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興行規模別メイン登場頻度から見るEVILショックの要因

物事が大きく動く時、得てして反発は大きいものです
新日本プロレスのNEW JAPAN CUP開催前にはそう予想している人はあまりにも少なかったであろうEVILのIWGP二冠戴冠。
この出来事に対して否定する人、賞賛する人、静観する人等反応は様々ですが、いずれも今回の出来事に、ただのタイトル奪取劇に限らない何かの”変化”を感じている人も多いんではないでしょうか。

その”変化”を何をもって表すのかは人には依りますが、弊ブログとしてはそれをなんとか数値で表したい。
それで色々可能性を探りつつ*1見つけたのは選手ごとの「メイン登場興行の規模」。
これは以前試行した”格”の数値化にもつながる話ですが、これを見ることでEVILのIWGP戴冠に対する変化を具体化できると思います。

 

集計したもの

今回は2019年の新日本プロレス公式サイトの試合結果ページに掲載されている全試合結果のデータから、選手ごとのメインイベント登場数、及びその際の観客動員について集計・解析しました。

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まず初めに2019年の全興行について横軸を動員数、縦軸をその動員数範囲の興行数としたヒストグラムがこちら。
最も多いのは1000~2000人の興行で100大会ほどありましたが、その後なだらかに寄り動員が多い方向へ延びるような分布になっています。
こうしてみると動員5000人以上の興行というのは新日本でもほとんどなく、そのメインイベントとなれば出ることができる選手もかなり限られてくるわけです。

今回はこういった「ビッグマッチのメインに出たことがあるのかどうか」というのが人々の間で”格”の一種の基準になっているのではないかと思ったわけです。
以下では実際に何人かの選手についてどう分布を見ていきます。

オカダ・内藤

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オカダと内藤の分布

まず現新日本の2トップと言っても過言ではないオカダ内藤の分布がこちら、全体の分布は薄い塗りつぶしで、各選手の分布は枠のみ表示しています。。
個々では分布の形状の見に注目するため、縦軸の値を正規化(合計が1になるように調整)しています。
この両者は最も多い1000人台の大会に最も多く出場しているのは勿論ですが、5000人(青の補助線で表示)以上の大会にも全体の分布以上に出場しているのが分かります。
しかし10000人(赤の補助線で表示)以上となると明暗が分かれ、オカダにはメイン登場機会があったものの内藤にはなし、この辺は本当にいつどのタイミングでベルトを掴んでいたのかなども関係するので難しいかもしれませんが。

ジェイ・飯伏

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同様にジェイ、飯伏を見てみるとこの両者も5000~10000人規模の大会メインへの出場経験、及び10000人以上へのメイン出場経験もあります

皆さんご存じの通りオカダ・内藤・ジェイ・飯伏の4人は2020年のドームで2冠を争った4人で新日本の現BIG4ともいえ、その4人の共通点として5000~10000人クラスの興行のメインに立っているということが言え、逆に言えばこのような大舞台の経験が「この選手はトップ陣の一員である」という印象の構築する元にもなっていると考えられます。
またこの4人の中でいうと、2019年末当時は内藤が一歩遅れを取っていた印象がありますが、それも4人の中で唯一10000人以上の規模のメインへの出場機会がなかったことがその理由ではないでしょうか

EVIL・SANADA

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そして問題のEVIL、参考として年代などを考えると比較対象になるであろうSANADAも分布を見てみます。
この両者になると1000人台の大会のメインへの出場機会が寄り比重が高くなっているのがオカダ・内藤両名との比較で見えます。
そしてSANADAの場合は5000~10000人規模のメインへの出場機会が何回か恵まれたのに対し、EVILは全くの0
このあたりが2019年の活躍度合いの違い、もっと言えば格差がこの両者に生まれたと感じられた原因でしょうか。
先述のBIG4の分布との比較でいえば、SANADAはBIG4に匹敵しうる存在であり、EVILはBIG4からは一歩遠い位置にいた、というように表現できると言えます。

このようなメイン登場数だった2019年を経て、EVILがここにきて一気にオカダ・内藤らが争っていたトップタイトルを手にしたことに急上昇ぶりを多くの人が感じた、というのはこういった数値から見ても納得ではあります。
とはいえ2020年は今後もキャパシティ制限が続くとみられ、IWGPを獲得したからと言ってEVILに5000人以上の規模のメインを経験するチャンスが巡ってくるかは疑わしく(先日の大阪城でも3000人だった)、逆に言えば(数値的には)2019年以前と変わらない活躍度合いとなるかもしれない。

まとめ

  • 所謂BIG4は2019年中に5000人以上の規模の興行でメインに登場していた

  • EVILは2019年にその経験はなかった

  • その差がEVIL戴冠に大きな変化を感じさせたと思われる

 

所感雑感

というわけで何となくな印象に適当な理由をこじつけるコーナーでした。
まぁ本来はもっと違う切り口も予定していたんですが切り口なんてものはいくらでも工夫できるのだ。
とはいえ今回の記事をもって「だからEVILはふさわしくないんじゃー!」ということを言うつもりは特になく(そう言いたい人はそう言えば良いとは思うけど)、あくまで2019年時と2020年では活躍のレベルが異なるというだけの話なのです。
こういうことを言い出すと2015→2016年の内藤さんとかケニーとかも同様なレベルアップに該当するでしょうし、もっと言えば2012年のオカダさんもルェェベルアップを果たした人ですし(いずれも当時そこそこの反発があった)
これらの3例だけを見れば、結果としてその反発を忘れるような掌返しが起き、その後の地位を確立させたわけで。
EVILがそうなるのかどうかは今後の活躍次第ではありますが、いずれにしろ「立場が人を作る」という言葉も日本にはありますしね。

きょうはこれまで、それでは

*1:誰かがTwitterで「キャパ制限で動員を気にしなくてもよくなったから挑戦的マッチメイクができる」的なことを言っていた気がするけど見つからないので情報求