プロレス統計

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動員大会数から見るCOVID-19影響下の日本プロレス界:2020年3月編

最初に政府からの興行自粛要請が出てからはや1ヶ月、一時は雪解けムードも漂いましたが今日からは一部地域での緊急事態宣言発令を伴ってさらに追加での興行中止が引き続きそうな日本プロレス界です。
色々と経済対策はされるらしいとは言うものの気が滅入る一方なのですが、それでもプロレス界は既に1か月の闘いを経験し、さらにもう1か月闘わざるを得ないわけです。
ということで今回はこの1か月を中心にプロレス界がどのようにCOVID-19に対応したのかについてちょっと詳細に見ていきましょう。

参考1:世界規模で見た際の動員大会数についての調査
COVID-19による全世界のプロレス業界に対する影響調査 - プロレス統計

参考2:日本の主要5団体の中止大会についてのまとめ最新版
COVID-19による日本プロレス主要5団体への影響概算【4/5版】 - プロレス統計

参考3:WWEと新日本のCOVID-19対策比較
収益分布とみるWWEと新日本プロレスのCOVID-19対策とその違い - プロレス統計

 

集計したもの

前回の調査と同じく今回もCagematchのデータベースから2019年と2020年の1~3月に日本国内で行われたプロレス興行について集計しました。
以降ではその動員と大会数に主に注目した解析をしていきます。

観客動員

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2019・2020年の1月(Jan)2月(Feb)3月(Mar)の観客動員の合計を示したのが上の棒グラフで、2020年の棒グラフ上には2019年と比較した場合の増減をパーセンテージで示しています。
この結果からわかるように、1月は+26%と大幅増加で始まった2020年ですがCOVID-19の影響が出始めた2月には-16%の減少、そしてイベントの自粛が開始された3月には-85%と大幅な減少を見せました。

大会数

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同様に各月の大会数を示したのが上の棒グラフ。
各団体のスケジュールの変更などもあってか1月は-4%(-7大会)と微減からのスタートでしたが2月には-13%(-24大会)、そして3月には-54%(-108大会)と大会数が半減しています。
ここで注目すべきは総動員では85%の減少だった一方で大会数の方は50%の減少にとどまった点。
これはすなわち、人が集まるような大規模な大会が中止になる一方で小規模な大会はそこそこ行われていたことを示しています。

無観客大会数

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勿論最近では無観客試合の開催も話題になっていますが、無観客試合を行える(≒行うことで何らかの収入が見込める)のは独自の配信サービスなどを持っている一部団体のみであり、多数派ではありません。
上の棒グラフは各月の大会数(点線で枠のみ表示)の内の無観客試合数(No people)の数を示したもので、実数としては12大会、2020年3月に開催された大会の内13%に過ぎません。

各日開催大会数

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では「日本プロレス界では自粛要請期間にも拘らず興行が普通に行われていたのか?」というと実はそうではありません。
2020年3月の各日の大会数を示したのが上の積み上げ棒グラフになっていますが、オレンジで示した無観客試合自体は1日から30日まで定期的に行われているように見えます。
対して青で示した”有”観客試合、つまり通常興行(Normal)に関しては1日に7大会、15日に6大会行われていますがそれぞ除いた2~19日に関してはあっても1大会、多くても3大会、大会がない日も多いという状況。
2019年同月の場合(下記グラフ参照)、毎日1大会は開催され、週末には10数大会が行われることが常だったため、実際に先月は大会数自体はかなり抑制されていたと言えるでしょう。

一方で大きく増加を見せたのは20日からの数日間、それまでを考えると一気に大会数が増え、20~26日の1週間で28の有観客大会が開催されていたことが分かります。
この期間こそ3月初めからの「2週間の自粛要請」が終了し、東京都などの地方自治体からの要請が発動するまでの間の1週間であり、ここで例年通りのペースで大会が開催されていたようです。
最近のCOVID-19感染者の増加もこの最初の2週間の自粛要請が終わり、自粛解禁ムードが世間に漂った20~22日の三連休に感染した人々がその後2週間の潜伏期間を経て発症し始めたのではないかという憶測もあり、この興行の増加はそういった世間の解禁ムードを反映したプロレス界の動きだったと言えるでしょう(もちろんこの期間も自粛継続している団体はありましたが)。

その後改めて自粛要請が各自治体から出るようになり各日の大会数は最初の2週間と同程度に減少しているので、そういった要請の動向を大きく反映していると言えるかもしれません

参考:2019年3月の各日の大会数推移

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所感雑感

というわけで日本国内でのCOVID-19影響下での興行についてでした。
先日世界規模で影響を調べていた時に「なぜ各国で大会数がほぼ0になっているのに日本ではそこそこ存在しているのか?」と思ってたんですが「20日からの1週間に結構まとまっていた」というのが答えのようです。
個人的に何となく引っかかっていたところだったのでこれでつっかえが取れた感じがします、確かに現在でもちょこちょこと興行を行っている団体がある、と聞いてはいたもののそこまでか?と感じていたので。

とまぁ3月中については一旦は解禁の雰囲気もあったんですが気づけば本日から緊急事態宣言の発令ととんでもないことになってますね。
現状では約1か月の予定らしいですが、とりあえず4月も全面的に日本国内のプロレスは休止が続くようです(とはいえ緊急事態宣言以前から4月中の大会は大体中止が発表されてた気がするけど)。
とはいえ前回は2週間一応自粛して3週目には少し緩和、という推移を見せていましたが、緊急事態宣言の場合はより厳密な自粛要請な一方で発令は7都府県を予定と限定的なので果たしてそれがどういう影響を見せるのかは非常に興味があります、今度は都道府県別のデータを調べてみるかも。

まぁ我々公衆としてはそれに従って隠居生活をするのみ、弊ブログとしてはその隠居生活で滅入っている気分を回復させるような何かを出していけたらなぁ・・・とは思っているんですが何かあるだろうか・・・

きょうはこれまで、それでは