G1優勝決定戦はG1という長いシリーズの終わりと同時に新たな始まりを告げるタイミングでもあります。
優勝者は5か月後の東京ドーム大会への長い道のりの始まりでもあり、G1での結果や最終日での出来事からその後の秋のシリーズに向けた戦いも始まっていきます。
その中で、G1にエントリーこそ出来なかったものの1チャンスを捕まえて見せたのが鈴木みのる。
最終戦でオカダとの対戦があったわけですが、まさかのラ・ミスティカ(最近の言い方でいうとコリエンド)式スリーパー(ドラゴンゲートの吉野が使うトルベジーノからのスリーパーとも)を見せ、最後は伝家の宝刀・ゴッチ式パイルドライバーで直接勝利。
この結果をもってリング上で挑戦表明をし、後に正式に受理され、新日本プロレス初のイギリスビッグマッチのメインイベントで挑戦することに。
【8.31ロンドン大会の全カード決定!】
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) August 13, 2019
オカダと鈴木がIWGPヘビーを懸けて激突!
ザックがブリティッシュ戦で棚橋と対決!
裏切りのKENTAはNEVER王者・石井に挑戦!
タマ&タンガはRPW代表チームとIWGPタッグ戦を敢行!https://t.co/YxPFGEkP5R#njpw #njpwRoyalQuest pic.twitter.com/RKYp9oZAtu
で、この両者これまでにはタイトルの有無、そしてリングの場所、様々な条件で戦ってきています。
ということで今回はこの両者の過去対戦を振り返ることで機運を高めたいと思います。
(今回の記事は以前の過去対戦振り返り記事のリメイク記事です)
シングル初対決
この両者の初対戦は2013年のこと。
オカダはその前年に凱旋帰国し、当時王者の棚橋を破りIWGPを獲得したことから”新時代”の象徴ともいえる男。
片やみのるは昭和・新日本でデビューし、前座でアントニオ猪木とも対戦経験がある今や数少ない”昭和新日本”の象徴。
この対戦のきっかけもよく覚えていないですが、こういった要素を持った両者だけに「ぶつかったらどうなるんだ?」という興味もあり、いずれ対戦するのは運命だったともいえるでしょう。
この初戦は鈴木のきつい打撃、ねちっこい関節技に翻弄されたオカダが敗北を喫する結果に。
初対戦で得られた印象っていうのは強烈なもので、いまだに「オカダは打撃が苦手」という印象が抜けないのはこの試合のせいかもしれません。
リベンジはIWGPを賭けて
初対戦の直後、NJCを優勝、たなはしにリベンジを果たしてIWGPヘビー級に返り咲いたオカダでしたが、そのリング上で防衛戦の相手に(マネージャー外道が)指名したのが鈴木みのる。
流石に2戦目とあって鈴木のグラウンド、関節技にも対抗すべく積極的に攻めているのが大きな違いでしたかね。
そして決め手はいつものツームストンパイルドライバーに”ゴッチ式”のクラッチを加えた「ゴッチ式ツームストンパイルドライバー」、ブラックタイガーがやってた暗闇脳天落としともアンドレ・ザ・ジャイアントのやってたパイルドライバーと同形でもあります。
最後の関門
時は流れて2014年、両者はG1 CLIMAX、それもBブロックの最終公式戦で対戦。
それまでの試合結果からAブロックの代表は中邑に決まっており、オカダはこれに勝てば中邑との同門対決に望める形、その最後の関門・門番となったのが鈴木というわけです。
この時期の鈴木は一念発起をしてそれまでパンパンに張っていた身体をぎゅっと絞り始めた時期、元々パワーを必要としていなかっただけにスピードとキレがそれまで以上に上がった感じでしたね。
そのスタイルチェンジもあったのか、それとも場所が鈴木の地元・横浜だったのか、大みのるコールが発生していたのが思い出深い。
最後は這う這うの体でなんとかゴッチ式ツームストンからのレインメーカーでオカダが勝利し、史上初の西武ドームメインへ進むことに。
海賊の帰還
その後二人の道は大きく外れることに。
オカダは勿論IWGPヘビー級を争い続けていったわけですが、鈴木みのるは自身率いる鈴木軍とともにプロレスリング・ノアへ。
そこで自身がGHCヘビー級を獲得するのをはじめ、ユニットでタイトルを総なめしたわけですけど、やり切ることはすべてやり切って再び新日本のリングに現れたのが2017年、その時にターゲットにしたのは勿論当時のIWGPヘビー級王者でもあったオカダ。
前回の対戦とは打って変わっての大ヒールファイトは前日のファン向けの調印式の場(しかもネット中継が終わった直後)の襲撃から始まり、当日は会場がドン引くほどの関節地獄。
しかしオカダも過去のオカダではなく、ちょうど1か月前にはケニーとの歴史に残る死闘を経ており、その関節地獄を耐え抜いての勝利。
王者対決
