【9/12 追記・修正】
つい先日のことですが、海外のプロレス情報サイトで「来年の新日本のG1CLIMAXはオリンピックを避けて9月・10月に開催されるかも」なんていう話がありました。
もちろん公式リリースはないのであくまでも憶測・計画ではあるんですけど、確かに東京都内の主要な会場が軒並み使えない時期にやるのは得策ではないなぁと。
もちろん「オリンピック期に東京の会場が使えない」というのを避けるには時期以外に場所をずらす方法もあり、「海外も含めて東京以外でG1をやるのでは?」なんという考えもあるにはあるんですが、如何せん新日本において東京の動員数は他のエリアとは桁が違うんですよね。
とりあえず昨年のデータだけど都道府県別観客動員数分布
— ロージャ🦈 (@RodyonPhD) August 29, 2019
具体的数値でいうと東京が13万人弱、2位の大阪が3万人弱で10万人近く差がある、というのを考えるともう「東京で興行を打てない」が新日本にとってどれだけ打撃になるのかっていう pic.twitter.com/LDjiz2vrXx
というのも以上のようなデータを昔取ってたからなんですけど、ふとこの時に「新日本は東京の動員がやはりダンチだけど他の国内団体でどうなんや?」とも思ったので調べてみました。
【9/12】
集計していたもののすっかり載せるのを忘れていた大日本プロレス(BJW)に関するデータを追記しました。
またCagematch上では新日本のワールドプロレスリングも試合結果として載っており、そこに動員(Attendance)が併記されていることを忘れていたため、最後の全体的数値推移についてはデータを修正、差し替えています
動員・大会数分布についてはワープロの試合結果に表記がないため影響ありません。
集計手法
冒頭に紹介したツイートで示したデータは自分が定期的に集計している新日本プロレス公式サイトの大会・動員のデータから算出したものなんですが、
如何せん他団体もとなると各団体の公式サイトのスクレイピングを一からしなければならず面倒だったので、いつもお世話になっているCagematchでの大会結果を集計しました。
国内外を問わずいろんな団体の大会情報が統一のフォーマットで載っているというのに加えて、構造的にかなりスクレイピングしやすい形になっているのでやりやすいんですよね。
とはいえ、ファンによるデータベースサイトであるCagematchの難点としてデータベースにも抜けがあったりタイポもあったりで、集計したデータも完全なものではないという可能性も否定できないのであくまで参考にとどめていただけると幸いです。
動員・大会数分布
というわけでまず初めには冒頭のツイートのデータと同じく2018年のプロレス団体の大会情報を収集し、各都道府県における動員・大会数の分布をまとめています。
新日本プロレス(NJPW)
最初に冒頭のツイートでも紹介していた新日本プロレスの各都道府県の動員(左)と大会数(右)の分布。
以前のものとカラースケールが変わってますが、ほぼ似たような分布になっているはず。
こうしてみると1万人クラスの会場でのビッグマッチがある東京大阪がダントツで動員・大会数ともに多いのが分かります。
それに次ぐのが福岡・愛知で、大会数こそ多くないものの北海道(札幌?)、新潟(長岡?)、兵庫(神戸?)、広島が動員が多いですがやはり定期的に(年に複数回)ビッグマッチがあるのは大きい模様。
大会数の分布でいうと東日本をほぼ1年で制覇しているんですがそれと比べると西日本地方にはチラホラと大会開催がない県があるのが特徴か、その辺り在住のファンは大阪や福岡のビッグマッチへの遠征が大体なんですかね。
全日本プロレス(AJPW)
続いては全日本プロレス、一時は規模縮小を余儀なくされた印象がありますが結構日本全国を回っているのが分かると思います。
メインとなっているのはやはり東京・名古屋・大阪の三大都市圏に加えて北海道でも大会数からして多いのは結構意外。
全日本の今のメンバーでいうとゼウスや崔選手など大阪出身者が多いイメージもあり大阪の大会数がもっと多いのかと思ったんですがそこまででもないという。
プロレスリング・ノア(NOAH)
続いては新体制に移っているノア、とはいえリデット傘下になりいろいろと大幅に変わるのが2019年初めからなのでその直前のデータってことですね。
新日本・全日本と比べるとやはり地方での開催が少なく、関東圏近郊が多い感じですね。
特に埼玉・静岡での大会数が5件以上なのは今回調べた5団体の中で唯一だったりします、イメージとしては埼玉静岡当たりなら東京までくる場合もあるし・・・でそこまで増えない気もするんですけど、埼玉・静岡県民にやさしい団体、ノア・・・
(ちなみに2019年のデータもちょっと見てみましたけどそれほど変化はないですね)
ドラゴンゲート(Dragon Gate)
続いて今回調べた中では唯一の関西が拠点の団体ドラゴンゲート。
当然のことながら東日本での大会開催数はかなり少なく、東京での開催数も10件台。
道場とかがあるのが神戸とあってかなり兵庫県内での大会数が多い印象ですが、それ以外でいうと福岡、名古屋東京と定期的にビッグマッチのある地方が動員が多い感じですね。
とはいえ意外に九州・中国地方をみっちりやっている感じはなく、むしろ東海地方の動員が多いのはその周辺出身の選手が多いからですかね。
DDTプロレスリング(DDT)
続いてはサイバーエージェントグループの一員となったDDT、株式譲渡したのが2017年なのでそれ以後のデータです。
図を見てわかるように大会は首都圏、というか東京にかなり集中しており、地方大会は今回集計した団体の中でもすくなめ。
現在DDTはAbemaTVで中継番組もやっており、その際には後楽園や新木場などで大会を行っているため、かなり東京での開催数が増えている関係はあると思います。
