少し前から「WITHコロナ」「新しい生活様式」という言葉が良く用いられるようになっていますが、それはプロレスの観戦様式においても同様です。
全国諸団体がガイドラインを設けたり、注意喚起をしたりしながら有観客興行を再開しつつあるわけですが、その実態が具体的にどんなものかをまとめたものってあるような無いようなという感じで、個人的に実感がわきづらくもあったものです。
そんな最中、同県内の金沢においてドラゴンゲートが興行を開催すると情報を聞きつけたプロレス統計研究所・研究員はさっそく会場となる金沢流通会館に(マイカーで)飛んだ…
まぁありていに言えば観戦記ですが、興行の中身というよりも地方興行における感染症対策について注目した形の観戦記です。
ドラゴンゲートの行っている感染症対策の概要については公式リリースも参照ください
入場前の対策
まず実際に会場に行く前に上記の公式リリースを確認し、来場する際の注意事項を確認。
「発熱(37.5度以上)・咳・くしゃみ・味覚障害等の症状の有無」「陽性者・疑われる人物との接触の有無」などのチェックをリリースでは挙げていますが、これに関しては他の団体でも挙げているチェック項目ですね。
ちなみに健康状態については毎日のように出社前にチェックしているので最近だとほぼルーチンになっている人もいるんではなかろうか(ゆうて体温チェックぐらいだし)
また「チケットの半券裏に名前と連絡のつく電話番号の記入」も要請されており、これに関しては緊急事態宣言前のK-1の開催時に既にやられてた対策ですね(後述の検温もだけど)
入場に関しては、大会場などでは分散入場もアナウンスされていますが今回の金沢大会では特に指定はナシ、とはいえ入場時のチェックなどで時間がかかるとも考えられたので開場時間の1700に到着し入場。
入場までの対策
一応会場外には当日券を販売していると思われるブース?もあったがそこは用事はなかったのでスルーし建物内へ。
金沢流通会館は地域の催し物が行われるであろう小さな建物だったがそのロビーに上の写真のような透明シートと事務机に依るブースが距離を離して並んでいた。
上写真はまず最初に行われる検温のブースで手持ちの非接触式体温計で額の温度を測ることで検査を行う。
私は同県内の映画館で同様の検温を経験したことがあるがその際は固定されたiPadのような端末をのぞき込むと検温がなされる形だったが、やはり手軽さでいうとこういう手持ちの体温計か(数千円で販売しているらしいし)。
とはいえ上画像のようにシートを手で押し上げて検温をしないといけないのは不便というかなにか別種の問題が生じそうな気もしないでもないのでなにか改善できるとよいのだけど。
個々での検温が終了するとチケットの半券として提出しない方に「済」というスタンプが押してもらえる。
会場の構造として入口ロビーにトイレがあるため、いったん入場した後にトイレに行った観客と新たに入場してきた観客が混じってしまう。
それを判別し、検温の二度手間を防ぐための方策と見られる。
ちなみにこの際のチケットは検温スタッフに手渡すのでなく、自分で手元の机に置き、そこにスタンプを押してもらう形式で、スタッフも手を触れることを避けている様子が見られたのでそこは徹底しているらしい。
続いては事前に連絡先を書いた半券を提出するブースだが、ここもスタッフにて手渡すわけではなく自分で半券をもぎ、箱に入れていくスタイルになっている。
それが終わると入場なのだがドアの前に消毒液のスプレーを持った結構ごつい消毒係(多分選手、名前は存じ上げなかったが)が立っている。
この消毒係が手に結構な量の消毒液を掛けてくれるのでこれでようやく入場が可能になる。
ちなみに入場後に一度トイレに行き、戻ってきたときも消毒液を掛けられたので入場するごとに毎回消毒をしてもらうことになっているらしい。
検温にスタッフの非接触にこまめな消毒、というのはかなり徹底されている感があった。
会場内の様子
そして入場した中はこんな感じでこじんまりした所謂地方会場という趣。
勿論今回初めて来た会場なので普段の様子は伺い知れないが、御覧の通り椅子は間引いたソーシャルディスタンス仕様。
とはいえ元々の意味通りに1~2mの距離をとることはできないのであくまで間引いたという感じ。
一応メジャーを持ってきていたのでこっそり調べてみると横の間隔は80㎝程度という感じ。
さらに前後の列で配置をずらすことでより間隔をとっているという感じだろうか。
実際のところ、席が詰まっていないおかげで移動はしやすいし、前の人の身長を気にしなくていいのでうれしいという面もある。
ちなみに厳密に数えたわけではないものの、置かれている席数はおよそ292席、この後試合開始までにはほぼすべての席が埋まっていたので満員だろうと思っていたが、その後の公式発表によると252人だった模様。
最近のコロナ以後の興行だとDDTが3月22日に行い193人を記録しており、猛威を振るい始めていた時期と比較するといささか客足は回復していた感。
