プロレス統計

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各種数値で見るドームのファン投票及びそれに関する所感

先日の大阪大会のメイン終了後、リング上に集まった4人の選手の中で持ち上がったIWGP2冠戦に関する議論。
というにはあんまり議論になってませんけどありていに言えば内藤・ジェイ・飯伏の3名がそれに乗り気、そして現IWGPヘビー級王者のオカダのみがそれに反対という形。
遅れて登場したオカダが会場に問いかけた感じでいうと比較的二冠戦よりもIWGPヘビー級戦という声が多いと見たか、オカダさんがニヤついて提案したのが因縁の「ファン投票」という単語。
当人の様子を見るにある程度の勝算があったようにも見えたんですが、その言葉を受けてその翌日の昼からLINEアンケートを用いた投票が開始され、先日の東京ドームに向けた記者会見でその結果が発表され、その結果は・・・

ま、負けた!因縁の2014年1.4のファン投票に続きオカダさんファン投票でまさかの二連敗!
ぶっちゃけ会見聞いてて大いにショックを受けてましたよ私、会場の反応もでしたけどTLの反応を見ても結構反対派多いんじゃ?とぬか喜びしてましたわ。

そのショックについてはまた後述ですけど、せっかく降って湧いた数値だけに、今回はこのファン投票の結果について、前回のファン投票と比較しつつ振り返ってみたいと思います。

 

前回のファン投票概要

ここ数年でファンになった方、特にオカダ&内藤ファンにとっては必修科目といえるぐらい、耳にタコができるぐらいの話かもしれませんが、1.4ドームに関連してファン投票が行われたのは2013年末のこと。
IWGPヘビー級選手権オカダ対内藤がすでに決定していたところに、IWGP IC選手権中邑対棚橋が決定し、俄かに騒がしくなった新日本ファン。
それを見るにつけ行われたのが、ダブルメインイベントとなったこの両選手権のどちらを後に据え、どちらをメインイベントとするのかという投票。

投票期間:2013年11月11日~12月8日 (27日間)
投票手法:特設HP
総投票数 3万2308票

概要としては大阪大会終了後の11月11日に記者会見が行われ、IC選手権の開催を発表、そして手塚社長(当時)の口から「メインイベントをどちらにするかファンに委ねる」とのコメント(記事)。

上述の通りテレビ朝日のHP内に特設サイトが作成され、27日間投票を受け付け、結果としてはICが2万422票ヘビーが1万1866票となり、IC選手権中邑対棚橋がメインイベントとなり、オカダ対内藤は後々に語り継がれるメイン降格の憂き目に。

当時投票にも参加しましたしその後のドームも中継で見てたんですが、投票結果もあってめっちゃムスッとしながら1.4中継を見ていた記憶があります、思えばあの時からより一層棚橋アンチになった記憶が・・・(なぜか中邑に関してはそうでもない不思議)

今回のファン投票概要

そうして時は流れて6年の時を経て復活したファン投票。
今回の場合は内藤が1.4以後から二冠についてコメントをし始め、それにジェイや飯伏も乗っかる形で一応1年をかけて前振りをしていたわけではあります。
そういう意味でG1以後、特に飯伏の二冠獲り発言以後は熱心なファンの間で話題にはなっていたのである意味で、各々がある程度自分の考えを持った状態でオカダの発言を受けての「いざファン投票」という状況にはあったかもしれません。
そんなこんなで、一年かけて前振りをしてきたものの万が一を考えたのか、あくまでアンケートという形で予防線を張りつつ(と言いつつ会見で菅林会長は「ファン投票」と言ってましたけど)「二冠戦を観たいかどうか」について投票が行われることに。

投票期間:11月4日12:00~11月5日12:00までの24時間
投票手法:LINEアンケート
総投票数:2万5007票

時間にしてわずか24時間、さらに特設サイトなどでなくLINEアプリ上でという、前回と比較するとかなり限定的に見える状況もありましたが、最終的には2万5千票を集計したのは普通に驚いたところです。
その内訳はYESが1万5952票NOが9055票となり(数値は新日本プロレスワールドで中継された記者会見での菅林会長の発言より、参照)、YESが多数派になったという結果を踏まえて1.5において1.4の勝者同士のタイトルマッチが決定。