大日本プロレス(BJW)
【9/12】追記
最後に大日本プロレス、集計していたのにすっかり忘れていました。
後述しますが結構Cagematchのデータベースに抜けがある気がするのであくまで参考までにしていただけると幸いです。
特徴としてはなんと言っても北海道の大会数の多さ、会長であるグレート小鹿選手の故郷とあってかなり頻繁に大会を行っているんもが分かります。
その一方で本州での大会は結構まばらと言え、都内にかなりの興行が固まっていることもわかります。
全体的数値推移
というわけで分布を示したわけなんですけど、元々気になっていたのは「地方大会の多さ」とか「東京に大会が固まってないか?」というところなのでその辺の数値もまとめ、今回は2012年から2018年までのデータも使って推移を示しています。
【9/12】修正済み
まず初めに各団体が興行を行った都道府県数の推移です。
こうしてみるとドラゲーはほぼほぼ安定して35~40の都道府県を巡っている感じですね。
新日本と全日本に関しては2014~2016年にかけてそれぞれ増加・現象が見られましたが今はほぼドラゲーと同じ値に落ち着いています。
全日本に関しては親会社交代のいざこざがあって不安定だった時期に重なりますかね、新日本についてはちょっとわからんですが。
対してノアは大まかには減少傾向にあり、2017年に一度増えたものの2018年に30弱に減少しています。
で、最も少なくなったのはDDT、元々20台とかなり少なめだったんですが2015年以降増加したものの2018年にガクッと減少。
最も少なかったのは大日本、一時期はDDTの方が少なかったのですがここ数年で県数が増え、抜かれた形ですね。
また直近のデータを見ると、2017年から減少したのはノアとDDTと大日本、他の3団体はわずかながら増加と2タイプに分かれた感じですね。
【9/12】修正済み
続いては動員(右)及び大会数(左)の東京を占める割合の推移。
大まかな分布を見てみると、関西が本拠地のドラゴンゲートはかなり東京依存度が低く、新日本全日本ノアそして大日本はは中間、そしてDDTがかなり依存度が高いという感じに。
中間の中でも新日本と全日本は動員依存度が低めで、ノア大日本は高め、
対して大会数依存度ではノアと全日本が低めで、新日本と大日本が高めという感じに分かれています。
特に動員面でいうと新日本とノアは50%近くが東京を占めており、DDTに至っては70%近くとかなり高く、2020年のオリンピック期の影響が大きそうな感じがしますね。
動員面でいうとDDTはもちろんのこと、ノア・大日本が50%以上を占めており、2020年のオリンピック期の影響が大きそうではあります。
逆に全日本は近年動員での依存度が下がりつつあり、地方の動員増加ができている証拠かもしれません。
推移を見てみると新日本は2014~2016年にかけて依存度が高まったあたり、この間により東京重視の方針に変わった感じがあります。
対する全日本は大会数は変化がないものの動員では東京への依存度が下がっているあたり、東京以外でのビッグマッチが相対的に増えているのかもしれません。
おまけ:動員・大会数推移
【9/12】修正済み(旧データでは2014年以降にワープロの動員数データが含まれていたようで過剰に新日本の動員を見積もっていたようでした、すみません)
最後に地域分布は関係ないですけど観客動員の推移を紹介。
まぁ当たり前ではありますが現在は新日本がダントツ、とはいえ2012~2014年ころはまだ他の団体との差は小さかったものの2015年以降はかなり差が開いてしまったのかなぁという感じはします。
多少の増減こそあれ、年々差が開いているような感じがあります。
左の図だと他の団体の変化が分かりづらいので新日本のデータを除いたのが右側になります(各プロットの色が左と違うのでご注意を)
こうしてみると2012年以降いずれの団体も動員は減少傾向なんですよねぇ、ここ数年でいえば全日本が上昇傾向にありますが。
大日本プロレスは2012年以降徐々に動員が増加していましたがここ2年は減少傾向になっていますし、DDTは2015年をピークに、ドラゴンゲートも2014年をピークに減少傾向にあります。
ノアは2013年をピークに大きく減少傾向にありましたが、2018年に増加、果たして2019年はどうなるか・・・
巷では「『プロレスブーム』でなく『新日本プロレスブーム』だ」なんていうことも目にしますけど、新日本の動員増に相反してその他日本のプロレス団体の景気は悪いのかもしれない・・・厳密に調べてみるには他の団体も併せて調べてみる必要がある気もしますが。
【9/12】修正済み
一方でイベント数、2012~2014年ごろまではドラゲーが一番多かったっていうのはちょっと驚きですが、2015年からは新日本が追い抜いた形。
ドラゴンゲートが期間を通じて最も大会数が多い形ですが、
それを追いかけるようにしてDDTもドラゲーレベルに大会数を増やしているのが興味深いです。
一方ノアと全日本はそれらと比べると大会数がかなり少ない状態のまま、という風にも見えますね。
新たに加えた大日本は140件程度、なのですが、以前集計したデータ(大日本プロレスの公式サイトをスクレイピング)と結構な差異があるのでやはりデータに抜けがある気はします、あくまで参考までに。
所感雑感
というわけで各団体の各都道府県での大会についての報告でした。
冒頭にも書きましたがデータとしての信用度としては少し疑問があるだけに参考までに、ということで。
まとめてみると「実は日本のプロレスって新日本以外減退してるんでは?」という疑惑も出てきたのでちょっとそこは改めて調べてみたいところです。
イメージとしてはWWEが全米制圧した以降のアメリカもそういう傾向がありそうな気はしますが、日本もそれに近い現象が起きているのかもしれません。
きょうはこれまで、それでは