とはいえコロナ以前委はおおよそ350~400人程度は入る会場だった(ドラゲーだと今年1月に468人を記録)ようなのでやはりキャパシティの制限を感じる。
ちなみにドラゲーと言うと「若い女性ファンが主体」というような話を聞いていたのですが、会場には老若男女がバランスよくきている感じはしましたね。
勿論話し込む女性ファンの集団なんかは見られましたけど、同様に話し合う男性ファンもいましたし、家族連れも数組見受けられました(勿論私のような一人で見に来ました感のある成人男性ファンもちらほら)。
逆に、よく行っていた新日本の会場と比較して、見られなかったのは少年~青年の年代のファンの集団でしたかね。
まぁこれに関しては会場の立地的に車などの足が必要で、なおかつ終了時には9時近くになり周囲は真っ暗になる関係上、子供だけでおいそれと行けるものではない、ということかもしれませんが。
会場内には売店も敷設、も事務机で3つ分のみ。
後の前説で説明があったが規模を縮小して設置しているとのこと。
そのためか選手の個人グッズ・Tシャツの種類がほとんどなくあってもユニットのTシャツなどだった。
他の団体でも物販の場所を通常時から変更したり*1、行わなかったり*2ということがあるようです。
やはり金銭の授受時に接触が生まれ得るという点だったり、列形成で人の流れが滞って密になったり、という点が問題になっているんですかね。
今回の売店でも規模が小さめなのに加え、検温ブースと同じく透明なシートを設置、スタッフはマスクの上にフェイスシールドの重装備、金銭の手渡しもトレイを使っていました。
こういうのを考えるとキャッシュレス決済がいいんでしょうけど普及率とか端末とかの関係でやっぱり難しいのかなぁ。
ちなみに応援の意味も込めてTシャツを1枚購入(上写真参照)
ちなみになんですが、会場には明らかに何らかの放送で使うであろうビデオカメラが入っていました。
何の放送だろうとカメラマンの人に聞いてみると「ちょっと地元のニュースで紹介する」とのこと。
ここでてっきり「有観客興行が行われました的なニュースが?」と思ってたんですが、この後の前説によって地元出身選手の凱旋試合なのでその模様が紹介されるとのこと。
実際その試合が目当てだったらしくその選手の試合(セミ)が終わった後には撤収していました。
興行中の様子
そして1800より興行が開始。
初めに前説があったんですが、うろ覚えの知識だとこの前説って選手が出てきたりしていたような?と思ったんですが地方ではやってないのか、このご時勢なのでやってないのかどっちなんでしょうかね。
いずれにしろリングアナの人はフェイスシールド、レフリーの人はマスクで登壇。
このお二方はこの後も同じ出で立ちで業務をされてました。
こと日本においてはマスクが主でフェイスシールドってつかわれていない感じがあるんですが、リングアナのように声を使う人は声が籠らないという点では結構有用なんでは?と思ったりします(実際会場の実況とかの人は何もつけずにやったりしてますし、それならフェイスシールド着用の方が安心感ない?(どの程度の効果があるのかはわかりませんが) )
この後全5試合が行われましたが、その時間は約2時間程度、前説でのアナウンスがあったように事前の換気などはあったようですが、興行中に換気や消毒の時間といったものはありませんでした。
これに関しては会場の構造なども関係あるかもしれません(窓らしい窓はないものの1回に外に直接出られる扉は確認)が、興行時間が短い場合は換気を行う時間を設けるよりも早く興行を終わらせる方がリスクが低いという判断ですかね。
まぁこの換気については窓の開放による換気と空調に依る換気(機械換気)と二種類あり、いずれかの方法を用いればよいらしい*3のでそのどちらかを使えばいいんですかね?
特別時間を設けていなかった辺り常に機械換気を行っていたのかはわかりませんが。
ちなみに窓の開放に依る換気の場合「毎時2回以上」「部屋の空気がすべて外気と入れ替わるように数分間」換気をすべしとあったりして、はたしてどこまで守れるのか・・・という感じはあります(この辺に関してはまだかっちりした取り決めはない感じがしますが)
そして始まった第1試合、ここで登場した斎藤了選手がこの後もほぼ出ずっぱりの活躍をします、主にセコンドとして。
やはりこういった形式での感染が全く浸透していないというのもあってかそのレクチャー的マイクも入ったりしまして、率先して拍手を誘導したり、小さい声でのコールを練習したり(なんか不気味な感じになってしまったのでその後やらなかった)、ブーイングも「小さい声でやりましょう」と練習したり。
実際こうしてリング上から「ここまでは良いですよ」という限度を練習させるというのは、特に観戦経験の浅いファンには重要かなぁと思ったりもします。
他にもマナー関連の問題に関してはこういう前説って有効なんではと前から思っているんですが、どの程度の団体でやってるもんなんですかね?
