プロレス統計

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国内全試合データで見る2020年の日本のプロレスラー

さて世の中は風雲急を告げている感がある昨今ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
なんだか風潮的にはしばらくはゆっくりせざるをえんなぁという感じがしているので色々大規模なまとめをすべくアイデアを捏ねたりしている最中です(ものになるかはさておき)。
さて前回は2020年の興行的数値をまとめたところですが、今回は試合に関する数値についてまとめ、2020年のプロレスラーに関してまとめです。

www.pwanalysis.com

 

集計したもの

今回も例年通り国外のプロレスデータベースCagematchに掲載されている興行のデータの内、日本国内で開催されたすべてのプロレス興行についてWebスクレイピングを用いてその開催団体、動員等のデータを集計しました。
Cagematch自体が国外のファンによるデータベースであるので掲載興行の抜けや誤りも含まれるとは思うのであくまで一つの参考程度にしていただけると幸いです。

総選手数推移

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まず初めに日本国内で試合をした選手数の推移についてのまとめが上図。
個々では青色で「10試合未満だった選手数」、オレンジ色で「10試合以上だった選手数」を示しています。
2020年は総勢894人の選手が活動し、10試合以上の選手に限ると608人が該当します。
興行数値の時にも紹介しましたが、大会数自体は前年比で3割減となり試合数もほぼ同等と考えられますが一方で選手数は約1割減に留まりました。
個々では「スポット参戦だったゲスト選手」とそれ以外を分ける意味も込めて10人という区切りを付けましたが、2020年であっても10人以上/未満の比率に変化はなく、ここへの影響はなかったようです。

とはいえ2012年以降増加傾向だった活動選手数が大きく減った年でもあるというのは重要なことでしょう。
その内訳に関しては定かではないですがやはり海外の選手が来日できなかったというのもあるんですかね。

新規参戦選手数

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続いては新規参戦選手について、2019年のまとめでは「前年出場してなかった選手」で調べていましたが今度は「2012年以降でその年が最初の出場年だった選手」の数としています。
2020年は合計74人、全体の8%の選手が上の定義でいう新規出場選手に当たりました。
上図を見ると2013年は少し多いですが2014年以降は約10数%程度の選手が新規出場選手だったのを考えると2020年は新規参戦選手がかなり少なくなっていることがうかがえます。
この新規参戦選手については所謂デビューした新人と初来日した外国人選手の両方が含まれるとは思いますが、今年に関しては特に後者が少なかったんではないかと思います。

各団体試合数&選手数

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参考として2020年の試合数と参戦選手数が多い上位10団体を示したのが上図。
試合数に関しては新日本(1185→708試合)DDT(1137→679試合)ドラゴンゲート(1070→660試合)が特に多かったのは2019年と変わらず、それでも各団体約4割減の試合数となりました。
それ以降を見ると大日本(892→521試合)も順位は変わらずですが、2020年5位にランクインしたNOAH(468試合)は2019年は681試合で第6位で、7位に落ちた全日本(398試合)は2019年は844試合で5位でした。
この辺の差異に関しては自粛期間に無観客試合を行えたかできなかったかの差が出たと思われます。

一方選手数に関しては2019年と同じくDDTが最も多い156人を記録。
その他人数に関しては自粛期間などの影響もあって結構入れ替わりはあるんですが、あまりこういうランキングで見かけないHEAT UPが6位、ドラゴンゲートと同数の77人になってるのは少し驚きでもあります。

出場団体数

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個々からは各数値に注目して特に際立った10選手についてランキング形式で紹介します。
まず初めに出場団体数ですが2020年最も多くの団体に出場したのはプロレスリングBASARA所属の阿部 史典 (@abe_fuminori)選手、そして#STRONGHEARTSのメンバーでもある入江茂弘(@tachimukau_irie)選手でそれぞれ16団体に出場だったようです。
阿部選手はジュニアヘビー級としてBASARAだけでなく全日本や大日本へ参戦し、また上述のHEAT UPなどにも参戦していたようです。
入江選手は2018年末からフリーに転向し参戦団体を増やしていましたが活動の場を海外にしていたため日本国内に限った本集計では目立ってはいなかったのですが、2019年は国内に専念せざるをえず、全日本や大日本などの団体へ参戦していたようです。

