP部門、最優秀興行部門、最優秀試合部門の3つにおける各順位を見てみます。
言ってみれば「推し団体」が違うグループ内でみれば各部門で素晴らしいと思われているものにも違いがあったり、「推し団体」の垣根を越えて認められたものがあったりしないかと思ったわけです。*2

MVP部門

まず初めにMVP部門。
上表では一番左が全体での上位10名、それ以外の列は推し団体別のグループでのMVP部門上位10名のランキングです。
ちなみにここで選んだ推し団体5つについては、推し団体選出が多かった5団体を選んでいます。

結果から言えば全体ランキングと推し団体別ランキングでは大きく順位及び傾向が異なっていることが分かると思います。
まず一つは推し団体関連選手が多いこと、新日本では7人、DDTでは6人、NOAHでは5人が自団体を主戦場にしている選手がランクインし、全体ではランクインしていない選手も入っていることが分かります。
普段からよく見る推し団体の所属選手からピックしがちという傾向はありそうです。

またこのランキングでは新日本とスターダムのブシロード陣営、NOAHとDDTのサイバーファイト陣営と、親会社を共にする2団体が含まれていますが各陣営でその2団体のランキングの違い方も違う感じがします。
ブシロード陣営のスターダムはスターダム選手が4人入るのは勿論ですが新日本の選手も4名と同数ランクインしており、新日本選手への評価も高い傾向があります。
一方で新日本にはその傾向があまり見られないあたり、「スターダム推しは新日本”も”見ているが、新日本推しはあまりスターダムを見ていない」関係性が見えます。

一方でサイバーファイト陣営ではそれぞれトップ3は自団体選手が占め、もう一方の団体の選手に関してはポイント数がかなり落ちる傾向にあります。
例えばNOAHでは一位清宮の201ptに対し、DDT勢では樋口の34pt、
DDTでは一位樋口が202ptに対してノア勢では武藤が16pt、いずれも一桁落ちる点数。
そういう意味では「NOAH・DDT推しはそれぞれもう一方の団体をあまり見ていない」という関係性があるかもしれません。

一方で全団体で共通のランクインとなったのはエル・デスペラード選手のみとなっており、推し団体が違えば推す選手傾向も大きく異なるというのが基本の傾向と言えそうですが、その一方で今年に関してはエル・デスペラード選手が推し団体の垣根を越えて評価された、と言えそうです。
ちなみに全体ランキングでトップ2となったオカダ・カズチカ選手とウィル・オスプレイ選手がDDTでのみランクインを逃しているが興味深いというかDDT推しの独自性が出てて面白かったです。

最優秀興行

続いて最優秀興行部門となります。
こちらではMVP部門以上に推し団体の興行推しの傾向が強いことが見て取れます。
新日本とNOAHでは合同興行を入れれば8つ、DDTもグループ関連の興行で上位5興行を占めています。
こういう意味では推し団体と興行部門に関してはかなり強い相関があると見えます。
ちなみに興行部門で推し団体問わずランクインしたのは9.12タカタイチデスペ興行で、MVP部門のデスペラード選手と同じく、推し団体を超えて評価されているようです。(というかここでの試合が推し団体を超えて評価を受けたからこそMVP部門での~なんでしょうけど)

最優秀試合

続いて最優秀試合部門、こちらも興行部門とおなじく各推し団体の試合を選ぶ傾向が強いことが見えます。
その傾向がある中でその団体でもトップ2以内に入っている「9.12タカタイチデスペマニアでのエル・デスペラードvs葛西純」の試合は推し団体を問わない強い支持があった、まさに2022のベストバウトと言えるでしょう。
それと同じ意味では、推し団体部門ではランクインしていないにもかかわらず、「7.1みちのく フジタ”Jr”ハヤトvsMUSASHI」もまた全てでランクインしているのは、同じように団体を超えた指示があった証拠でしょう。

また他で目に付くところと言えば、全体・新日本・スターダム・AEWで2位になっているオカダvsオスプレイもNOAHとDDTのサイバーエージェント勢ではランクインしていなかったり、
NOAH・スターダム・DDTに関する試合がいずれも各推し団体ランキングでのみランクインしているというのも興味深かったりします。
この辺については3つという投票枠の少なさも関係している感じがしますが、推し団体って結構影響するなぁって感じですね。

 

所感雑感

というわけでネットプロレス大賞2022について解析でした。
昨年は諸事情で行いませんでしたけど、ネットプロレス大賞のデータはやはり解析しがいがあるデータだと思います。
そういう意味ではやはり今年いっぱいでの終了はやはり寂しいところはあります。
とはいえ17年間ネットプロレス大賞を開催してきたブラックアイ3さんへは「お疲れさまでした、気が変わったらまたやってください」以外の言葉がないですね。

データ解析というのは実際の解析よりもデータ集めの段階でかなり時間とお金とマンパワーを消費するわけですが、そういう意味で投票内容をオープンにしてくれるネット・プロレス大賞ってすごい解析屋としてはありがたい存在だったんですよね。
願わくばネット・プロレス大賞っぽいファン投票物が新たに生まれること、そしてあわよくば解析できるようなデータを公表してくれる、または解析結果を出してくれることを願っております。

 

*1:投票者名で判定しているため、名前が変わっていた場合ここに含まれない

*2:ちなみにこのアイデアはにじさんじ共通テストというVtuberに関する知識を問う非公式のテストの回答で同様の解析をしていたのからインスパイア受けました。