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各種数値で振り返る2019年の新日本プロレス:選手戦績編

2019年内の興行もすべて終了したこともあって、昨日からは新日本プロレス内でのMVP、ベストバウト投票も公式で始まったりしましたね。
MVPに関しては例年と同じ形式なんですがベストバウトに関しては少し何かしらの工夫(おそらく集計時に手間を増やさないため)があるようなのでそれを使って何か解析がしたくなってきますね。

その前にここでは、前回の興行成績編に引き続いて2019年の新日本プロレスの選手戦績編を振り返っていきたいと思います。

www.pwanalysis.com

 

集計したもの

今回も新日本プロレス公式サイトの試合結果ページ*1から2012年以降に行われた試合について、選手、試合時間、試合形式などのデータをWebスクレイピングで集計し、それを元にしたデータベースを用いて解析しています。

全体試合数

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まずはじめに新日本プロレスのリング上で行われた総試合数について、2012年から2019年までの試合数の推移を積み上げ棒グラフで示したのが上の図。
参考としてオレンジ色がシングルマッチの試合数、青色がそれ以外のタッグマッチなどの試合数になっています。
2019年の総試合数は1340試合、内415試合(30%)がシングルマッチで残る925試合(69%)がタッグマッチなどでした。
試合数の推移を見てみると2012~2014年にかけてはほとんど変化がなかったのが2015年以降年々増加を続け今年は1300人を超える結果に。
2018年までの数年でいうとシングルマッチ数はあまり変化がない一方でタッグマッチ数が増加することで総試合数が増える傾向でしたが、2019年は前年からシングルマッチ数が一気に100試合も増加し、2012年以降最多になりました。

タイトルマッチ数

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続いては新日本で行われたタイトルマッチ数について、先ほどと同じく2012年から2019年のタイトルマッチ数の推移を積み上げ棒グラフで示しており、オレンジ色がシングルタイトル、青色がタッグタイトル数になっています(ファーストコンテンダーマッチや権利証争奪戦などは除外)。
2019年のタイトルマッチは全部で70試合、その内シングルタイトルは45試合(64%)、タッグタイトルが25試合(35%)でした。
少なくとも今回集計した範囲ではシングルタイトルの方がタッグタイトルよりもより多く行われる傾向が新日本にはあるようです。
それもそのはず、今年行われたタイトルマッチとその回数を下に表の形で示していますが全15タイトルの内、10タイトルはシングルタイトルなのでそりゃ多いわねっていう。
それはさておき2019年はタッグタイトルの試合数は昨年と変化がなかったものの、シングルタイトルの試合数は増加し、2012年以降最多になっています。

2019年に試合が行われたタイトル及びその回数

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選手数

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ここでは各年において新日本のリングに登場した選手数を棒グラフで紹介します。
結論から言えば今年新日本のリングに登場したのは全部で160人となり、2016年に次いで多くなりました。
2016年と言えば中邑真輔・AJスタイルズを筆頭にした主力選手の退団があった年であり、選手の入れ替わりもあって登場選手数がかなり増えたわけですが、
2019年も年始にThe ELITEの面々がAll Elite Wrestling旗揚げのために離脱し、それに伴う選手の入れ替わりがあったため選手数が多くなったと考えられます。

平均試合数

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続いて上記の選手の平均試合数について、試合全体とシングルマッチでそれぞれ比較してみました。
試合全体は青いプロットで示され、軸は左側、シングルマッチのデータは赤いプロットで軸は右側に相当し、実際の数値は下の表にまとめてあります。
2019年の平均試合数は37.16試合/年であり、シングルになると5.26試合/年という結果に。
各選手の結果についてはまた後述しますが、ここで興味深いのは昨年と比べると平均試合数自体は43.8試合/年から6試合近く減少している一方で、シングル試合数は4.98試合からわずかとはいえ増加を見せています。

ここ最近の新日本プロレスではそこかしこで「試合数の増加」と「それによる選手への影響」についてよく話がされていると思います。
勿論プロレスの性質上ケガを0にすることは無理ですが、会社としてはそのスケジュールを調整することで選手のコンディション維持を助力するといったことが言われていたと思います。
今回集計できた数値は、言ってみれば「全体の試合数を減少させてコンディション維持をしやすくした上で、注目を浴びやすいシングルマッチの機会を増やしている」という風にも読み取れます。
勿論全選手が一律に同じ傾向にあるとは思いませんが、あくまで全体の傾向としてそのような配慮がマッチメイクになされている、少なくとも新日本のリング上では、ということが垣間見えます。

総試合数ランキング

ここからは各数値に関して新日本プロレス内でのトップ10の選手とその数値を順に紹介していきます。
まず初めに試合数関連で総試合数、シングル数、メインイベント数の3つを紹介。

