つい先日のことですが、新日本プロレスの後楽園大会を見ていた時にふと「今日の第1試合は平均年齢高そうだな」と思ったんです。
まぁ新日本としては久々にベテランも若手もみんなが参戦するシリーズなために、大ベテランが第1試合に出場することもあるわけです。
とはいえ一般的イメージとしては「第1試合は若手が行う」という印象もあったりするとは思います、そういう意味では先日の新日本の後楽園大会はイメージと反する状況だったわけですね。
とはいえ最近はパッケージプロレスと称して、第1試合から見どころのある試合が組まれることもあると思うので「果たして第1試合は若手の出場が多いのか?」ということについて集計したデータで検証したいと思います。
同じデータを使って行った解析も参考にどうぞ。
集計したデータ
今回も以前の男女別年齢・キャリア分布を解析したときと同様に、Cagematchデータベース上にある2018年に日本国内で行われた全プロレス興行について検索し、そこに出場している全選手のプロフィールを集計しました。
で、今回は各大会での試合順についても集計し、以下では第1試合に出場した選手と最終試合(メインイベント)に出場した選手、といったように条件で分けて解析も行っています。
年齢分布
まず初めに出場した選手全体(total)、メインに出場したことがある選手(main)、そして第1試合に出場したことのある選手(1st)でそれぞれ分布を計算してみました。
これをヒストグラムと言って、横軸が年齢、縦軸がその年齢の選手の人数に相当した棒グラフが並んでいます。
でヒストグラムを見てみると、全体と比較すればメインイベントや第1試合出場者の数自体はどのねんだいでも少なくなっているわけですけど、メインイベントと第1試合の出場者間にはあまり大きな分布の差がありませんでした。
これに関してはやはり全体的に見ると「どんな選手でもメインに出たり第1試合に出たりする」という現状があるのかな、という感じですね。
かつてのアントニオ猪木も色々あって第1試合に出たこともありますし、本当にメイン/第1試合に出ない選手っていうのはいないのかもしれませんね。
とはいえさらに条件を厳しくして、totalはそのまま、メイン出場回数が10回以上の選手(main)と第1試合出場回数が10回以上(1st)で同様のヒストグラムをとってみますと、各年代の選手数がぐっと減ると同時に、第1試合出場選手の分布が大きく若手側、おおよそ20代選手が多いように偏っていることが分かります。
これらの選手はメイン/第1試合の出場回数が多い、所謂メインイベンターとかそういうものになるわけですがさすがにその頻度が高い常連選手になると大きな傾向が出てくるようですね。
全体の平均年齢が34歳に対して、メインイベンターの平均年齢は33歳、わずかに低いですがほぼ同じで、分布としてもおおよそ同じような位置にできているのが見て取れます。
一方で第1試合出場機会が多い選手は平均が30歳でメインイベンターとは3歳の差が生じています。
また分布を見ると30代、40代も存在するものの20代半ばにかなり人数が偏っているのが分かります、というか20代後半を境にガクッと人数が減っているんですよね。
キャリア分布
同様のヒストグラムを選手のキャリアで取ってみたのがこちら、メイン・第1試合出場回数をそれぞれ10回以上とした場合のものですね。
こちらで見ると第1試合出場者はキャリア数年の選手がかなり多く、キャリア5年に至るまででかなり人数が減っていることが分かります。
つまり第1試合によく出る選手はキャリア5年未満の若手に固まっているということが言えるかもしれません。
一方でメイン出場者を見てみるとキャリア2年未満の選手がかなりかなり少ない一方で、それ以降のキャリア3年以上の選手が一気に増えているのが見えます。
第1試合の分布も併せて考えると、キャリア2年未満の選手は初め多くが第1試合で経験を積み、それが終わると若手卒業としてその他の試合へ、中にはメイン出場の機会がぐっと増えるようですね。
年齢/キャリアと勝率の関連性
で、この集計の際に各選手のメイン/第1試合の戦績も一緒に調べていて「もしや年齢・キャリアを積んだ方がそれぞれ勝率が高いんでは?」と思い立ったので思い付きで調べてみました。
まず初めに各選手についてメインイベント(main)/第1試合(1st)出場回数10回以上の選手について、横軸を年齢、縦軸を勝率としてプロットしてみたのが上の図の半透明の丸になっています。
プロットだけを見るとただランダムに分布している気もしますが、このデータに関して1次関数で近似してみたのが点線になっており、メイン/第1試合共にその比例関数は右肩上がりになり、いずれも「年齢が上がるほど勝率が上がる」傾向にあることが分かります。
ちなみにその比例係数(相関の度合い)はメインが0.29、第1試合が0.9と第1試合の方が上述の傾向が強いことが分かります。
同様のプロットをキャリアを横軸にして行うと上の図のような結果が得られ、比例係数に関してはメインが0.28、第1試合が1.04とほとんど同じ結果が得られました。
第1試合勝率の分布を見るとキャリア10年未満はより強い相関がある感じで調べてみると係数が4.06と4倍近い結果に。
