2020年も幕が開け、早くも各プロレス団体が今年の活動を開始しているようで既にネット上も色々とにぎわっている心地がします。
とはいえ今日も弊ブログでは2019年の振り返り解析をしてきたいと思います。
というわけで表題の通り、2019年に日本国内で行われた全プロレス興行のデータを集計し、2019年のプロレス界について振り返っていきたいと思います。
2018年の結果はこちら
集計したもの
今回も国外のプロレスデータベースCagematchに掲載されている興行のデータの内、日本国内で開催されたすべてのプロレス興行についてWebスクレイピングを用いてその開催団体、動員等のデータを集計しました。
Cagematch自体が国外のファンによるデータベースであるので掲載興行の抜けや誤りも含まれるとは思うのであくまで一つの参考程度にしていただけると幸いです。
大会・動員数
まず初めに2019年に日本国内で行われた総大会数は1934大会、総動員は113万4526人となりました。
大会数に関しては2015年から右肩上がりの増加中で、昨年比でも+74大会の増加となっておりこのペースで行くと来年には大台の年間2000大会に到達しそうな勢いですね。
とはいえ来年はオリンピックによって都内での興行開催の難易度が上がりそうなのでそうはいかない可能性もありますが。
それに対して動員に関しては2016年からの増加中、ではあるものの昨年からの伸び率は鈍く、+2000人の増加に留まりました。
複数回会場に足を運ぶファンの存在もあって総動員=ファン層の規模とは言えないものの、ファン層が拡大/縮小すれば動員も増加/減少する相関関係はあると思われるので、そういう意味では増加の鈍りはなかなかファン層の拡大ができていない、頭打ちになっているということかもしれません。
上のデータを用いて各年の一大会当たりの平均動員を計算してみた棒グラフですが、2019年の平均動員は586人/大会で、2018年からは-22ポイントの減少となっています。
減少傾向は過去最高数値となった2015年以降続いていますが、2017年から特にその減少傾向が強くなっているようにも見えます。
大会規模別大会数
続いて大会の動員数別の大会数の割合を調べてみた結果が上の棒グラフで、0~50人が青、50~100人がオレンジ、100~500人が緑、500~1000人が赤、1000~2000人が紫、2000~5000人が茶色、5000人以上がピンク、動員数不明の大会が灰色で示してあります。
2012年以降のデータをみても最も多いのは100~500人の大会が多いんですが、年が経つにつれてその割合が多くなり2016年以降は過半数の大会が100~500人規模の大会となっています。
また500人以下の大会数割合でいうと2019年は過去最大となっており、小規模会場での大会がより一層増加した1年だったといえるかもしれません。
それによって平均動員も減少したようですね。
団体別動員割合
2019年の動員の内訳を団体別に示したのが上のグラフ。
最も多かったのは新日本プロレスで41万6650人(36.7%)、次いでドラゴンゲート11万3108人(10.0%)、全日本プロレス8万1455人(7.2%)、DDT6万9901人(6.2%)、ノア5万5551人(4.9%)、大日本5万139人(4.4%)、スターダム3万3353人(2.9%)、W-1は2万7638人(2.4%)などとなっています(割合2%以上の団体のみを図示)。
注目すべきは特定の団体でないフリーランスの興行(と判別された大会)の総動員が3万7285人(3.3%)と結構多かった点。
昨年比でも大会数も総動員数もかなり増加しており、団体主催でないスペシャル興行がかなり多かった年でもあったようです。
また2019年は「業界2位」という言葉をいくつかの団体が主張した年でもありましたが年間動員の面でいうと2019年の「業界2位」はおそらくドラゴンゲートだったと思われます。
参考として2019年の総動員上位だった新日本(NJPW)、ドラゴンゲート(Dragon Gate)、全日本(AJPW)、DDT、ノア(NOAH)の5団体の動員割合の推移を積み上げ棒グラフで示したのが上図。
2012年以降動員割合で首位をキープしている新日本ですがその割合自体も年々増加傾向にあり、2019年の36%は2012年以降最高の数値になっています。
2位につけているドラゴンゲートも例年その位置をキープしていますが、その割委は2015,16年の16%をピークにしてそれ以降減少傾向になり、2019年も昨年の10%から9%へと減少し、動員も12万人から11万人へと減少を見せています。
同様にノアも昨年の5%から4%へと減少し、動員も5万9千人から5万5千人へと減少を見せました。
割合で維持を見せたのはDDT(6→6%)と全日本(7→7%)ですが動員ではそれぞれ8万6千人→8万1千人、7万1千人→7万人弱と減少を見せる結果に。
結果的に1位との差こそ広がっていますが、逆に「業界2位」に関してはこれまでと比較してもかなり狙いやすくなっている状況になっているかもしれません。
しかし新日本を除いて上位団体で動員が増加したところがなかったというのは結構意外かもしれません。
増減別団体数
上記のように2019年は上位団体でも動員が減少した団体が多かったんですが、果たして他の団体はどうなのか?ということで前年と比較して動員が増加した団体数(Increase)と減少した団体数(Decrease)を調べてみたのが上の棒グラフ。
2019年総動員が増えた団体は22団体で新日本、大日本、Wrestle-1、ZERO1、スターダム、東女、アイスリボンなどがここに該当します。
一方で総動員が減少したのは29団体で、全日本、ドラゲー、DDT、ノア、仙女などがここに該当します。
2018年と比較すると動員が増加した団体が10団体近く少ない結果になったのも、プロレス業界が全体的に苦戦した年だったと言えるかもしれません。
今度は平均動員で比較してみた図ですが、平均動員が増加したのは18団体、減少したのは30団体となりました。
増加団体は新日本、ノア、DDT、ZERO1などで、ノア・DDTに関しては総動員が減少しているものの平均が上がったということは興行数を絞って1回の動員数を上げ、集客の効率を上げたのかもしれません。
減少団体は全日本、大日本、ドラゲー、WRESTLE-1、アイスリボン、仙女、東女、スターダムなどでした。
大日本、WRESTLE-1、スターダム、アイスリボン、東女などは総動員は増加しているので小規模の大会数を増やしていったようですね。
おまけ:主要団体各種数値リスト
以下では年間40大会以上を開催した団体について、2019年の大会数(Event)、2018年からの大会数変化(Event_dif)、総動員(Attend)、総動員変化(Attend_dif)、平均動員(Average)、平均動員変化(Average_dif)について載せています。
順番としては総動員順に並べてあります。
所感雑感
というわけで2019年のまとめもようやくできました。
しかしまとめてみると結構動員面で苦戦している団体が多いなぁという印象が強いという。
プロレス業界全体として何か大きな痛手になるようなことがあったのか、というとちょっと思い当たらないんですが、各団体に絞って考えると何か理由が見えてくるかもしれないので、各団体でなんかそれっぽい理由があったら教えていただけるとありがたいです。
とはいえ世界規模で見てみるとAEWのスタートやNXTのテレビ放送開始、そして国内女子団体でいうとブシロードによるスターダムの買収など大きな出来事があったわけですけど、そういうのがあった年に動員面であまり良い結果でなかったっていうのは何となく心配になっちゃうとこですね。
とはいえそういう施策の効果が出るのが2020年だとも思えるのでちょっと注視していきたいところです。
きょうはこれまで、それでは