そして同時に前日の敗者同士の対戦もが組まれることに、まぁ次期挑戦者決定戦的な意味合いもあるんでしょうけど、死体蹴りになりかねなくてハラハラする。

今回のファン投票について所感

まぁ結果としては上記のような結果なんですが、この結果についてはさておきこのファン投票自体について疑問がひとつも浮かばなかった、というと嘘になりますし、実際いくつか他の人の疑問というのも見受けられました。

その疑問に対して「そうだそうだ!」と理由を考えもせず思考停止するのも多少なりとも学を身につけた人間のすることではないので、以降ではそれらについての所感を少し述べます。
こういうときに使いがちな「あくまで個人の感想です」っていう言葉が嫌いなのでそうは言いませんし、「宇宙の総意です」というのはやっぱ検証が足りないので、「こういう解釈が妥当ではなかろうか」という提案、そしてオカダさんが二連敗した傷心をごまかす行為としてご参考に。

投票実施期間について

以前の投票が1か月弱の期間を設けたのに対してわずか1日の投票期間はあまりにも短い、というのは確かな話ではあります。
とはいえ、前回投票期間を1か月近く設けたのは11月頭に決定した棚橋対中邑のカード、そしてその後風雲急に提案された試合順のファン投票ということで、ファン各個人の中で意見がない状態でのスタートであったというのは大きな要因でしょう。
言ってみれば自分の意見も0から構築しなければならない、議論も11.11からスタートしなければならないわけで、その意思決定の準備期間として設けられたのが1か月の時間ともとれるわけです。

対して今回の二冠戦に関しては今年の初め(少なくとも二月の札幌のリング上で二冠獲りを宣言)から内藤さんが延々と周知に勤め、その可能性が潰えそうになったG1後も飯伏やジェイが途切れさすことなく話題に出したモノであり、
その10カ月間に各個人で意見を持つのに十分な時間がなかったのかと言われるとそれはないとは思います。
その為、既にある個人の意見をアウトプットするだけであれば長い投票期間は不要、と考えることもできますし、実際やった側も「アンケート」というワードと「観たいかどうか」という設問を見たところ、そう考えたんではないですかね。

また、投票期間を延ばすのは「より多くのファンの意見を集める」という意図もあると思いますが、今回はLINEという比較的使い勝手の良く、手軽に反応ができるプラットフォームを使ったおかげか、前回の投票よりも少なかったとはいえ、前回の総票数の80%にあたる2万5千の票を集めています。
この数をみても今回のファン投票での結果が「不当に一部の意見のみを取り上げたものでありファンの総意とは言えない」と証明することは難しいでしょう。
過去にG1の決勝カード予想の集計などもやりましたが、一ヶ月近い投票期間があってもほぼ最初の数日間でおおよその大勢が決定するという傾向もあり、案外投票期間を前回同様1か月など伸ばしても結果は変わらなかったのではないかとも考えます。

勿論前回よりも投票者数は少ないわけで、1か月とは言わないでも1週間程度投票期間を延ばすなどしても良かったとは思います。
無論、会社としては会見のセッティングもあり、ドーム二連戦に向けたプロモーションのためにも「メインカードが決定していない」状態を長引かせるわけにはいかなかったという台所事情もあったんでしょうけど。
そういう意味でいうとオカダさんの提案に一番肝を冷やしたのは会社かも知れない。

Twitterでの非公式投票結果との差異

今回のLINEアンケートと期を同じくして、熱心なファンの間でTwitterの投票機能を用いていくつか同様のアンケートが行われていました。
そのすべてを見たわけではないですが、反対票が優勢なものが目につき、目に付いた中で集計してみても反対の総票数が上回っていました。