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まず初めに2019年の総試合数のトップ10。
2019年最も試合を行ったのは鷹木信悟選手で156試合
2019年の総大会数が172試合だったので実に90%の大会に出場している計算になりますね。
鷹木選手も「移籍した最初の1年のインパクトが重要」という話をしていましたけど、まさに有言実行の働きっぷり、それでケガらしいケガもあんまりなかったのも凄い。
ちなみに調べてみたところ、今回の鷹木選手の年間156試合出場は2012年以降の新日本で最多記録のようです(これまでは2017年のEVIL・SANADAの149試合が最多だった)。
それを考えるとなおさら恐ろしいわこの人。

次点としては同じくLIJ、アニマル浜口ジム出身、そして昭和56年会と何かと縁のある内藤選手、
そして今年ラグビーワールドカップに大いに刺激を受けて奮闘したヘナーレ選手、
そして同LIJのBUSHI選手は大台140試合超えでした。

シングル数ランキング

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続いてはシングル数トップ10。
2019年最もシングルマッチを行ったのは現在海外遠征中の成田蓮選手で38試合でした。
例年シングルマッチに関しては、オープニングマッチで同期との試合が多いヤングライオンが上位に入り、2012年の”髙橋広夢”選手の41試合が最多になっています。
今年の成田選手に関してはBest of the Super Jr.とヤングライオン杯という二つのシングルリーグ戦に参戦したことがこのシングル数の多さにつながったようですね。
同じくヤングライオンの上村選手も30試合で3位にランクインしていますが、そのヤングライオンを差し置いて2位にランクインするオスプレイの異様なことよ。
オスプレイに関しては、もう方々でいわれていることですけど、NJC、BOSJ、G1にSUPER J-CUPまで参戦しているわけでそりゃ多いよな、という、

メインイベント数ランキング

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続いてはメインイベント登場数ランキング。
2019年最もメインイベントに登場したのは断トツの65回でオカダ・カズチカ選手でした。
2位のSANADA選手の37回とは30回近い差をつけてのトップ、ですが自身の試合数に対するメインイベント率(main%)が51.59%と過半数を超えているところも恐ろしい。
ちなみに全大会数172大会に対する割合でいうと38%程度になり「新日本プロレスを見に行くと3分の1の確率でメインイベントにオカダさんが出てくる」という状況だった模様。
しかし僅差とはいえ次点となったのが内藤選手でも棚橋選手でもなくSANADA選手だったというのはちょっと意外でもあります、今年一年のライバル抗争のおかげとも言えますが。

ちなみに2012年以降のデータでいうと最多は2012年の棚橋選手で全118大会中85大会でメインに出場していました、メイン率72%…その当時の棚橋弘至のエース感は桁が違うかもしれない・・・。

総合勝利数ランキング

ここからは出場した試合の内の各種勝利数についてトップ10を紹介していきます。
数値としては総合勝利数、シングル勝利数、タッグ勝利数、タッグでのピンフォール勝利数など。

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まず初めにシングルやタッグなどを合わせた総合勝利数のランキング。
2019年最も”勝利”したのは116勝で鷹木信悟選手でした、ちなみにこれも2012年以降最多記録になります(これまでは2016年の内藤さんの115勝が最多だった)。
まぁ出場試合数が最も多い以上勝利数も多くなり得るという意味では道理ですけど、その勝率も74%弱と結構高い辺り、勝ちまくってたんだなぁという感じはします。
ちなみにこのランキングのトップ5はLIJの5人が占めているあたり、LIJが勝利を収めることがかなり多い年だったといえるでしょう。
しかしそれに次ぐのがYOSHI-HASHI選手というのが意外オブ意外である・・・

シングル勝利数

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続いてはシングルマッチでの勝利数ランキング。
2019年最もシングルマッチで勝利を収めたのは22勝でウィル・オスプレイ選手でした。
思えば参戦したシングルリーグ・トーナメントではNJCでは準々決勝まで進出、BOSJは優勝と好成績収めていますし、思えばIWGPジュニアのベルトも保持してますしね、そりゃ多いわ。
そしてこの記録も2012年以降の最多記録となっており、これまでの最多は2013年のプリンス・デヴィット選手でした。
デヴィットはこの年BOSJ全勝優勝からG1参戦という、それこそ今年のオスプレイに近いことをやっていましたね。
思えばリーグ戦やタイトルマッチ以外のシングルマッチが多くない新日本においてはシングル数及びシングルでの勝利数を重ねるためにはBOSJ&G1参戦というのが必須になるのかもしれません。

