プロレス統計

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各種数値で振り返るWRESTLE-1

春は別れの季節、ではあるんですが今年は特大級の別れが訪れるようで。

先日発表されたのはプロレス団体WRESTLE-1の活動休止。
残念ながらWRESTLE-1についてはあまり積極的に情報を追いかけていたわけでなく、今回の活動休止についてああだこうだというだけの知識も経験もないのは事実。
なんですが、私がプロレス”オタク”として目覚めつつあった時期に旗揚げされた団体の終焉が寂しくないといえばウソなわけで。
今回はそれを踏まえて各種数値と思い出をもってWRESTLE-1を振り返りたいと思います。
(たぶんもっと詳しい振り返りはスぺマンさんとかがやるんではなかろうか)

【3/2 追記】 2019年の年齢・キャリアの分布について追記

 

基本情報

WRESTLE-1は2013年9月8日に旗揚げされた新団体。
その名前はかつて行われたプロレスイベントの名前を用いていたそうです。
旗揚げ時の主要メンバーは全日本プロレスの面々が多く、当時の全日本のオーナー・白石氏との方向性の不一致から武藤敬司氏が全日本を離脱し、旗揚げ、それに同団体の多くの選手が同行した、というのが一般的な見解ですかね。
そのため2020年4月1日に活動を終了するのであれば活動期間は約6年7か月になる計算。
ちなみに、比較対象として妥当かどうかはさておき全日本から枝分かれしたものの活動休止に至った団体としてはSWSが2年1か月、その後継団体であるWARは約5年などがあります。

大会数

2020年2月までの総大会数407大会、3月中に4大会、4月1日には最後の後楽園ホールが予定されているらしいのでWRESTLE-1の総大会数は412大会になりそうです。
上記は各年の大会数の推移ですが1年間の活動をしていた2014~2019年は50後半~70前半の大会数を維持していたようです。

総動員

2020年2月までのこれまでの総動員は21万1643人となっていますが、今後の大会が終了次第総動員は追記します。
上記は1年間の総動員の推移ですが、大体が2万人台後半だったのに対して2014年はほぼその倍になっています。
大会を見てみると2014年はTNA(現・Impact)との合同興行が両国国技館で華々しく開催されておりその影響ですかね。

出場選手平均年齢・キャリア

2020年2月時点でWRESTLE‐1にはこれまで総勢372人のレスラーがリングに上がっています。
個人的印象でいうと、最初期は武藤全日本の延長線上だったのが途中からは元WNC所属だった選手やプロレス総合学院出身の若い選手を中心としてスタイルに移り変わったのを覚えています。
当時は結構「プロレスにおける若手の育成手法について」注目されていた時期で、
ありていに言えば旧態依然的な「若手は基礎に忠実に、雑務をこなす」という新日本プロレスのヤングライオンに代表されるスタイルに対し、「若手でも自由に創造的に試合をすべき」というスタイルがかなり主張を強めていた時期でWRESTLE-1のプロレス総合学院(2015年設立)やDDTの若手ブランドDNA(2014年旗揚げ)なんかができた時期でもあります。

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それをある意味で反映するかのように平均年齢(Average Age:左)も平均キャリア(Average Career:右)も2015年を境に大きく値を下げているのが見て取れます(上記数値は年間10試合以上行っている選手の平均なので注意)。
参考として同時期に日本で活動していたプロレスラーの平均値(Japana_av)も示していますが、全体平均が緩やかに増加傾向にある一方で2016年以降は明らかにそれ以下の平均値を維持している辺り「若手を中心としたリングだった」というのは確かなようです。

しかしこの大幅な変化は逆にその分それまでいた選手が退団していった、ということでもあり、
実際に武藤全日本でデビューし、WRESTLE-1の旗揚げ前後に所属・参戦となった真田聖也(2014年)、浜亮太(2016年)、中之上靖文(2016年)、KAI(2016年)、大和ヒロシ(2018年)といった選手がタイミングこそ違えど順々に退団しています。
真田聖也はそのごSANADAとして新日本プロレスへ、浜・中之上の両名は大日本プロレスへと移籍し現在も活躍していますね(KAI、大和両選手もフリーとして活躍中)。

2019年年齢・キャリア分布

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平均だけではわからないものを見るべく、2019年に活動した選手について年齢及びキャリア年数の分布ヒストグラムをとってみたものがこちら。
青い棒グラフがWRESTLE-1の分布、オレンジの枠で示したのが日本国内の分布になっています(どちらも正規化しています)(ここでも年間10試合以上の選手のみをピックアップしています)。
同様の分布は各年で微妙に異なって入るんですが、2019年の分布にも見える特徴は共通していました。
まず初めに年齢の分布は、日本国内全体を見ても20代後半を中心とした分布をとることが分かっていますが、W-1の場合はその20代後半の人数の割合がかなり多く、一方で30代の割合は比較的少なめとなっています。
他の団体のデータなどを見ていても主軸となってタイトル戦線を争っているのが30代の選手というのは珍しくないと思うんですが、
そういった働き盛りの選手が少なく、20代の若い選手が主体となったリングであることがここからもわかります。
同様の傾向はキャリアの分布にも見え、W-1ではキャリア10年未満の選手の割合が全体平均よりも大きく、キャリア10~20年の中堅選手の割合が少なく、かと思えばキャリア20~25年のベテラン選手の割合が多い凹型の分布を取っています。

上述したSANADA選手なんかがまさにこの「30代」「キャリア10~20年」の条件に当てはまる選手たちであるので、そういった選手がごっそりと抜けた後がこの分布に現れているとも言えますね。

試合・シングル数

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最後に6年7か月の活動期間中の選手の戦績として試合数(match)とシングルマッチ数(Single_match)の上位10名を見てみたもの。
最も試合数が多くなったのは、武藤全日本でデビューし、旗揚げから今回の活動休止までを戦い抜いた河野真幸選手は395試合、WRESTLE-1の興行全体の実に96%近くに出場していた辺りWRESTLE-1ファンにとって見ない日はなかったんではなかろうか。
対してシングル数ではWRESTLE-1旗揚げ戦で国内デビューを飾った稲葉大樹選手が92試合で1位。
稲葉選手はWRESTLE-1デビュー選手の中で初めての最高王座WRESTLE-1チャンピオンシップ獲得者(2016年8月11日獲得)でもありますね。
というか同王座に関してはWRESTLE-1デビュー選手は稲葉選手に加えて芦野祥太郎選手しか戴冠選手がいなかったようですね。
(稲葉選手は全日本に入門後練習生時にWRESTLE-1移籍、芦野選手はWRESTLE-1に入門の違いはあれど)
そういうのを見るとやはり若手の育成的にはこれからが本番であった、と思えますね。

 

所感雑感

というわけで簡単にですがWRESTLE-1について振り返りでした。
記事中にも書いたんですけど私の印象的にはとにかく「若手が主体の団体」という印象があって、それがここまで露骨に数値として出ているとは思わなんだですけども。
とはいえそういう印象だからこそ、ベテランはそれこそ伝手もあるだろうしでフリーランスとしてのプロ活動もできそうですけど、多く輩出してきた若手レスラーはどうなるんだろうな、と思う部分もあったりします。
レスラーでもプロモーターでもない以上要らぬ詮索なんでしょうけども、願わくば彼らに良い道がありますように。