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各種数値で見るネットプロレス大賞2020:最優秀団体編

年始のこの季節の風物詩と言えばそうネット・プロレス大賞。
各マスコミ媒体の大賞ものが発表された後に行われることもあってそれを反映した結果が現れるとも言われる、同大賞。
その特徴はなんと言っても投票者の投票内容がすべて赤裸々に公開されているという点。

つまり集計結果だけを見るだけでは読み取れない情報が多量にあり、例年解析しきれないほどに色々なことが分かる対象でもあります。

ということで例年の事でもありますが、今年もネット・プロレス大賞について順次解析していきたいと思います。
まず初めに取り上げたるは最優秀団体部門、と言いつつ調べていたら割と盛りだくさんで力尽きそうですが紹介していきましょう。

ネット・プロレス大賞:最優秀団体公式結果
最優秀団体 / 2020年| ネット・プロレス大賞:公式サイト

去年の集計

www.pwanalysis.com

 

集計手法

今年もブラックアイさんで公開されているネット・プロレス大賞の全投票者リストをスクレイピングし、その結果を元に集計を行いました。
同集計は去年の時点で2012年以降のデータについても行いましたが多少集計結果と公式結果の差があったりしたのでちょっと集計手法を修正して多少は公式結果に近くなるようにはなりました、それでも1票とか少なかったりしたのであくまで正式な結果はブラックアイさんで、こっちのはあくまで参考結果ということでお願いします。

主要団体推移

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決して今年の上位団体、というわけですが個人的に日本国内の男子団体で主要と呼ばれる6団体について2012年から2020年までの同部門での総ポイント数の推移をまとめてみたのが上図。
上図で分かるように2012年以降他団体と一線を画していたのが新日本プロレスですが、2020年はそこにNOAHが猛追を賭けた形であと一歩まで及んだという感じですね。
ブラックアイさんのツイートでも投票中も「僅差のマッチレースだった」なんていう話もあるのでまさに肉薄したようです。
NOAHに関しては2018→2019年も大きく票を伸ばしたことが記憶に新しいですが、それに拍車をかけたのが2020年だったという感じでしょうか。
まぁ実際コロナによる有観客興行不能期間にABEMAを活用しつつ無観客興行を積極的に打ち出していったのが、投票者層に響いたという感じでしょうか。
同じくABEMAを活用していたDDTも票を伸ばしてはいるんですが、NOAHほどの伸び率を出していないのは同じ手法であっても何か「投票者層に響くか否か」を左右する要素が存在したということはあるんですかね。

1・2・3位票割合

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続いて2020年に限定して同部門の1位票、2位票、3位票の各団体の内訳を示したものが上図になっています。
まず1位票を見てみると、新日本とNOAHがほぼ同規模の票を獲得しており、この2団体でほぼ50%を占めていることが分かります。
これを見るに今回の投票者層において「今年は新日本かNOAHか」という2択の認識が存在していたのではないかという感じがしますね。
ちなみに2019年の結果を見ると新日本の1位票割合は41%で他の団体を大きく離しており、当時は「新日本の1強」と呼ばれる状況認識が投票者層内でも存在していたことが見え、
逆に言えばそこにNOAHという選択肢が生まれた1年と言えるでしょう。

続いて2位票を見てみるとここではNOAHが最も多く、それに新日本・DDT・スターダム・東女・まっすると所謂ブシロード・CyberFight陣営と称される各団体がランクインしています。
これを見ると1位にこそなれずとも各陣営の影響力・存在感が増しているのは伺えますね。
これについては3位票についても同様の傾向がうかがえると思います。
またこれまで1位票で圧倒的だったがゆえに2・3位票では票数が少なかった新日本が2・3位でも票数が増えている辺り「1番ではないがトップ3には」という要は評価をする人が増えたという感じもします、言ってみれば新日本の順位が下がった人が多々いたというか(これについては後で検証)。

これは逆に言えばこれまで1位にこそなれずとも2・3位票で確固たる支持を築いていた全日本プロレス・大日本プロレスの支持低下も示しています。
この傾向に関しては2019年の時点でもちょっと現れてはいましたが、大規模な配信環境などが整っていない両団体ではその拠り所でもあった「試合クオリティ・興行クオリティで魅せる」というのもうまくいかなかったのがマイナス点だったんですかね。

投票組み合わせ例

ここで少し気になるのはどういった投票の仕方がされているのか、
というわけで内訳を見てみると
1位が新日本だった148人の内、投票が新日本のみの単推しだったのが16名、
2位として挙げられたのはNOAHが42人、スターダム24人、DDT12人など、
3位としてはNOAH 22人、スターダム20人、DDT16人などが多かったです。
また一方で1位がNOAHだった人142人の内NOAH単推しは13名で、
2位には新日本41人、DDT21人、スターダム15人
3位には新日本29人、DDT19人、スターダム10人というのが多かったです。

こうしてみると分かる通りブシロードorCyberFightの範疇で組み合わせを選んでいる人が多く、両グループの存在感の大きさを感じます。
さらに言えば「1位がブシロードなら2位がCyberFight、1位がCyberFightなら2位がBushiroad」なんて言ういわばバランスをとったような投票が多かったのも見え、なんだか面白かったりもしますね。