両者の再戦は同年のG1、以前のG1での対戦と同じく横浜で相まみえることに。
みのるはオカダへの敗戦の後、NEVER無差別級へ標準を改めて獲得、これが新日本においてはじめてのシングル王座獲得になったとか。
そういう意味ではこの対決が両者にとって初めての王者対決となりました。
みのるとしては待ちに待った一戦、同G1では王者ながらベルトをもって入場したのはこの1戦のみという、紛れもなくスペシャルな対戦。
一方のオカダはこの前のEVILとの公式戦でG1初黒星、加えるに1年以上ぶりのシングル敗戦を経験し、首元にもがっちりとしたテーピングというコンディション。
そういった状況もあってみのる優位かとも思われましたが、そこはオカダのタフネス、そしてG1公式戦の30分時間制限に助けられたのか、試合は引き分け。
思えば終盤はみのるもフォールを奪うことよりもいかにオカダをノックアウトするかに注力していたような感じもあり、それがなければ・・・と思いつつもそうしなければ鈴木じゃないとも思えてどうもな。
豪雨の中の決闘
以前この両者の対戦についてまとめたのはこのタイミングですが、2018年は6月に鈴木みのるは自身のデビュー30周年記念大会を企画。
場所は赤レンガ倉庫、イベントはプロレスに限らず様々な催し物がある中、二日間あるなかで1日目のメインイベントに決定されたのはオカダ・カズチカとのシングルマッチ。
上述のようにこれまでも対戦があった両者ですが、デビュー30周年記念試合として選ぶまでとは・・・というのは少し驚きでもありました。
とはいえこの両者、新日本のリング上での対戦以外でも因縁があり、2015年に天龍源一郎が引退を表明した際に名乗りを上げていたのが鈴木みのる、しかし実際に選ばれたのはオカダ・カズチカだった、という経緯があります。
そういう意味で長年狙っていた獲物を奪った相手でもあるわけです。
もちろん30周年にふさわしい実力、ネームバリューというのもあったんでしょうけど、思わぬところでのビッグマッチにネットが色めきだったのを今でも思い出します。
しかし、この試合でなんと言っても特筆すべきは屋外でのイベントであったこと、そして当日には結構な強さの雨が降ったこと。
実は自分も会場に行っていたんですが、試合が始まる前にみのるから「何があっても試合はやる!」と宣言、その後試合が始まる前には運営からの呼びかけでその場に詰めかけた観客が全員傘を閉じ、試合を観戦することに(私は雨合羽でしたが)
その時の様子が上の写真ですが、リングの周りに詰めかけた人々、かろうじて見えるリングと選手、ある種プロレスの原風景かも知れないなぁと思ったのを覚えています。
試合自体は足場の悪さもあり、滑ったりなんてシーンもありましたけど、ことこの試合に関してはこのシチュエーションで30分戦い抜いたという事実だけが重要ですらありました、それと雨の中を舞う”金の雨”を見れたのもいい思い出。
この時、オカダは直前の大阪城大会でベルトを失っていましたが、引き分けに終わった後のみのるは悔しさをにじませながらマイクで「あのベルトは俺が予約済みだ」と宣言もしました。
そういう意味でケニーへの挑戦こそかないませんでしたが「オカダ」と「IWGPヘビー」を賭けての一戦という意味で伏線が今回回収されたとも。
過渡期、なれども変わらぬ闘い
その後のG1においても両者は対戦、わずか1か月後ではありましたがオカダはこの時ガラリとキャラクターチェンジをしていた時期。
パンタロンはこの年初めからでしたけど、凱旋以来のイメージカラーを金から赤にかえ、風船をもちあるき、髪も真っ赤に染め、某紙では「迷走」とも表現される変わりよう。
だからこそ鈴木との対戦はかつての、前からのオカダの様子が見えた感じもあったりもします。
現状鈴木の最後のG1参戦となったこの試合はオカダが勝利で納めています。
所感雑感
というわけでオカダ対みのるの振り返りでした。
過去7試合してオカダ4勝、みのる1勝、2引き分けという感じですね。
この両者に関して言うと3試合目(2014年G1横浜)から結構手が合うようになったという印象があったりします、だからこそみのるも自分の30周年記念の相手にも選ぶんでしょうしね。
そうしてついに海を越えたイギリスでの対戦になるわけですけど、思えば昨年イギリスで開催されたRPWとの合同興行STRONG STYLE EVOLVED in UKでもメインはCHAOS対鈴木軍、そしてオカダとみのるはタッグマッチで対戦してますね。
いずれのユニットもオスプレイ、ザックというイギリス出身者がいるだけに人気があるってことなんでしょうけど、そういう意味ではここでオカダ対みのるというのは妥当というか道理ですね。
試合自体は日本時間で9.1のド深夜、新日本プロレスワールドでは後日配信ということなので後日配信を楽しみに待ちたいと思います。
きょうはこれまで、それでは