プロレス統計

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タイトルマッチで見る新日本プロレス

プロレスの興行において欠かせないもの、というといろいろ候補は上げられますが、どんなプロレス団体でも保持・管理しているものとしてタイトル、王座の存在があります。
その種類や分類はいろいろあれど、どの団体でも基本的には各選手がそのタイトル・王座を求めて日々試合を行っているというのが基本構造だと思います。
そういった構造とはまた別の話として、タイトル・王座を争うタイトルマッチは興行の目玉としても機能しており、興行面でも重要な存在です。

というわけで今回はそのサンプルとして新日本プロレスのタイトルマッチについて解析です。

 

集計したもの

今回は新日本プロレス公式サイトから2012年1月から2019年11月までの期間の全試合結果をスクレイピングで収集しました。
(2019年と銘打つには12月まで待つべきかとも思ったんですが、例年12月はタイトルマッチが行われることもほぼないので、12月を集計しなくても多分大差ないと思われます。)
その期間中に行われた試合の中で「●●選手権試合」と銘打たれた試合をいわゆるタイトルマッチとみなして、その試合について集計しています。

タイトルマッチ数推移

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まず初めに一年間でどれだけのタイトルマッチが行われたのかを棒グラフで紹介。
薄い青色で示したのが総タイトルマッチ数(total)で棒グラフ中に各年の実際のタイトルマッチ数と、試合全体に対する割合を()内に示しています。
タイトルマッチ数自体は全体的には増加傾向で2012年は年間43回だったのが2019年は既に71回のタイトルマッチが行われています。
全体に対する割合ではおおよそ5%前後というのが平均値なようです。

新日本管理下タイトル

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続いてタイトルマッチ中、新日本管理下のタイトル(IWGP~~やNEVER~~と名の付くタイトル)のタイトルマッチ数と、タイトルマッチ全体に対する割合をまとめたのが上の棒グラフ。
新日本管理下のタイトルマッチ数は濃い青色で示し、おおよその大小関係が分かるように全タイトルマッチ数も重ねて表示してあります。
新日本管理下タイトルでいうとタイトルマッチ数は2017年にピークとなる66回を開催していますが、全体でいうと2012年が31回、2019年が54回という結果に見られるように新日本管理下のタイトルマッチ数も増加傾向にあるようです。
割合を見るとおおよそ70%台が多いようですけど、2015,2016年は60%台と他団体のベルト防衛戦が増えたのに対して2017年は一気に90%と急上昇しているのは中々不思議だ。

国内外比較

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続いてタイトルマッチの開催場所別データとして、日本国内で行われたタイトルマッチ数を緑色で示しています。
ここでも総タイトルマッチ数を薄い水色で重ねて示しているので、薄い水色が見えている分が国外でのタイトルマッチ数に相当します。
国内のタイトルマッチ数は2017年に69試合とピークを迎えた後、それ以降減少傾向にあり、2019年は全体の71%に相当する51試合が行われています。
タイトルマッチ数自体はあまり変化がないので、国内でのタイトルマッチ数が減少する一方で国外でのタイトルマッチが増加しているという傾向がここから見えます。
先日紹介したオーストラリアのメディアに対するメイ社長へのインタビュー(英語原文翻訳)では国外での戦略として「少数のビッグマッチから多数の小規模大会を」という方向へ戦略転換をしたとの話がありましたが、
それに加えて各大会において目玉となるタイトルマッチも開催するようになったことで国外でのタイトルマッチも増えたという気はしますね。
2018年は結構な大会場なのにメインがタイトル戦でないことがあったりしたんですが、2019年はある程度の会場であればきちんとタイトルマッチも開催している印象があるので、それが数値としても現れている形ですかね。

シングル/タッグ王座

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続いてはシングル王座とタッグ王座それぞれのタイトルマッチ数を比較、シングル王座は青色、タッグ王座はオレンジで示しています。
こうしてみるとシングル王座は、2012年は29試合2019年は46試合と、わずかに増加傾向にあるものの大幅に変化はしていないように見えます。
一方でタッグ王座は2015年から2016年にかけて13試合から33試合へと大幅に増加しています。
2016年というとNEVER6人タッグ王座が創設された年なのでそれによってタッグ王座自体の防衛戦数が増加した感はありますね。

王座戦参加選手数

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最後に、その年王座戦を行った選手数についてまとめ。
王座戦をした選手数を薄い黄色で、その内シングルに挑戦した選手数を緑、タッグに挑戦した選手数をオレンジで、そしてシングルにもタッグにも挑戦した選手数をピンクでそれぞれ重ねて表示しています。
総選手数でいうと一気に人数が増えたのは2016年、選手の大きな入れ替わりがあったのに加えてNEVER6人タッグ王座の新設によってかなりタイトルに挑戦する選手が増えたようです。
2015年と比較するとシングル王座への挑戦者数はほとんど変わっていない(35→37人)一方で、タッグ挑戦者数は17→46人と大幅に増加しています。
というか2015年はタッグ挑戦者数がわずか17人とかなり少なかったんですよね。
それを考えると2016年以降は、タッグ王座自体の増加の影響もあるんですけど、タッグに挑戦する選手数も徐々に増えて言っている模様。

一方でシングル王座への挑戦選手数は30人台であまり変化がないよう。
単純にシングル王座はIWGPヘビー・IC・US・Jr・NEVERとあるわけなので、人タイトルに対して6~8人で回している計算ですかね。(勿論他団体王座戦もあるのでより少ないとは思いますが)

また、何となく気になっていたシングル王座とタッグ王座の両方に挑戦した選手数、新日本では結構シングルとタッグで「部門分け」のようになっていてあまりその間で選手の行き来がないという印象があったんです。
2012年でいうとシングルに24人、タッグに22人いるうちわずか5人がどちらも挑戦だったのが、2019年はシングルに39人、タッグに52人、どちらも挑戦したのが17人と単純な人数でいうと3倍近くに。
シングルに対する割合でいうと25%程度から50%程度への増加していますが、はたしてこれが少ないのか多いのかについては他団体と比較しないとわからないかもしれません。
勿論「印象に残る」という意味では挑戦だけでなく王座獲得まで行かないと中々印象に残らないとは思いますが。

 

所感雑感

というわけで、初めはCagematchで集計したデータでやろうかと思ったんですけど「それだといろいろ抜けあるな・・・」と気づいて新日本公式からのスクレイピングからやり直した解析でした、地味に時間かかったわ・・・
こういう集計というと自分の周りで議題もとい話題になっていて調べてみて~というパターンが多いんですけど今回は「あっこれ調べられるな」と思ってやってみたタイプなので、何となくどこに結論を置くべきか迷っちゃった部分もあったりして、論文だとそこの筋書きがしっかりするまで決して投稿できないやつ。
まぁ最近の話題に関連付けると、やはり海外向けのタイトルマッチが着実に増えつつあるというのは気になりますね。
と言っても悪い意味ではなく、「新日本を知ってもらうために~」ということを社長も言ってたんですけど、やはり新日本の特徴はいわゆるストーリーよりも試合重視の形態、それをよりよく知ってもらうには実際にタイトルマッチをその場で行うことが重要、みたいな。
まぁ今年に関しては4月両国がMSGだったりしたのでその影響も多少なりともあるんでしょうけど、今後もこういう傾向は続きそうですね。

きょうはこれまで、それでは。