ブシロードvsCyberFight 総票数割合比較

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こうなってくると気になってきたのはブシロード、CyberFightグループそれぞれの総票数の割合を調べてみたいところ。
調べた結果が上ですが、日本プロレス界はブシロード、CyberFight、その他の3つに分かれ、混沌を極まていた・・・!?て感じが。
冗談はさておき新日本プロレスとスターダムからなるブシロード陣営は全体の26.5%、NOAH、DDT、東京女子、まっする、ガンバレ☆プロレスの6団体からなるCyberFight陣営は全体の38.1%とCyberFight陣営が総票割合で上回ることになりました。
団体数が異なったり「まっするって団体カウントなん?」という疑問もありますが少なくともこういった分け方では現状CyberFightがネット・プロレス大賞最優秀団体部門を支配していると言っても過言ではないでしょう。

各順位表前年度変化

ここまでは全体数値を眺めていたのですが、ここからは全投票者リストが公開されているネットプロレス大賞だからこそできる解析として、「投票者が2019年から2020年にかけてどう意見を変えたのか?」を紹介したいと思います。
ネットプロレス大賞では投票の際に本人確認のためTwitterなどのSNSアカウントやブログなどのサイトURLを登録する必要があるのですが、
2019年と2020年で同URLを登録していた投票者に注目し、2019年と2020年の団体部門1位票の変化を見てみました。
結果的に58人が対象になりましたが、全体で550人超えなのに少なすぎでは・・・?と思いつつTwitterなどではアカウントIDを変えるとURLも変わってしまうのでそういう関係もあるんではないかと思っています、繰り返しになりますがあくまでも参考までに。

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上の表は団体部門1位票について2019年と2020年の投票の変化パターンのトップ10を示したもので、
最も多かったのは両年とも新日本プロレスだった11名、同様にNOAH→NOAHも7名いましたが、2位になったのは新日本→NOAHに鞍替えした勢で8名、4位には全日本→NOAHという人も多かったようです。
母数が少ないので何とも言えない部分もありますが、確かに「新日本からNOAHへ鞍替えをした」勢というのは確かに存在するようです(元々2019年の新日本1位が多いというのもある気はしますが)。
NOAHに関して言えばこれまでの支持層を確保しつつ、新日本と全日本から支持層を奪取したという見方もできますかね。
先日読んだ記事(潮崎豪と「自分が死んでも仕方がないプロレス」)の中でも「今のノアは『全日的なもの』と『新日的なもの』の両方を抱えている」なんて言う評がありましたがまさにそれを証明するような評価がネットプロレス大賞で現れているのは感動ですらあります。以下は参考として2位票、3位票での同結果です、参考までに

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新日本・NOAH2019→2020票移動

こうしてみてきているとことしの団体部門においてはやはり新日本とNOAHの動向が非常に注目されるのですが、そこについてさらに詳しく見るべく2019・2020年の同部門の両方で投票している上述の58人の内、どちらかで新日本・NOAHを含む投票をしている人をピックアップし、各年で新日本/NOAHの順位がどう変動したのかを調べてみました。
ちなみに新日に関しては35人、ノアに関しては33人が該当しました。

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まず初めに新日本関連の結果をまとめたのが上図。
まず行方向には2019年に1位/2位/3位/選外だった人数、列方向は2020年に1位/2位/3位/選外だった人数を示しています。
分かりづらいので礼を言うと、2019年は1位、2020年は2位だった人は青く示されたセルに示された5人。
逆に2019年は2位、2020年は1位だったのは1人、といった具合になります。
参考として前年比で順位が下がったのを示すセルは青、上がったセルは赤、変化がなかったのはグレーでそれぞれ示しています。結果として新日本関連票では上昇8、維持13、低下14といった具合になりました。
最も多かったのは順位が低下したパターンであり、上述の35人の中で「昨年並みもしくは昨年以下」と言う評価が多かったということを示していますね。(順位はあくまで多団体との相対評価なので単純な話ではありませんが)

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続いては同様にしてNOAHですが上昇22、維持9、低下2となりました。
こちらは打って変わって順位が上昇して人が大半を占めており、中でも最も多かったのが「2019年は選外→2020年は1位」というパターン(9人)。
言ってみれば「それまでNOAHに目を向けていなかったまたは低く評価をしていた層が見初めた・見直した」という現象が起きていた感じですかね。
単純な票数の推移でもかなりの急上昇が見られましたが、各投票者内でも一気に評価が上がったという傾向はあるのかもしれません。

 

所感雑感

というわけで、ぶっちゃけ例年他の部門の3倍は解析しがいがある最優秀団体部門でした。
こういった結果については単純に結果を見るだけでも面白い時はありますが変化・推移を見るとより面白く、そしてさらに言えば何か大きな変化が起きた時ほど面白いというのはあり、2020年はまさにくっそ面白い年になったようですね。
コロナという疫病によって強制的に「いつもならざる」状態になったわけですが、そういった状況が大きな変化を起こすというのは予想こそしていましたが実際ここまで大きく変化をするのか、というのはちょっと感動ですらあります。
この結果については私も本家に準じて「好きに解釈しておくれ」というスタンスですが、「ここちょっと気になるんだけど調べてくれへん?」というご意見等あったら教えてくださると幸いです。

ちょっと最近忙しく果たして他部門もやるのかは定かではないのでここで書いておきますが、
ネット・プロレス大賞実行委員会(?)の皆さま今年もお疲れ様でした。
なんだか例年投票数がーと苦しんでらっしゃる印象があったんですが今年は華麗に+50票と大きく総票数を伸ばしたようで何よりです。
この調子で数年内に1000票目指してほしいですね、データが多いことはすなわちパワーなので解析しがいも増えますし。

きょうはこれまで、それでは