またハッシュタグ上での意見も反対の声をよく見た気がするのも確か、だからこそ実際の公式の投票で賛成が上回っていた時にはたまげたんですけど、たまげつつも「確かに起こり得るよな」とも思ってはいました、負け惜しみでなく。

そもそもTwitterで活動しているファンとLINEで情報を受けとっているファンの間に有意な考えの差がある、という可能性も捨てきれませんが、
まず初めに考えうるのは、LINEとTwitterのユーザー間で総意の差はないとしても、投票に参加したユーザーが総意からズレた意見を持つごく一部の集団だったという可能性。
例えば、こちらはTwitterに関する情報ですが以前行った解析では、#njpwをつけて呟いたユーザー数は2万1522人(参考)でしたが、新日本プロレスの関係アカウントの総フォロワー数は116万8435人(参考)となっていました。

ハッシュタグ上の意見というのはもちろん前者のユーザーの中から生じているわけですが、このようなある種能動的活動を行っているユーザー・ファンの数は後者の情報収集を主に行うある種受動的なファンと比較すると規模としては数%程度のごく限られた集団に過ぎないとも言えるわけです。
この性質から言って、ハッシュタグやタイムライン上で満場一致だったとしてもそれは実際はごく一部の、所謂ノイジーマイノリティの意見でしかないという可能性もあるわけです。

もちろんLINEでの投票も能動的行動のひとつであり、二万五千人という数字も、恐らく今回のドーム二連戦に足を運ぶファンの数よりも少ない、一部の数字にはなるでしょう。
どちらも一部の意見ではある、と置いたとしても、ではどちらがより民意として妥当なのかという判断はサンプル数がより多かった方である、というのがより統計的に正しいんではないでしょうか。
無論投票の正確性信頼性というのもあるんでしょうし、そこを疑ってる人も見受けられますけどそれを言い始めると複数アカウントの作成が容易なTwitterでの投票もどれだけ信頼性が有るかというと・・・という話なわけですし。

 

 

所感雑感

とまぁ色々述べたんですけど、なぜわざわざこんなことを記事にしたかというと実際にそういう文句を垂れ流してるアカウントを多々見かけたのもあります。
まぁ自分も同様のことを考えたので人のことは言えませんけど、みっともないことこの上ない、だからこそ自戒も込めて書き残しておこうと思ったわけです。
実際自分も少数派になって悔しい気分ではありますけど、だからと言って負け惜しみで自分の投票したアンケートに文句をつけるのは、投票した自分の一票をも侮辱する行為に外ならんですし。
投票した後になったその投票自体に「そもそもさ・・・」とケチをつけるな、と。

その一方で言いたいのは「こういう結果になったんだから二冠戦自体に文句を言うな」というのもまた見当違いだとも思うんですよ。
本来物事はどちらかが納得するか妥協するまで議論を行い着地点を見つけ出すのが正攻法な解決策だと思っているですが、様々な物事においてそれを毎回行うのは時間がいくらあっても足りない。
だからこそ方針を決める際の妥協案として多数決というものが行われるものだと私は思っています、少なくとも民主主義と呼ばれるものが生きている場所では。
こうして今現在多数決がそこかしこで行われるのはそのコストパフォーマンスの高さゆえだと考えていますし、そこについては私も異論なく、その手法とその手法によって決められた「二冠戦を行う」という決定には、投票に参加した時点で敬意をもって受け止める所存です。

ですけど多数決は決して少数派への全面降伏勧告ではないはずだとも考えています。
今回の結果に関して言えば「賛成の方が多数派だった」という結果だけでなく「9000人の反対派が存在している」という証左でもあるわけです。
かつてのファン投票で少数派となり涙をのんだ1万2千人が、後の内藤さんの躍進の原動力となったように、今回の9000人がまた何かの力になる、ということは十分にあり得るわけで。
だからこそ不貞腐れて、文句を言って自分とその支持者の株を下げる暇などなく、結果と自分の選択に敬意をもって我々は東京ドームへ向かわねばならないのです。

きょうはこれまで、それでは