ちなみに見回した限りでのマスクの着用率はほぼ100%という感じ。
来場時にマスクの着用を要請し、忘れた人には提供するなどの取り組みのおかげですかね(検温時にチェックしてるというのもあるんだろうけど)
歓声に関しては時々選手の名前を呼ぶ声もあるものの断続的で、基本は拍手と(選手を鼓舞するような)手拍子が主体という感じ。
リリースでも「応援の際に大声での声援はご遠慮ください。」とあるのでコールやチャントなど会場に響かせようとするような発声さえしなければまぁ黙認する、というのが団体側の方針ですかね。
また地方会場と言うと場外乱闘というイメージもあったんですがこの日は全くなしで一切席から動くことなく興行終了まで座っていられました。
まぁ実際乱闘が来るとビビるから逆にこれも安心して見れてよかったのだけど。
そしてセミと言いつつ実質この興行のメインと言える菊田円選手の凱旋試合。
何やら石川県金沢市出身の正真正銘の金沢っ子らしく*4、会場にはその知り合いと見られる観客が多々見られましたね。
本来は少し前の金沢大会でデビューする予定がコロナによって中止になり、無観客試合でデビューしたとのこと。
それが巡り巡って金沢で”有観客試合”デビューを果たすとはなんとも物語があるじゃない。
といい話だなぁと浸っていると会場が少しざわめきます。
な、なんてデカいケツ?!
野球のピッチャーはケツのデカさが重要なんて話を聞きましたけどプロレスラーでここまでケツがデカい選手は見たことがない・・・
彼の応援に来ていたと見える観客の持っていたボードを見ると何やら地元の空手道場出身らしく、空手によって鍛えに鍛えられた大殿筋なんだろうか…
とはいえ新人なのもあってか試合中にカラテっぽい動きはなく、むしろディスカスラリアットのえらい迫力にたまげたりしました。
勿論試合には負けてしまったんですけど、今後も金沢では彼の頑張る姿が見られると思うので今後の成長が楽しみですね。
興行終了後
興行終了時は混雑を緩和するために方角ごとの時間差退場に。
会場外にはセミで凱旋した菊田選手が立っており、せっかくなので一枚写真を撮らせてもらった。
「なんなんだその手の形は・・・」と思ってたけどこれ自分のオリジナルTシャツをアピールしてたのか。
いずれにしろ金沢での地方観戦デビューから成長を観察していける選手がいたのは良い収穫だった、今後もできる限り足を運びたいところ。
所感雑感
というわけでフィールドワークという名の観戦記でした。
観戦記というには試合内容に触れなさすぎの感はありますけど、まぁ地方大会ですし私今回がドラゲー初観戦なので全部に関して「これが噂のドラゴンゲートか…」という感想しか持てないので、申し訳ない(普通に久々の近距離での観戦を普通に楽しみましたよ)。
まぁそれにコロナの対策に限ってもいろんなところに工夫が見られたのでそれだけ見ても面白かったんですよ。
というわけで、もし今後プロレス観戦に行く予定がある方がいれば参考にしていただけると幸いです。
まぁ一番は各団体の注意事項を熟読しておくことなんですがね。
もちろんこれらの対策が本当に効果があったのかどうか、に関したは2週間後(8/1?)に感染者等が発生していなかった場合に初めて「効果があった」と判断できるわけなので、勿論何もないことを祈っていますが注意深く健康状態を観察したいと思います。
おまけ
次回の大会は9月にノアか~て思ったら一番デカい面(積)しているのが馳先生やんけ pic.twitter.com/I7YhTvaTjJ
— ロージャ (@RodyonPhD) 2020年7月18日
THIS IS 金沢
きょうはこれまで、それでは
*1:DDTでは後楽園ホール1回にて開催DDTプロレスツイート、制限?もあったとか
*2:【7月度の後楽園ホールでの会場物販に関しまして】 | 新日本プロレスリング
*3:厚労省/商業施設「換気の悪い密閉空間」を改善する換気方法 | 流通ニュース
*4:と聞いた時に「あれ元サイバーコングこと吉田隆司選手が金沢ゆかりの選手だったのでは?」と思ったら普通に大阪出身だった、謎が深い・・・