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IWGPヘビーvsIWGPジュニア、王者対決を振り返る

先日、公式に発表になったように2020年の旗揚げ記念日のメインのカードは内藤哲也vs高橋ヒロムの初シングルにしてL.I.J.同門対決に決定しました。
そういった宣伝の仕方が為されているわけなんですけど、ここ数年の新日本プロレスを見ている方々の中ではこれを「IWGPヘビーvsIWGPジュニアヘビー」の王者対決である、という見方もできることに気づくでしょう。
今回に関しては内藤さんの方が+IWGP IC王者という肩書のある二冠王者とあっていつもとは多少状況が異なるんですが、連綿と続く新日本プロレスの伝統の一端を担う一戦でもあるわけです。

というわけで今回は同様の「IWGP」王者対決についていくつかの試合を振り返っていこうかと思います。

 

橋本真也vs獣神サンダー・ライガー (1994.2.24)

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IWGP王者対決の元祖と言える一戦(1994.2.24)

(新日本プロレス公式サイトより引用)

IWGP王者対決、といった際に真っ先に脳裏に浮かぶのはこの試合でしょう。
つい最近あった獣神サンダー・ライガーのベストバウト投票でも、20年以上前というハンデがありつつも見事2位にランクインした、ライガーのプロレスキャリアの中でも象徴的な一戦(WORLD)。
この当時の事を振り返ったライガーはこの対戦について「ヘビー級に挑戦なんてかっこいいもんじゃなくて、ジュニアヘビー級をなめんなよって思いだけでした。」*1と述べており、その始まりは反骨心からだったようで、以降の同様の「IWGP王者対決」でも同様の思いが見られる選手がいる気はしますね。

棚橋弘至vsプリンス・デヴィット (2013.3.3)

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BULLET CLUB結成前夜の同門対決 (2013.3.3)

(新日本プロレス公式サイトより引用)

橋本ライガー以降にもIWGP王者対決はあったかもしれないんですが、とりあえず私の記憶にある王者対決と言えば2013年の旗揚げ記念日に行われた棚橋弘至vsプリンス・デヴィット
事前には共に本隊のヘビー・ジュニアのエース同士ということでクリーンな試合が予想されていたとは思うんですが、まさかのデヴィットの椅子なども使うラフ殺法。
この試合後にも「すべてのベルト、トロフィーを獲ってみせる」という野望を語ったわけですけど、このわずか1か月後にパートナーだった田口を裏切ってBULLET CLUBを結成することになるので、この時点で既に「リアル・ロックンローラー」の胎動は始まっていたのかも。
BULLET CLUBはそれまで冷遇されがちだった外国人選手の決起を謳ったユニットであり、上述したライガーが”ヘビー級”という「上位とみなされている存在への対抗」を謳ったとみると、デヴィットもまた”日本人選手”という「上位とみなされている存在への対抗」を謳ったといえ、そのイズムがあったかもしれません。

オカダ・カズチカvs飯伏幸太 (2014.3.6)

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DDTから逆輸入される形となった”ドリームマッチ” (2014.3.6)

(新日本プロレス公式サイトより引用)

上述二つと比べると多少毛色が異なる感じがするのが翌2014年の旗揚げ記念日に行われたオカダ・カズチカvs飯伏幸太
両者が共に新日本の生え抜きでない者同士、でありながら確固たる支持を新日本プロレスで築きあげた両者、優れた身体能力と”華”を持つとされる若者同士。
そんな共通項もあってこの試合に関しては「ヘビーvsジュニア」というよりは「ドリーム・マッチ」という言葉がよく付随されていた気はします。
そもそも新日本の旗揚げ記念日に組まれる半年ほど前に、飯伏の所属していたDDTプロレスの両国大会のセミメインにおいて同対決が「ドラマティック・ドリーム・マッチ」と銘打たれてましたしね。
まぁ飯伏自身がそういうドロドロしたものに縁がない、というよりはそういうものが似合わないのでそういう見方はし辛い対戦だったかもしれません。
逆に言えば単純にスカッと見れる一戦ということかもしれませんけども。

オカダ・カズチカvsウィル・オスプレイ (2018.3.6)

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オスプレイの無差別級化の始まりとも言える一戦 (2018.3.6)

(新日本プロレス公式サイトより引用)

前回の王者対決から4年の月日を経て再度実現したのが、IWGP王者対決にしてCHAOS同門対決となったオカダ・カズチカvsウィル・オスプレイ
前回の王者対決が「ヘビー対ジュニア」という構図が薄いものだったのに対して、今回の対戦はオスプレイが「ジュニアヘビー級として」という言葉を使っていたように「ヘビー対ジュニア」の構図が強いとともに、本人が強くライガーに影響を受けたものでもあるのもあって、それをほうふつとさせるシーンもあった一戦。
特に普段あまり使わない部類でもあるライガーボムを、それこそ橋本戦での一発とうり二つのフォームで放ったことにうおーっ!となった人も多かったとか。
とはいえ一つ違う点を挙げるとすれば、この後オスプレイは無差別級を経て徐々にヘビー級へ移行していった点ですかね、結果的にライガーはジュニアヘビー級に専念することになりましたけど。

王者対決を経た王者たち

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上記のIWGP王者対決を行った面々に今回初めて王者対決をする内藤とヒロムを加えた計9名について、現在までを含めた各種成績をまとめてみたものがこちら。
本来なら比較の意味では各選手のIWGP王者対決時の成績を調べるべきなんですけどそれはまた今度。
IWGPヘビーに関してみてみると、橋本・棚橋・オカダはいずれもIWGPヘビーの最多連続防衛記録を気づいた3人であり、通算防衛回数も2桁に届いています。
そういう意味でいうとIWGPヘビー級王者として記録を残したからこそ、その別の一面としてIWGPジュニアヘビー王者と戦うことになったという面はあるかもしれません。
それと比較すると今回の内藤さんは戴冠は2度目、連続防衛記録も1回、通算も2回のみと記録面ではまだ確固たるIWGPヘビー王者としての像は築けていないのかもしれません、まぁそれこそ今後・・・ってことな気はしますが。

対してIWGPジュニアヘビー王者を見てみると、戴冠記録はライガーが11度とずば抜けていたもののヒロムを含むその他の選手は3度のみと比較的少なめな感じ。
連続防衛記録も2桁に到達している選手はいませんがいずれも3回以上の防衛を経験しており、流れの急なジュニア部門にしては確固たる王者像を構築できているんですかね。

 

所感雑感

というわけでIWGP王者対決に着目してのまとめでした。
本来であればそれぞれの王者像が確立したからこそ「番外編」としてこうした王者対決や、それこそn冠戦なんかも生じるとは思うんですが、
そういう意味だとヒロムはある種文句なく王者像が確立していそうな一方で、数字だけを見ると内藤さんは確立していないという。
とはいえ「そうだっけ?」となるのはIC戦線が長かったってのもあるんですかね、気づけば最多体感記録は5回で中邑と最多タイ、通算防衛も7回で歴代2位なわけですし。
とはいえ「IWGP王者対決」でもあり「L.I.J.同門対決」でもあり「人気選手の初対決」でもあるこの一戦、果たして見る人にはどの要素が強く感じるのか気にしながら見てみても面白いかもしれませんね。

きょうはこれまで、それでは