プロレス統計

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各種数値で振り返る2019年の新日本プロレス:興行成績編

つい先日のRoad to TOKYO DOME後楽園三連戦をもって新日本プロレスの2019年内の興行もすべてが終了しました。
外国人選手はそれぞれ帰国の途に就き、日本在住選手もひと時の休息かそれともドームに向けてのプロモーションに励み、ファンは早くも2020年に目を向けているかもしれません。
しかしその一方で重要なのは2019年を振り返ること、ということで今回から何回かに分けて2019年の新日本プロレスについて振り返っていきたいと思います。

まず今回は主な興行成績について各種数値で集計・解析していきたいと思います。
昨年の同様の解析はこちら

 

集計方法

今回も新日本プロレス公式サイトの試合結果ページ*1から2012年以降に開催された興行の開催日、場所、動員などのデータをWebスクレイピングで集計し、それを元にしたデータベースを用いて解析しています。

大会数、動員

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まず初めに2019年の新日本プロレスの総大会数は172大会総観客動員は46万7492人となりました。
上のグラフは折れ線グラフが2012年から2019年にかけての大会数の推移、積み上げ棒グラフが各月の動員を色分けした2012年から2019年にかけての動員の変化になっています。
図を見るとわかるように2019年は10月の時点で昨年の総動員(43万113人)を超え、11,12月の動員だけさらに動員を積み重ねた形になりました。

昨年からの増減を考えると大会数に関しては+12大会、10%の増加となり、2017→2018年が2大会増加のみのわずかな減少だったのに対し、今年は大幅に大会数が増える結果に。
その内訳についての解析は後述しますが、日本国内の興行は昨年からほぼ変化がなく、代わりに日本国外での興行が一気に増えたことによる増加であることが分かっています。

また、動員に関しては昨年比で4万7379人、11%の増加となっており、わずかながら大会数の増加以上に動員が増加しています。
2016年以降のデータに注目すると、毎年5万人前後の動員の増加が起こっているので来年は大台となる50万人を超える可能性も出てきますね。
そもそも東京ドームが2連戦でそこそこの動員が期待できるという話もあるのでその時点で前年比+2~3万が期待できるのでそれ以外が例年通りだったとしても50万は超えそう。

平均動員

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上述した数値から各年の1大会当たりの平均動員を計算したのがこちら。
2019年の平均動員は約2717人/大会となり、昨年から比較して+58人/大会の増加という結果に。
歴代のデータでいうと2014年の2860人/大会と比較しても低い数値となっていますが、新日本プロレスでは2015年半ばから観衆の発表方式を変更したと考えられるため、2015年以降でいうと過去最高の平均動員を記録しました。

月別動員

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続いて各月の動員を昨年と比較する形で見てみます。
2019年自体のデータについては12月にまた載せるつもりではありますが、ここでは2018年のデータを青、2019年のデータをオレンジ色で示しています(実際の数値は下の表に)。
こうしてみると例年、やはり東京ドーム大会のある1月が最も動員が多く、それに次ぐのがG1終盤のある8月という形のようです。

今回は各棒グラフの上に「昨年と比較した場合の動員の増加率」を%で示しています。
これを見ると昨年比で動員が減少したのは1、3、7、10,11月の5か月になっていますがその数値としては0~3%の微減にとどまっています。
一方でその他の月は動員の増加が観られ、2月は61%、6月は39%、9月が43%と大幅に増加を見せています。
2月はNEW BEGINNINGの札幌に連戦が2月にずれ込んだため増加したと思われ、6月にはBOSJ決勝の両国大会が、9月はおそらくイギリス・ロンドンでのビッグマッチRoyal Questがあり、と昨年と比較して大きく大会構成が変わった月は動員が増加したようです。

シリーズ別

続いてシリーズごとに各種数値を見てみます。
上述の通り月ごとだと結構ビッグマッチの行き来が月の間であったりするのでシリーズごとに見たほうが良いんでは?という気もしていたので。

