ここ数週間ほどかけて国内の全興行を集計し、そのデータで様々な解析をしてきました。
大会数・動員、または各選手関連数値などです。
で、もうだいたいやりつくしたんでは?と思っていたんですが先日新日本の後楽園での動員解析をしていてふと「そういえば会場に関する解析をやっていなかったな」と思い出し、今回は日本国内のプロレス会場について解析です。
使用したデータ
今回も以前の解析と同じくCagematchから集計した2012年から2018年に行われた日本国内での全興行データを用いて解析しています。
繰り返しになりますが、ファン作成のデータベースなので抜けや誤りなどもあると思われるので参考程度にどうぞ。
プロレス会場数推移
まず初めに日本国内のプロレス興行で用いられた会場数を各年について集計しましたが、
2012年には428か所だったのがその後数を増やして2018年には643か所にまで増えているようです。
これに関してはデータベースの性質上、実際に様々な会場へ進出している可能性と、データベースがより多くの団体・会場について取り扱うようになってきたという二つの可能性が考えられます。
とはいえ現在少なくとも600か所の会場で大会が行われているのは確かなようです。
会場規模別割合
次に2018年の643か所の会場について、その平均動員から会場規模を推定し、会場規模ごとの会場数を割合で示してみました。
最も多かったのは300~500人規模の会場で、それに次いで200~300人、500~1000人、100~200人、1000~2000人規模と10%程度の割合になっています。
今回は図の見栄え上このような区分けにしていますが、大きな区分けでいうと
数十人規模(0~100人)の会場が全体の約5%、数百人規模(100~1000人)が約80%弱、数千人規模が残り15%ほどと数百人規模の会場が大半を占めているということが分かります。
ちなみに各規模で代表的な会場は以下の通り、
~100人:アイスリボン道場 (平均82人)
~200人:板橋グリーンホール (平均163人)
~300人:新木場1stRING (平均231人)
~500人:新宿FACE (平均418人)
~1000人:大阪府立体育館(エディオンアリーナ)第二 (平均753人)
~2000人:後楽園ホール (平均1238人)
確かに頻繁に名前を見る会場だ。
大会数分布
それでは会場規模はごちゃまぜで2018年に行われた大会数を会場別に集計してみました。
左の表は大会数の上位10か所ですが、2018年最もプロレス興行が行われたのは新木場1stRINGで251大会でした。
右の図は上位3件+その他で割合を示したものですが、実に全体の12%の大会が新木場で行われている計算になります。
次いで多かったのは”聖地”とも名高い後楽園ホールで207件、全体の9.9%に及びます。
そして3番目は、今回の集計の中でもかなり驚いた箇所ですが、アイスリボンの道場が75件でランクイン、全体の3.6%に匹敵します。
新木場は確かに小規模な団体が頻繁に興行を売っている印象ですし、後楽園ホールも”聖地”の名にそぐわず毎週のように興行が開かれているのは知っていたので納得だったんですが、一団体の道場であるアイスリボン道場がここまで大会を開催しているとは・・・
所謂道場マッチっていうことなんでしょうけど、話によるとアイスリボン以外の団体も使用しているそうですね。
で、一つ興味深いのはこのトップ3はいずれも会場規模が異なっていること。
かといって規模が小さい順でなく、200~300人の新木場が1位、1000~2000の後楽園が2位、0~100のアイスリボンが3位という順番なのは興味深いです。
これはすなわち需要のある会場規模にもなるんですが、普段使いに200~300の新木場、小規模団体のビッグマッチ・大規模団体の普段使いとして後楽園という感じの需要なんですかね。
続いて上位3会場で開催された興行数の全興行数に対する割合の推移を示したのがこちらの図。
ここからわかる通り、2012年時点だと後楽園が全体の8%を占め、新木場は5%と後楽園興行の方が多かったようです。
しかし、その後現在に至るまで後楽園の興行割合はあまり変化がないのに対して、新木場の興行数割合が年々増加し、2017年には2012年の倍の10%を超える結果に。
単純に大会の動員規模だけを解析した際に100~500人規模の大会数が増加しているのが分かっていたんですが、その大会の開催地として新木場の重要性がどんどんと上がってきているということかもしれません。
同様にアイスリボン道場もここ数年で一気に割合を増やしているようで、数十人規模の会場の需要が近年高まっているようです。
総動員別
続いては会場ごとの総動員数について集計してみました。
1位となったのは興行数で2位に入っていた後楽園ホールで2018年の1年間で25万2735人の動員があったようです。
これは2018年のプロレス興行の全動員の22.4%に匹敵する値でまさにダントツ、プロレスの聖地のあだ名は伊達ではなかった・・・
ある意味この後楽園の動員が圧倒的すぎる部分もあるんですが、2位には最近開催団体も増えた両国国技館(5万6664人、5%)、3位に興行数1位の新木場1stRING(4万7951人、4.3%)、4位に年一回なのにランクインするキャパのデカさに驚く東京ドーム(3万4995人、3.1%)という具合。
5位にはエディオンアリーナなどがランクインしますけどトップ10を見回しても都内・首都圏の会場がかなりの動員を占めているようですね。
興行数と同様に2012年以降の総動員に対する割合をプロットしたのが上の図。
ドームに関してはあまり変化がありませんが、新木場は徐々に増加、両国は徐々に減少、後楽園は徐々に増加という傾向があるように見えます。
所感雑感
というわけで会場に関しての解析でした。
近年の傾向として小規模会場の需要が高まってるんじゃないか?という結論が出てきたのは、何となくそういう感じがしていたにしても、ちょっとちゃんとした解析っぽくとちょっと面白かったりします。
会場での話でいうとやはり気になるのが2020年の都内会場不足問題、上でも示したように動員でも興行数でも都内の会場の占める割合は高い、2020年はプロレス界にとっては少し厳しい時期になるかもしれませんね、わかっちゃいたことですが