プロレス統計

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新型コロナウイルスCOVID-19による日本プロレス界への影響概算

新型コロナウイルス(COVID-19)は実社会に大きな影響を及ぼし、その対象はプロレス界も例外でない、どころか下手するといろんな分野の中でもかなり重大なダメージを与えたような気がする昨今です。
2月末に要請された政府からの2週間の大型イベントの自粛要請によって多くのイベントがキャンセルされ、多少のタイムラグをもってその影響が表れたアメリカではWWE年間最大のイベントであるWrestleManiaが無観客で行われることになった、というニュースも大きなインパクトがありました。

とはいえ2週間+αの自粛期間を経て、少なくとも日本国内ではチラホラと中規模のイベントが開催されるようになりました。
まぁ実際首相官邸からのリリース*1だと大型イベント自粛による効果を認めつつ「今後は、主催者がこれ(専門家会議で『主催者がリスクを判断して慎重な判断をすべき』と見解を示したこと)を踏まえた判断を行う場合には、感染対策のあり方の例も参考にしてください。」という風にしていて、「自粛の徹底」という感じは弱まった感もありますしね。
一方で先日のK-1に関しては埼玉県と関係大臣から中止要請があったりで、いまだに予断を許さない感じではあります。

とはいえ興行会社が興行を打たなければ潰れかねないのは自明な理、そこには少なくない数の人間の生活、すなわち命がかかっているわけです(だからこそ最初の2,3週間と違って明確な”自粛”要請を政府も出せないんだろうけど、出すとしたら流石に保証がなきゃならん)。
こんなタイミングだからこそ今一度それを再認識するためにこの3週間にどんな影響・ダメージがプロレス界にあったのかを簡単にまとめておきたいと思います。

 

集計したもの

COVID-19による影響はプロレス業界に限っても多方面にあったとは思いますが、一番わかりやすい指標として今回は新日本プロレス、全日本プロレス、DDT、ノア、ドラゴンゲートの5団体でキャンセルされた大会に関して調べてみました。
キャンセルされた大会数については公式サイトで簡単に調べられるんですが、ここからさらに「開催されていた場合どの程度の動員が見込めたか」≒「COVID-19によってどれだけの観衆を失ったのか」を同会場の過去の平均動員を計算することで算出してみました。

新日本プロレス

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まず初めに新日本プロレス、キャンセルされたのは1日~21日までの間に予定されていた16大会
上の表では過去動員は同会場の2016年以降の平均動員を用いていますが※マークの付いたアオーレ長岡二連戦に関しては昨年の二連戦での動員を用いています(ビッグマッチ連戦だと1日目、2日目に差が出ることが多いので)。
その結果から予想する16大会の予想動員の合計は3万7316人
この人数がつまりCOVID-19で新日本プロレスが失ったと思われる観客数なんですが、これがどれぐらいの影響かを調べるために2019年の総動員(46万7492人、海外興行含む)に対する割合を計算してみると7.98%となりました。
これから他の団体についても紹介はするんですが、結果的に新日本プロレスは大会数、予想動員、及びその割合のいずれも最大の値となっており、国内プロレス団体の中でもCOVID-19による被害が最も大きかったと言えそうです。

新日本は現在3月末の両国国技館大会の開催するのかどうかについて注目が集まっていますが、もしこちらもキャンセルした場合、2018年4月の両国大会の動員が9882人だったことを踏まえて計算すると失った観客数は4万7198人となり、2019年の総動員に対する割合も10%を超えることになります。
こう考えるとおいそれと「とりあえずキャンセルしちゃおう!」というのはなかなか言えないですよね。

(公式リリース)

【3/23追記】

23日の夜に新日本公式から31日の両国大会に加えて11日の相模原大会も開催中止となることが発表されました。
まだ12日以降の大会に関しても決定していないようです。
結果的に新日本のキャンセル予定の大会は18大会、失った予想観衆の総数は昨年の総動員の10%に相当する4万7198人に到達する見込みです(相模原大会に関しては過去大会開催がなかったので過去動員については不明)