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まず初めに大会数を各シリーズについて棒グラフで示しました。
ちなみに各シリーズは「6大会以上」の長期シリーズに限定しており、棒グラフの内側は各種数値、その上部には昨年比の増加率を示しています。
色別にしたのは果たしてよかったのかどうか・・・と思いつつ表記順に関しては左から数値の大きい順に並べています(色はどのグラフでも共通です)。
まず上のグラフは各シリーズの大会数ですが、今年最も大会数が多かったのはG1 CLIMAX(G1)で19大会、それに次ぐのが年末のWORLD TAG LEAGUE(WTL)とジュニアのBest of the Super Jr.(BOSJ)いうようにリーグ戦は特に大型化しつつある感じですね。
通常シリーズでいうとNEW BEGINNING(NBG)がビッグマッチ3回に海外巡業も含めるようになったので年間でも最長のシリーズのようです。

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続いては各大会の総動員についての棒グラフ。
動員面で見てみるとまさに圧倒的でG1が9万7191人を動員しています。
それに次ぐのが3万人台でWTL、NBG、レスリングどんたく(Dontaku)そしてNEW JAPAN CUP(NJC)という形になっています。
大会数では3位タイに入っていたBOSJですが動員でいうと7位に陥落の形。

総動員の増減ででいうとWTL、とPower Struggle(PST)、そしてFantastica Mania(FM)の3シリーズのみが主な毎年恒例シリーズの中では総動員が減少したという結果に。

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これを踏まえて平均動員を調べてみるとまたもやランキングの変化が。
ダントツの1位となったG1が平均動員5115人/大会となったのは毎大会がビッグマッチ暮らすなG1だからこそできる平均動員という感じ。
それに次ぐのがNJCで2560人/大会となっており、この2シリーズのみがここで上げた毎年恒例の10シリーズの平均動員(mean:2389人/大会)を上回る結果になっていました。
「平均」というものはその中に一つ極端な値がある場合大きく体感とズレる場合がありますが今回はG1がまさに特異点にすぎますね。
そういう場合により「平均」に近い印象にちかづくのが中間値medianでここでは1688人と計算され、それを上回っていたのはDontaku、NBG、Destruction(DEST)、WTL、BOSJ、KIZUNAロード(KIZUNA)を加えた8シリーズ。
PSTとFMに関してはそれぞれ平均・中間値共に下回る結果になっています。

こういった平均動員のランキングについては「どのシリーズが人気か/動員力があるのか」についての指標になるのではと考えます。
そういう意味でいうとやはりG1が頭二つ抜けた人気/動員力を持っているというのは確かなようです。

海外興行

今年の新日本プロレスはアメリカ現地法人NJPW of Americaを設立するなど海外進出に力を入れた一年でもありました。
そういうことを検証する意味で日本国内で行われた興行と日本国外で行われた興行(アメリカは勿論イギリスなども含みますが、ほとんどはアメリカ)で各数値を比較してみます。
ここでは日本国内興行のデータを赤色、国外興行のデータを青色で示します。

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まず初めに上図は2012年から2019年にかけての国内/国外興行数の推移を示した図ですが、2017年以降の日本国内の興行数は156から155大会とほとんど一定、むしろ今年は1大会減であるのに対し、国外興行は2018年の4大会から2019年は17大会と一気に増加を見せました。
これはいつぞやのメイ社長のインタビュー*2でも「ビッグマッチを単発で行う方針から小~中規模の大会をいくつも行い、ブランドを定着させる方針へ変化させた」との発言を裏付けするけっかになっていると思われます。

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対してこちらの図は国内/国外の総観客動員の推移となっています。
2019年の日本国内の総観客動員は42万1209人国外は4万6283人となりました。
日本国内に関しては昨年比で2万人弱、4.9%の微増となりましたが一方で国外では昨年比で3万人、176%の大幅増加となりました。
今年に関しては勿論マジソンスクエアガーデン大会やG1開幕戦のダラス大会、イギリスビッグマッチの開催などのビッグマッチも開催されたために大幅に動員が増したのだと考えられます。

 

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これを踏まえて各年の平均動員を計算したのがこちら、これまでのデータは数字の桁が違っていたためにそれぞれのデータの表示域を別にしていましたが、ここでは比較のため縦軸の表示幅を同じににしています。
2019年の日本国内興行の平均動員は2717人/大会国外興行では2722人/大会となりました。
日本国内に関しては昨年から100人/大会程度の微増にとどまりましたがあまり大きな変動はなく、ほぼ安定した状態にあるといえます。
一方で国外に関してはここ数年で大きく変動が見え、昨年比では1400人/大会の大幅減にも見えますが、これに関しては上述したように新日本プロレスの海外(主にアメリカでの)戦略に方針転換があったためであると考えられます。
2018年は特にビッグマッチを連発していたので平均動員はかなり高くなっていた一方で、今年はビッグマッチの頻度を多少落とし、小・中規模の大会を増やしたため平均動員が減少、というか日本国内と同程度の規模になったとも言えます。

