プロレス統計

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2020年東スポプロレス大賞新人賞について所感

今年もこの季節がやってまいりました、年末の風物詩、東スポ制定プロレス大賞。
まぁ風物詩というと「今年ももう年末だねぇ」としみじみするイメージがしますが、どっちかっていうときな臭さと香ばしさ漂う戦いの火ぶたが切って落とされるイベントという感じの方が強いのですけど、まぁ議論が生まれることは良いことだとは思います。
既に色々議論、論争が起きているようではありますが、その中でちょっと気になったのは今年の新人賞に関する取扱い。

同大賞の選考委員を務め、毎年ネット上での発表役も担う小佐野さんから「今年は新人賞は設けない」とのお知らせ。
まぁないのはないで良いですし、救済として来年は枠を1年分広げるというのもまぁ妥当だとは思う(でも来年はより狭き門になりかねんということでもありますが)んですが、
その理由がなんとも理屈がわからん、かつそれ本当かいな?という感じもしたので自前のデータで検証しつつ、この新人賞不設について考えたいと思います。

 

2020年の試合数

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小佐野さんのツイートにあったように2020年のプロレス界はCOVID19によって大きく試合数を減らすことになりました。
上図は2020年の1~11月の各月の試合数を示しており、参考として2019年の試合数を灰色で示し、昨年比の割合も棒グラフ上に示していますが、
御覧の通りCOVID19の第一波が到来した3~6月にかけて試合数は大きく減少し、8月以降はかなり回復したものの7~8割程度を推移し、依然として例年よりも少ない状況が続いています。

2019年の1~11月の総試合数が11,889試合でしたが、2020年の同期間の総試合数は7186試合で前年比約60%程度となっています。
こうしてみると確かに「コロナ禍によって」試合数が減少し、それに伴い選手(今回でいうと特に新人)の活躍を測る場が減っているのは確かでしょう。

しかしここで引っかかるのは「各団体の試合数にばらつきがあったため」という文言。
そもそも通常の年であっても団体ごとに試合数にはバラツキはあるもの*1なので「バラツキがあるから新人賞は無し」の理屈なら毎年新人賞なんてないのでは?という感じもしたり。
勿論Twitterの140字の制限にすべての事情を書くのは不可能なので、ここは文意を想像して補うことにしますと、
「コロナ禍によって各団体の試合数にバラつきがあった」としているので、コロナによって不当に試合数が減った団体とそうでない団体が存在した、ということかもしれません。

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果たして試合数の減少具合に団体間の差はあったのか?ということで、各団体の2020年の試合数が前年度比何%に当たるかを横軸に、縦軸を各割合になった団体数でヒストグラムをとってみたのが上図(両年で10試合以上の団体に限定)。
こうしてみると50%台の位置に大きなピークが存在し、多くの団体が昨年比50数%程度になっていることがうかがえますが、勿論分布なのでそれ以上に減少した団体、逆に前年よりも増えた団体なども存在しているのは確かですね。

とはいえ元々の試合数のばらつきが存在する以上、前年比の試合数もある程度バラつくのはどうしようもなく、なんというか理屈に納得がいかない感が残ります。
ちなみに例年新人賞をとるような主要団体(新日本、全日本、ノア、DDT、ドラゲーなど)についてはその試合数割合はあまり変化がなかったようで、一層理由として納得がいかない感が募ります。

新人賞候補選手試合数

ここでさらに行間を読もうとすると、「各団体の試合数にバラツキ」があったとしても新人賞対象選手が数多く試合をこなしていれば「どの新人が新人賞にふさわしいか?」を先行する条件はあるはず。
逆に言うと「活動した新人選手が少なく、なおかつ試合数も少ない」のであれば先行する材料に不足するため設けず、というのは理屈が通るでしょう。

というわけで2019年と2020年に試合を行っていた新人賞候補選手(デビュー3年以内)を調べると2019年は194人に対して、2020年は155人と確かに少なくなってはいるものの、「先行するには少なすぎる」かというと微妙な感じがしてきますね。

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今度は新人賞候補の試合数でヒストグラムをとってみたのが上図、横軸が11月までの試合数で、縦軸がその試合数だった新人賞候補選手の人数になっています。
2019年が青いバー、2020年がオレンジ色の枠で示していますが、
確かに年間100試合以上するような極端な選手はいなくなったが2020年には存在せず、平均試合数も46試合→33試合と減少している傾向にあります。
しかし2019年と同様に100試合未満の分布傾向はおおよそ同様となっており、「候補選手の試合数が少なく選考ができなかった」かと言われるとまたしても納得がいかない感じになります。

 

所感雑感

まぁ結論から言うと「いや例年通りに新人賞選考できそうだししたらよかったのに」という感じでした。
まぁ小佐野さんのツイートも速報バージョンという感じでまた後日詳しい説明がある気はしますけど、現状ではあんまり納得できんなぁということでした。
過去には「該当者なし」なんて言う年もあるんですが、今年で言えばG1での上村選手(2018年デビュー)なんかは評判良かったですし、NOAHの稲村選手(同じく2018年デビュー)も良い評判を聞きましたし、彼らに賞があげられない、どころか選考すらされないっていうのは残念すな、という感じです。

きょうはこれまで、それでは