全日本プロレス

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続いては全日本プロレス。
キャンセルされた大会数は7大会、その予想動員合計は2180人となり、2019年の総動員の2.68%に相当します。
大阪・都島区民センターについては2016年以降に興行が見つからなかったので省かれていますが、いずれも数百人台の地方大会が中心だったのが全日本プロレスにとって不幸中の幸いだったかもしれません。
全日本プロレスは23日の後楽園ホール大会から興行再開を予定しており、同大会では宮原vs諏訪魔の三冠ヘビー級戦という大一番が控えています。

DDTプロレスリング

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続いてはDDT。
キャンセルされた大会数は6大会、失った動員数は998人、2019年総動員に対する割合は1.43%となっています(千葉・山梨大会の過去動員はわからず)。
DDTの場合も全日本と同じく数百人台の地方大会が中心となっており、今回調べた団体の中で最も興行的ダメージが少なかった団体になりました。
しかもDDTはキャンセルされた同日に道場からの無観客試合を中継していたりしたのでその辺はやっぱり転んでもただじゃ起きない団体ですね。
DDTは20日の後楽園大会から興行を再開しています*2が、同大会はDDTの旗揚げ23周年記念大会でもありました。
そういう意味では「再開するのであればこのタイミング」という良いタイミングだったのかもしれません。

プロレスリングNOAH

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続いてはNOAH。
ノアはキャンセルされた大会は2大会で最少、失った観衆は2588人で2019年総動員の4.66%に相当します。
8日に予定されていた横浜文化体育館大会は多くのタイトルマッチが予定されていたビッグマッチだけに直前まで開催を検討していたものの惜しくもキャンセルされてましたね。
ビッグマッチ前後で興行の間隔が開いているのが幸いしたか、今日にいたるまでキャンセルしたのは横浜文体のみで21日から興行を再開しています。
しかし会場側からの要請によって28日の茨城大会がキャンセルされており、今後はこういった会場側の要請などによる中止もまだ続きうるという好例ですかね(K-1のも自治体からの中止要請が出てたというし)。

公式リリース

ドラゴンゲート

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最後にドラゴンゲート。
キャンセルされた大会数は8大会、失った動員数は4436人、2019年の総動員に対する割合は3.91%でした。
ドラゴンゲートの場合は政府要請直後の2月29日と3月1日に最後の大会を行ってから上述の自粛期間に入っていましたね。
また22日の神戸サンボーホールは中止ではなく無観客開催されドラゴンゲートネットワークで中継が為されたようです*3

 

所感雑感

というわけでコロナの傷跡記録についてまとめでした。
改めて見ると新日本プロレスの被った被害すさまじいな、と思うばかりです、この辺は興行日程が密だったり大会場が多いことへの被害がもろに出ている感じはします。
そういうことを言うと海外もWWEはとんでもない被害を被っているわけですし、あっちの方が深刻と言えば深刻かもしれない。
で、上述のようにいくつかの団体はここ数日で通常興行へ(対策をいろいろ施しつつ)戻っているわけですけど、それらも最大でも後楽園ホールという千人弱の小~中規模会場だからこそ対策の徹底もできている感じもあって、逆にそれ以上の規模になるとやはり数千人相手に各種対策をするだけでも大変な労力になりそうなあたり、実は大団体ほどコロナの影響ってデカいんではと思ったりする日々です(潰れるかどうかという話になるとまた別でしょうけど)。

こういう記録をまとめるのはこういう事態を記憶が新鮮な内にアーカイブしておきたいという思いもあったんですが、まぁ世の風潮として「何故自粛しないんだ!」ということを宣う人もいるとは思うんでその「何故?」を場末のブログとはいえ多少の知識のあるものが提示しないのは嘘だろうと思ったわけです。
会社に勤めている人であれば「会社の売り上げ1割分を失っている」と言われたらちょっとゾッとする部分あったりしない?とも思ったり、そういうことの想像力が少しでもあればとてもじゃないけど頓珍漢なことを宣う人も減るんじゃねぇかと。
まぁそういう想像力の無い人もいるとは思いますが、少なくとも想像力のある人へ、そういう想像への架け橋になったのであれば幸いです。

きょうはこれまで、それでは