2019年との比較でいうと、19年の10位が16団体だったことを考えると比較的多団体間の参戦は抑制されていた感があります。
ちなみに2019年の活動団体数は79団体、2020年は68団体なので多少減ってはおり、その影響もあるかもしれませんが。

試合数

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続いては総試合数について上位10名。
2020年最も試合が多かったのは128試合を行った宮本裕向選手でした。
2019年はドラゴンゲート勢が1~9位を占め、ドラゴンゲートの試合数の多さを再認識したところでしたが、2020年は各団体ごとの試合数が減少したのもあってか6位のEita選手(107試合)が最多という感じ。
宮本選手の場合は上述の参戦団体数を見てわかるように14団体参戦と数も多く、主戦場としている大日本だけでなくZERO1、NOAH、全日本にDDTなどと試合数が多い団体に参戦しまくっていたこともありこの数値になったと思われます。
ちなみに2位にはアイスリボン所属の春輝(はるか)つくし(@Tsukushi_HRKZ)選手(122試合)、3位には参戦団体数1位だった阿部選手が並びました。

シングルマッチ数

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続いてシングルマッチ数の上位10名。
2020年は新日本プロレス所属の上村優也(@YuyaUemura_njpw)選手が40試合でトップとなりました。
2018年も若手だった宮脇選手が1位だったので試練のシングルマッチが組まれがちな若手が上位になりがちではありますが、今年の上村選手はG1のオープニングマッチの連戦に加えてBOSJへの参戦などもあり、昨年ダントツ1位だった旧姓・広田さくら(@sakurahirota)選手(36試合)を超えての首位となったようです。

メインイベント数

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続いてはメインイベントの登場数の上位10名。
こちらではドラゴンゲート所属の𝐄𝐢𝐭𝐚(@Eita_Luchador)選手が65回で1位となりました、総試合数が107試合だったのでメイン率は約60%という感じですね。
2位だったのはアイスリボン所属の鈴季すず(@ice_suzu)選手で50回とこれまた多い、鈴季選手も試合数が結構多かったようでメイン率は50%という感じ。
あんまり関係ないですが鈴季選手、2020年11月に電車で当時保持していたベルトを紛失したとかなんとか、笑いごとじゃなかったんでしょうけど電車で持ち運んでたのか…いや都内なら移動は電車が便利なのはわかってるんだけど中々珍しい(というかググると「ベルト紛失」がサジェストされちゃうのかわいそうまである)

タイトルマッチ数

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続いてはタイトルマッチ数の上位10名。
1位となったのはDDT所属の上野 勇希(@dna_ueno)選手で19試合のタイトルマッチを行った模様。
内訳を見てみると2020年にKO-Dのタッグを獲得して興行自粛期間もDDT TV Showで防衛を重ね、並行して6人タッグや無差別級にも挑戦、さらに年末にはユニバーサル王座の獲得とかなり活躍をしていたようです。
この部門でいうと例年はDDTのアイアンマンヘビーメタル級が無茶苦茶にタイトルマッチが多く、上位に食い込むのですが2020年に関しては7月にアメリカに渡ったっきり帰ってきていない層なのでその影響もあるかもしれません。

総合勝率

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続いてここからは少し計算をして総合勝率の上位10名を紹介、ここではいずれも総試合数が10試合以上の選手に限定しています。
総合勝率で1位となったのはドラゴンゲートのシュン・スカイウォーカー (@ssw_skywalk)選手21戦20勝の勝率95%という驚異の勝率。
シュン選手は先日ドリームゲート獲得するなど活躍しているとは知っていたんですがまさかここまで高いとは…と思っていたらどうやら9月までメキシコで海外遠征を行っていた模様、その後11月から帰国して一発でベルト奪取してからの快進撃だった模様。
似たような事例でいうと4位にランクインした岡倫之、ことグレート-O-カーン(@Great_O_Khan)選手も3月までイギリスで活動し、10月から帰国して侵略開始し29戦24勝、勝率82%を記録しています。

