G1はまだ最終戦を残していますが最終戦を待たずして一つの事件が起きたわけです。
ウィル・オスプレイのグレート・O・カーンとの結託、それによるオカダとの敵対。
ユニット制が色濃い新日本のリング上では自分のユニットを率いることがそのまま活躍の幅を広げることに繋がるために、1選手としてその選択肢をとるのは最善手でもありますし、だれもができるわけでないそのチャンスをオスプレイが今ゲットしたというのは、来日以後のみですが彼の試合を見てきた一人として嬉しいとともに楽しみであるのは間違いないわけです。
とはいえオスプレイが好きである以前にオカダファンである以上、オカダとオスプレイのこれまでの歴史に思いをはせ、一つの物語に区切りがついたことになんとも言えない寂しさを感じる部分があるのは間違いないわけです。
というわけで両者の直接対決を振り返りつつ、彼らの物語を今日は振り返りたいと思います。
- 2015.10.3 RPWで初対決
- 2018.3.6 ジュニアヘビー級の王者として成長
- 2019.3.20 無差別級と化したオスプレイ
- 2019.7.20 ジュニアヘビーとしての最後の対戦
- 2020.10.16 ヘビー級としてのスタート、オカダとの決別
- また対角線上で会おう
2015.10.3 RPWで初対決
オカダとオスプレイのリング上での出会いは2015年のイギリス、RPWのリング上でのこと。
新日本プロレスのトップ選手が揃って参戦した大会であり、後に新日本にも参戦することになるマーティ・スカルも中邑と対戦してたりしますね。
そこでオカダと対戦することになったのは当時22歳の新進気鋭のハイフライヤーだったウィル・オスプレイ。
当時はそれこそひょろ長い印象の青年で、割と米インディとかで見られるとにかく飛んで跳んで飛びまくる選手という印象。
とはいえその飛びっぷりが凄かったもんだから、この試合を覚えていた身としてはこの翌年参戦するという話を見た時かなり楽しみだった覚えがあります。
つまりオカダオスプレイの出会いでもあり、オスプレイと新日本プロレスファンの出会いでもあったと。
2018.3.6 ジュニアヘビー級の王者として成長
上述の対戦後新日本への参戦がスタートしたオスプレイ、多少苦戦こそしたもののすぐに新日本のリングでも受け入れられ、2017年には念願のIWGPジュニアヘビー級も戴冠し文句なしのジュニアヘビー級戦線のトップに。
そんな折にやってきたのは旗揚げ記念日でのIWGP王者対決、ヘビー級の王者はパンタロン期だったオカダ。
これが新日本における初対決でもあったんですがこと新日本におけるIWGP王者対決というとこれ以前にもオカダvs飯伏があったり、もっとさかのぼれば橋本vsライガーがあったりと新日本にジュニアヘビー級が確立されて以降の伝統でもあったんですよね。
それを知ってか知らずか、ジュニアヘビーとしての鮮やかさ、華やかさも見せつつもヘビーに引けを取らないパワーも見せつけたオスプレイ。
オカダのレインメーカーをかわすや放ったライガーボムにかつての橋本ライガー戦を思い返したオールドファンもいたとか。
試合後には抱き合い、礼をつくして分かれた両者。
この当時はまだまだ挑み・挑まれる関係、オカダ曰くの兄弟のような関係が強かったとも言え、オスプレイもまだヘビー級との対戦のための準備ができていなかったのかもしれない。
逆に言えばこれ以降オスプレイは対ヘビーが一つのターゲットになり、対無差別級、対ヘビー級へと進化していくことに。
2019.3.20 無差別級と化したオスプレイ
(新日本プロレス公式サイトより引用)(試合映像)
2018年の対戦から1年、オスプレイは大きく進化を果たしてオカダの前に立ちました。
2019年始めには飯伏幸太を下してNEVER無差別級を初戴冠し、NEVER無差別級王者としてNJCにも参戦。
この当時は今現在のフィニッシャーでもあるストームブレイカーを開発していたわけですが、相手を完全に持ち上げなければならない仕様上そのパワーにも磨きをかけた上での無差別級参戦だったと言えます。
