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矢野経済研究所「オタクに関する消費者アンケート調査」から見る日本プロレス市場

色々と衝撃的なニュースが続く昨今ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
まぁ自分の周りでもそれにやられている人が多々いるせいもあって自分もちょっとネガティブな気分になってですね、「そうだ!こういう時は気分を変えて別の解析をしよう!」と思い立ったわけです。
で、目を付けたのは矢野経済研究所が行っているオタクに関する消費者アンケート調査。

www.yano.co.jp

もう10年近くにわたって「オタク」に関する様々なアンケートをやっているそうなのですがここ数年はその「オタク」ジャンルの中に「プロレス」も掲げられているんですよね。
そいじゃあそれを調べてみるか!と思ってHPを見てみたら詳細な報告書は16万ちかくもするそうで・・・しょうがないのでプレスリリースに用いられたここ3年間の推定人数と平均年間消費額の表をちょっと調べてみました。

先に言っておきますけど、自分はこれを調べてより一層胃が痛みました、それでは行ってみましょう。

 

集計手法

矢野経済研究所においてはインターネット上で、日本国内在住の15歳~69歳までの男女10,408人にアンケートを実施。
様々な項目についてのアンケートがあったようですが上記プレスリリースで紹介しているのは各オタクジャンルの推定人数(自分が何オタクだと思うか?で分類、複数選択可)、そして各ジャンルに対する1年間の消費金額を集計したとのこと。

まぁその結果はプレスリリースにも書いてあるのですが、今回プロレス統計ではこの表の数値から、推定人数×平均消費金額で「推定市場規模」を計算してみました。

結果

  2016 2017 2018
推定人数[万人] 55 64 30
平均金額[円]   23,397    11,836    15,608 
市場規模[億円]     128.7       75.8       46.8 

まぁ今回多くの分野があるのでそのなかでプロレス分野の数値だけを抜き出したのがこちらの票になります。
見てわかるように推定人数が2017年から2018年にかけて激減しており、それに伴って推定市場規模も大きく下がっていることがわかります。
平均金額自体はその間で増加しているもののそれ以上に人数が減っているっていう感じなので当たり前といえば当たり前なんですが、いやぁなかなかショッキングな数値。

ちなみに2016年時点での矢野経済研究所のレポートだとそれまで着実に推定人数が増加してきた経緯から今後も着実に増加することが見込まれていました。
さらにこの研究所のデータを用いて、X BUSINESSというところが市場規模推移を調べていたのですが、そこまでの推移(下図参照)では市場規模は120億円前後を維持していたわけですがそれが2017年、2018年にかけて大きく減少どころか半分以下にまでなっているという。

f:id:Rodyonsw:20190207003047p:plain

考察

正直に言えば、これまで自分が集計してきた数値とも、新日本プロレスによる発表朋、そして体感とも異なる結果って感じなんですが、
そもそも2018年の会計年度に新日本プロレス公式HP上で発表された年商事態が49億円で上で見積もった市場規模を上回っちゃってるんですよね。

www.pwanalysis.com

ということは、少なくとも新日本プロレスにおいては、上の矢野経済研究所のデータでは説明できない事象が起きている、ということ。
で考えうる可能性はいくつかあるんですが一番大きなものは上記のデータが「日本在住」に限られている点でしょうか。
最近の新日本プロレスファンには耳タコな言葉ですが現在新日本プロレスは絶賛グローバル化促進中、新日本プロレスワールドの会員もかなり海外の登録者が多いとか。
つまりそういった、今回の集計では考慮されていない海外市場からの収益が、新日本の年商推移と「日本のプロレス市場規模」の推移で大きなギャップを生み出している可能性はあります。

 

所感雑感

というわけで藪を突いて蛇を出した心地のする集計でした。
まぁ結果としては、上の矢野経済研究所によるデータは信用に足るとは思う一方で、すくなくとも自分が知っているデータと照らし合わせると新日本が推測される日本の市場規模推移に依存しないビジネスをしているために全体的な業績として好調であるということが言える、って感じです。

とはいえ、これまでと同様な調査を行ってきた結果として、「日本」の「オタク」による「プロレス市場」が大きく減退している可能性をこのデータは示していると思うわけで、しかもそれが2017,2018年にガクッと、というのは俄かには信じがたい気もする部分なんですよね。
それで他にも何か理由があるんではないかと考えている段階ですが現状ではよくわかっていません。
というかそもそもこの調査で見積もられる市場規模が実際の市場規模とどれほど一致するのか、というのもちょっと疑問ではあったりするんですが

とはいえ他のジャンルを見てみてもアイドル関係や声優関係、そしてオンラインゲーム(ソシャゲも含むのか?)がかなり好調で前年比2倍近い業績を誇る一方で他のジャンルは軒並み大幅に減少している様子なので日本のオタクジャンル全体として規模が小さくなっているという可能性もあってな。
総和としてみると、好調なジャンルに支えられる形で一応オタク市場自体は成長中なのがなんとも目くらましのような心地がして嫌な感じがするという。

そういう話題自体が暗澹とするものなんですけど、こと現在の新日本プロレスにおいては海外戦略についてちょっと思うところもあったりしたところなので、こうした結果を踏まえると衰退しつつある国内市場でなくブルーオーシャンである国外へ目を向け重視して・・・っていう可能性を補強する気がしてなおのこと・・・という。
そんなこんなで気晴らしどころか気が滅入ることになってしまったわけです。

とはいえ、こういった大規模調査のデータは好きなんで見ているのは楽しいんです。
なのでどなたかマーケットレポート(150,000円税別)を買って見せてください、オナシャス

きょうはこれまで、それでは


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