それを踏まえると「キャリア初期はキャリア増加に伴って急激に第1試合での勝率が上がる」傾向があるようです、その後は結構頭打ち、というかそもそもの出場回数が減るんですけども。
団体別各種数値ランキング
続いてこれ以降はある種のおまけとしてメインイベント、第1試合出場者に関して各団体別にランキングをいくつか紹介。
ここでは平均値とかを出す際のために年間20試合以上の団体に限って集計をしていますのであしからず。
以降では左が値が小さい方から10位、右が大きい方から10位というランクになっています。
各出場者数
まず初めにメインイベントに出場した選手数(MainEventer#)について、ここでは単純にメインイベントに登場した人数になっており、上とはちょっと違うのでご注意を。
メインイベンター数が少ない方を見てみると沖縄のプロレス団体である琉球ドラゴンプロレス(RDPW)が最小の20名、そもそも所属選手が11名と小規模の団体なのでそもそも致し方ないという部分もある気はします。
それを除くと他の団体はいずれも女子プロレス団体がトップ10を占め、これらも所属選手はかなり小規模ということもあってこの数値になっている気はします。
一方でメインイベンターが最も多かったのはDDTでなんと118人、以前行った解析によると出場選手数自体は373名なので出場選手のおおよそ3分の1がメインイベントに出場している計算になるそう。
DDTに関しては出場選手数が圧倒的に多いためという感じですけど、2位となった新日本は70名がメインに出場、以前の解析によると出場した総選手数が114人なので約8割の選手がメインに出場経験があるという結果になります。
前回の解析と今回の解析で総選手数とメインイベンターの数が分かっている選手についてぱっと見てみるとこのメイン出場率は他団体と比べてもかなり高い部類に入る気はします。
最近だと特にシリーズごとにヘビー・ジュニア・タッグとテーマを変えて行っている感もあるのでそのおかげでいろんな選手にメイン出場機会があるのかなぁとも。
一方で第1試合出場者数について同様のランク、ですけどこちらに関しては最初の分布で見せたように、メインイベンターとそんなに人数に変化は見られませんね、多少増減がある程度ですかね。
平均年齢
続いてメインイベント出場者の平均年齢、全体で見るとメインと第1試合で年齢に変化があまりなかったですけど団体ごとに見てみると結構な差があり、最年少となったのは東京女子で平均24.79歳、最高齢となったのがみちのくプロレスで平均41.27歳と両団体には実に約16歳の差が。
若い方のトップ10を見てみるとやはり女子団体が軒を連ね、これは以前行った男女別の平均年齢解析でも女子の方が男子よりも若い選手が多い傾向はありましたね。
年齢が高い方を見てみるとトップとなったみちのく、そして以降の全日本(AJPW)、レッスル1(W-1)、ゼロ1(ZERO-ONE)、ノア(NOAH)、新日本(NJPW)、そして旧KAIENTAI DOJOの7団体は全体の平均年齢(34歳)を超えている感じ。
続いて第1試合の選手を見てみると多少ランキングが変動しており、最も平均年齢が高かったのは全日本で37.4歳、それに次ぐのがNOAHで36.63歳となっていました。
これに関しては全日本系の団体は第1試合にベテランが出て若手の相手をするという伝統もあったような、という気もするのでその影響下も入れません。
メインイベンター/第1試合者年齢差
上の解析で各団体のメインと第1試合の平均年齢が分かったのでちょっとその年齢差(Main-Open)について団体内でちょっと計算してみました。
簡単に差を計算してみた形ですが、これが大きいほどメインの選手層が第1試合よりも若手が多いけいこうにあり、逆に小さいほど大きく世代交代が行われメインに若手が第1試合にベテランがという形になっているといえるかもしれません。
というわけで年齢差が大きい方からトップ10をそろえてみると1位になったのはメインの平均年齢が最も高かったみちのくが年齢差8歳で断トツ1位に。
それに次ぐW-1も約6歳となっており、この二団体に関しては年齢による序列が依然として厳しい状況にあるといえましょう。
一方で差が小さい方を見てみるとFREEDOMSが-3歳でトップに。
この数値がマイナス、つまりメインの方が第1試合よりも平均年齢が低くなったのはFREEDOMS、ガトームーブ、琉球ドラゴンプロレス、仙台ガールズ、そしてアイスリボンの5団体となっていました。
これらの5団体に関しては2018年急激に世代交代が進んでいたのかもしれませんね。
ちなみに最近新体制に移行したノアはそれらに次ぐ6番目に位置しているあたりかなり世代交代が進んでいたのかもしれません。
キャリア版
おまけとしてキャリアでも同様の差を取ってみたもの、おおよそ年齢版と同じですかね。
所感雑感
というわけで思い付きからえらい長いことになっちゃいましたけど、年齢分布を第1試合とメインというプロレス興行において特別な試合に注目して調べてみた結果です。
まぁ「言われてみれば当たり前じゃん」ということを実際に確認することというのは科学においては重要なのだ、ということで是非。
とはいえ最後にやったメインイベンターと第1試合の選手の平均年齢の差は今後良い指標になるかもしれないので2019年のまとめでもやろう
きょうはこれまで、それでは