こういったデータを総合してみると、2019年は結果として「日本国内は大会数・動員に関してはほぼ維持もしくは微増」「海外では小・中規模大会を中心に大きく大会数を増加」ということになったようです。

都道府県別

続いては日本国内限定ですが、都道府県別の大会数・総観客動員・平均動員の分布と昨年比の変化について紹介します。
以下では左側が2019年の各都道府県の分布、右側が2018年と比較して2019年に各数値が増加したのか減少したのかの図になっています。

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 まず大会数に関しての分布ですが、2019年に大会が行われず白色になっているのは佐賀・長崎・宮崎・徳島・和歌山・栃木の6県となりました。
2018年も見てみましたけど2018年も佐賀・長崎・宮崎・徳島・和歌山は大会がなかったようで新日本未開の地であるということかもしれませんが、よく考えればそれぞれ近くに福岡・大阪と頻繁に大会がある大都市があるのでそこへみんな見に行くのかもしれません。
とはいえ全体を見てみると3大会以上の開催となった緑色の都道府県の数が昨年と比べてもかなり少ない印象もあります。
最も大会数が多かったのは勿論東京で年間50大会が開催され、それに次ぐのは大阪で13大会でした。
ちなみにアメリカでの大会数が16大会だったのでアメリカ大会は東京に次いで高い頻度で行われたとも言えそうです。

右図の大会数の昨年比の増減を見てみると、大会数が増えたのはどんたくなどのある福岡、および関東地方の都道府県に固まっているように見え、首都圏での大会が増加傾向にあるかもしれません。

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続いては都道府県別の総動員の分布。
最も動員が多かったのは勿論東京で2位を大きく引き離した16万7654人の動員を果たしています。
ちなみに東京の動員数は2019年の総動員数の35%に相当しており、依然として興行面における東京への依存度は高いようですね。
それに次ぐのは大阪で4万3036人、その次がアメリカで4万217人となっています。
ちなみに大会があった中で最も動員が少なかったのは福井で952人、次点は三重で972人でした。

昨年比でいうと大会数の増加は部分的ではありましたが動員面では半分程度の都道府県は動員の増加がみられました。

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続いて平均動員については北海道が5967人/大会で1位、次点は兵庫で5464人/大会とこの2道県のみが5000人/大会の大台を超える結果になりました。
北海道に関しては2月のきたえーる2連戦とG1のビッグマッチ3大会のみでいわゆる地方巡業がないためにここまで高い平均動員になったかと思われます。
同様に兵庫もNEW JAPAN CUP及びDestructionの最終戦の実だったためかなり平均動員が高くなったかと。
ちなみに全体で平均動員が最も高かったのはRoyalQuest1大会のみだったイギリスで6119人でした。

おまけ全都道府県大会数・動員・平均動員まとめ

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所感雑感

というわけで忙しくも楽しい季節がやってきました。
実はこの記事を書いていた22日夜の時点ではまだ21日の観客動員が公式ページに掲載されていなくて、プロレス格闘技DXに記載されてた数字(1727人)を使ってたんですけど、今朝掲載された数字が1772人で「違っとるやんけ!」となって慌ててデータを差し替えたりしています、本当もう勘弁して・・・
そしてさらに公開直後に集計のミスで4つの大会を重複して計算していたことも発覚し・・・いや本当に驚いたのだわ、現在は元データから修正済みです。

それはさておき、なんだか例年は単純に数値をまとめるだけまとめてた気もするんですけど、今年はもう一気に気になってた解析もやっちゃおうがコンセプトです。
国内外での比較については常々自分も気になっていたことだったので行いましたけど、他に何か気になることがあるのであれば追い解析するので私のTwitterでもここのコメントにもリクエストをお願いします。
この記事が何らかのプロレス議論の良い種になることを祈っています、その時はソースとしてリンクを張ってね。

きょうはこれまで、それでは