こういった「凱旋帰国してノリノリの若手」というケース以外でいうと2位にはジャガー横田選手(28戦24勝)、3位には新崎人生選手(18戦15勝)などのレジェンド選手も多数ランクインしていますね、やはり勝率に関してレジェンドは強い。

シングル勝率

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続いてはシングルマッチでの勝率ですが、2019年もシングル勝利数で1位だったPURE-J所属のLeon (@leon3purej)選手がまさかの13戦13勝の勝率100%を達成しての1位。
昨年の時点でもいったい何者なんや・・・となりましたが今年もいったい何者なんだ感が強まる年始です。
(ちなみにこちらもシングルマッチ10試合以上に限定しています)

タイトルマッチ勝率

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続いてはタイトルマッチでの勝率、こちらはタイトルマッチ5回以上のみに限定しています。
こちらに関してはプロレスリングBASARAなどを主戦場にするSOSのツトム・オースギ&バナナ千賀選手が8戦8勝(いずれもタッグタイトル)、大日本プロレス所属の吉野 達彦(@mozuku2)選手が7戦7勝(大日本のジュニアヘビー級で、うち4試合は次期挑戦者決定戦なので本当は3戦3勝)、そして全日本プロレス所属の諏訪魔 (@suwama_H2)選手が10戦10勝(三冠ヘビー級や世界タッグで)と
実に4名が勝率100%を達成。
いやこんなことあるんか…?と思っていたんですが2019年も宮原健斗選手、尾崎魔弓選手、高尾蒼馬選手の3名が勝率100%してたので結構あることらしい。

平均試合時間

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ここからは試合時間に関して、まず平均試合時間を紹介、平均試合時間では10試合以上の選手に限定しています。
平均試合時間が最も長かったのはNOAHのGHCヘビー級王者として1年防衛しきった潮崎豪 (@goshiozaki54039)選手で22分42秒
というか2位の中嶋勝彦 (@noah_katsuhiko)選手(20分20秒)、3位の武藤 敬司 (@muto_keiji)選手(19分5秒)、4位の杉浦貴(@noah_sugiura)選手(19分1秒)、5位の清宮 海斗 (@noah_kiyomiya)選手(18分43秒)とトップ5が全員ノア関連の選手(さらに7,8位にもランクインしていますし)というのはかなり脅威的ですね。
ノア勢に関しては2019年も4名がランクインしていましたが今年はさらに増え、「ノアは試合時間が長い」という傾向はさらに加速した感があります。
これに関しては試合数を絞りつつあることに加え、ABEMA等での中継もあることで寄り興行時間=試合時間を伸ばしつつあることかもしれません。

平均シングルマッチ時間

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シングルマッチに限定した場合、こちらもシングルマッチ5試合以上の選手に限定しています。
こちらでも1位になったのはNOAHの潮崎選手で32分10秒、こうしてみると通常の試合出もですけどシングルでもえらい身体を張った一年だったんだなぁ…と思うところです。
総合平均と比較するとこのランキングには新日本のレスラーが多数ランクインしているのを見るに、新日本では主体となっているタッグマッチは試合時間がそう長くない一方でシングルマッチはかなり長めという傾向があるとも見えます。

 

所感雑感

ということで2020年の日本のプロレスラーについて主にランキング形式で振り返りでした。
やはり一気に振り返るとなると物量が増えてなかなか大変である…
まぁ昨年のまとめでは選手本人から「実態と違う!」と言われたりしたので、あくまで冒頭に紹介した手法で調べた一例ということでご参考までに。

きょうはこれまで、それでは