この一戦でもオカダを何度も完全に持ち上げるだけでなくコーナー上を肩車の状態で持ち上げるというトンデモないパワーも見せつけるという。
試合こそオカダが決めるも、試合後オスプレイに「早くヘビー級に来い」と太鼓判を押す様子。
2019.7.20 ジュニアヘビーとしての最後の対戦
上述の通り2019年にはまごうことなく無差別級戦線の主役になっていたオスプレイですが体重自体はまだ100㎏未満のジュニアヘビー級。
ということで上述のNJC後にはBOSJにも参戦し優勝、そしてIWGPジュニアヘビーの再奪取と八面六臂の活躍をした上にさらには王者ととしてG1にも参戦、これは社畜呼ばわりされる内藤さんも真っ青な過労っぷり。
そんな中でやってきた4度目のオカダとの対戦の場は聖地・後楽園ホール、これでノらないオスプレイではない。
いつも以上にキレのある打撃に、掟破りのツームストンにと会場の後押しを受けつつも惜しくも及ばす。
オスプレイとして手ごたえはあったと見えますが試合後のコメントでは「ジュニアヘビーとしては」という注釈付き。
この試合以前にも「ジュニアではできる限りのことはやった*1」という発言もあったりして、「脱ジュニアヘビー」というのはオスプレイのテーマになっていた感はあります。
それは既に活躍の場、狙うタイトルで差別化できていた部分もあるんですが、オスプレイとしては文句なしのヘビー級への移行が頭にあったのかもしれません。
2020.10.16 ヘビー級としてのスタート、オカダとの決別
2020年の休業期間中に文句なしのヘビー級の肉体を作り上げたオスプレイ。
元々のバネはそのまま、パワーとウェイトのみを手に入れるというグラップラー刃牙のユリー・チャコフスキーkな?ともおもう無理難題を成し遂げて新日本のリングに帰ってきたオスプレイ。
その動きや様子なんかは驚くほど以前と変わらず、久々の期間に喜んでいたファンも多かったと思うんですが、
今思えばこの時既にオスプレイの次のステップへのすべての準備が整い、これまでのすべてに決別をする用意を整えていたとも言えます。
その決別を言い渡す場として選ばれたのが、「G1最終公式戦」なのかそれとも「オカダ戦」のどちらだったのかは定かであありませんが、いずれにしても両国のリング上で決別は実行されることに。
途中まではそれこそ今までの攻防を振り返るような試合、しかしオカダの新戦法マネークリップで試合が硬直するや恋人であるビー・プレストリーに結託したグレート・O・カーンが介入し、あっけなくもオカダからの初勝利を得ることに。
とはいえこの初勝利は今のオスプレイにとってあまり意味はなく、むしろ重要な意味があったのはその後にはなったとどめのヒドゥンブレイド。
思えばこの技自体は2018年の時点で使い始めていたんですが、大きく注目を集め始めたのは2019年1.4の飯伏戦でほぼノックアウトせしめた一撃でのこと。
その時も飯伏ファンを中心に拒否反応が出ていましたが、この技ほど誰かとの決別、敵対を叩きつける技として適切な技もないでしょう。
また対角線上で会おう
オカダとの出会いから始まった新日本でのレスリングキャリア、
そしてそのオカダとの決別。
これがオスプレイにとっての終わりを意味することはなく、新たな始まりを告げる一発になったと解釈するのが妥当でしょう。
まぁオスプレイにとって今後もオカダを狙っていくのか、それとも別の選手を狙っていくのか、どちらが自身にとって良いのかは彼の考えるところであり、彼にとってもっとも「おいしい」相手を狙っていくのが良いとは思うんですが。
すくなくともどちらかがフラっとアッチ行ったりソッチ行ったりしない限りはまたいつの日かリング上で相まみえることはあるでしょう。
その時は対角線上に、兄弟でもライバルでもなく、敵として。
一ファンとしてもその光景を今から待っています。
きょうはこれまで、それでは