タッグ勝利数

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続いてはタッグでの勝利数、ありていに言えば総合勝利数からシングルマッチでの勝利数を引いた数になりますね。
2019年最もタッグマッチで勝利したのは105勝で内藤哲也選手でした。
これに関しては総合勝利数ランキングと同じく、LIJの面々が上位を独占(&吉橋選手が次点に)しており、ユニットとしてタッグでかなり勝利を重ねていたということが見て取れます。
その中でも5人全員がそろう機会がなくてもLIJの中心人物である内藤さんはかなり良いチームワークの中で勝利をおさめられたのかもしれません(ちなみにこれも2012年以降最多)。

タッグ戦ピンフォール勝利数

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ここではタッグマッチにおいて自らが相手をフォールして勝利した、ピンフォールっ勝利数のランキングを紹介します、先ほどのランキングはチームの仲間がフォールしても良いわけですけど、ここではタッグマッチでいかに勝負を決めるのかが問われているわけですね。
そういうわけで2019年最も自チームに貢献し、タッグマッチでピンフォールを奪ったのはまさかのチェーズ・オーエンズ!40勝!
全タッグマッチ中のピンフォール率(team_win_pin%)事態は30%前後と勝率は良くないですが、タッグマッチでの勝利56回中40回、実に71%はチェーズみずからによる勝利ということになります。
思い返せばやたらとパッケージパイルドライバーを決めている姿が記憶にありますが、まさか1位になるとは・・・。

メイン勝利数ランキング

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続いてはメインイベントでの勝利数のランキング。
2019年最もメインで勝利を収めたのは18勝でオカダ選手でした。
まぁこちらに関してもメイン登場数がダントツだっただけに道理ではあるんですけど、その勝率自体は27.69%とかなり低めで、ランキングに入っている選手の中でいうとメイン勝率が最も高いのはジェイ選手だったりします。

総試合時間ランキング

ここからは試合時間に注目したランキングを見ていきます、今回集計したのは総試合時間、総シングルマッチ時間、平均試合時間、平均シングルマッチ時間の4つになります。

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まず初めに総試合時間のランキング、上の表ではhh:mm:ssの表記になっており参考に試合数も表記しています。
結果2019年最も試合を行っていた選手はオカダ選手で34時間1分41秒
同じく30時間超えをしたのは最多試合だった鷹木選手、内藤選手SANADA選手の3人ですが、これらの選手よりも試合数が少ないうえで総試合数が長いのは1試合1試合が長めな証拠ですね。
とはいえ1日と半日だけリング上で試合をしていたと考えるとなんだかすさまじい記録ですね。
ちなみに過去最長は2015年の棚橋選手で年間144試合で37時間19分41秒を戦っています。

総シングル時間ランキング

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続いてはシングルマッチのみに限定した総試合時間のランキング。
2019年最も長くシングルマッチを行っていたのはウィル・オスプレイ選手で11時間21分35秒!
上述したように今年一年様々なシングルリーグ・トーナメント戦に出場し続けた結果半日近くシングルマッチしてたことに・・・
この記録もまた2012年以来最長記録になっていますね。
ちなみに次点となったオカダさんの8時間23分49秒も歴代2位の記録になり、これまで最長だった2017年のケニー・オメガ選手の8時間1分4秒を超えることに。
3位の棚橋選手の6時間台も十分長いはずなんですけど、今年はオカダさんとそれ以上にオスプレイがシングルマッチをしまくっていたのがかなり逸脱した出来事だったかもしれません。

平均試合時間ランキング

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上記の総試合時間と試合数から平均試合時間を計算してみました、ちなみにビッグマッチのみ参戦の選手などだと不当に高くなりがちなので総試合数が10試合以上の選手に限定しています、悪しからず。
結果として平均試合時間が最も長かったのは16分12秒でオカダ選手に。

平均シングル時間ランキング

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続いてシングルマッチに関しても同様に解析すると、最もシングルマッチでの平均試合時間が長かったのも23分59秒でオカダさんに
ちなみに前述の全体平均と比較するとトップ4のメンツこそ変わらないものの、SANADAがシングルではより試合時間が長く順位を上げる結果になっています。

 

所感雑感

というわけで今回は選手の成績についてのまとめでした。
いやしかし今年は色んな新記録が出すぎでしたね、しかもそれを達成しているのが大体鷹木選手がオスプレイ選手という、そりゃあファン投票のMVP候補の筆頭にも名を連ねてくるわね。
まぁとはいえ今後も各種大賞モノはあると思うのでその参考になれば幸いです、日本プロレス界全体に関しては年が明けてからまた集計するつもりではありますけど。

きょうはこれまで、それでは