プロレス統計

「プロレスの数字とプロレスする」をテーマにプロレスに関連する数字を調べ、まとめ、考えるブログです。

MENU

選手主導で始まったタイトルたち

先日の会見で発表になった新タイトルKOPW2020*1
その試合形式などに注目が集まり賛だったり否だったりの反応が見受けられる*2わけですが、それとは別の特徴として挙げられるのは「オカダ・カズチカ発案タイトル」という点でしょう。

元々IWGPなんかは猪木さんが数あるベルトを統一する目的で提唱した~なんていう歴史がありますが、昨今に限れば基本的には会社がいろいろな目的をもって創設するのがタイトル設立の流れ。
そういう意味で例外的なKOPWの設立ですが「歴史的にも稀な特別扱いなのか?」と言われるとそうでもなく、実はある意味伝統とも言える取り組みだったりします。

ということで今回はKOPWと同じく一選手の発案・肝いりでスタートした2タイトルについて紹介です。

 

IWGP U-30 (棚橋弘至発案)

www.youtube.com

おそらく現在も新日本で活躍する選手の中で最初に新タイトルを提唱・設立したレスラーなのは棚橋弘至その人。
2003年に自身が初代王者となったU-30無差別級王座(のちに”IWGP” U-30に)はその名の通り「30歳以下限定」とした王座で当時の自身も含む若手の活躍の場としての活用を考えた王座でしょう。

とはいえ第2代王者になった中邑によって「30歳というボーダー関係なくIWGPヘビーを選手は目指すべき」として一度は封印され*3、その後棚橋によって再び復活するもIWGPヘビーへの挑戦への集中を理由に実質封印されることに*4

所謂新日本暗黒期、新日本プロレス復活前々夜という感じでその意義や印象なんかはかすかに残った当時の個人サイトなどから伺い知るしかないのでいまいちわからないんですが、そのコンセプトは良いと思いますし、棚橋弘至のシングル王者としての経験値上昇にも役立った面もあるんではと思ったり。

NEVER無差別級

f:id:Rodyonsw:20200729083613p:plain

切っても切れないNEVERと内藤の数奇な関係性

(新日本プロレス公式サイトより引用)

続いて選手発案ではないものの、今回のKOPWと同じくその設立に際して菅林社長(当時)と同席して内藤哲也が会見を行ったNEVER無差別級があります。
NEVERは元々若手選手主体興行として数回開催された後にその中で目指すものとして設立されたのがこのベルトという形。
そのNEVER興行に毎回参加していたのが内藤さんであり、ある意味中心人物だったからこそこうしてベルトの発表の時に呼ばれたという関係でしょう。

しかしこのベルトがお披露目された2012年10月に内藤さんは膝の負傷で長期欠場に入り、初代王者決定トーナメントにも参加できず。
そこで歯車が狂ったのか当初の「若手のための」というテーマはどこへやらという初代王者田中将斗の誕生、その後真壁、石井、柴田などの選手の戴冠を経て今や立派な「ゴツゴツ、武骨系ベルト」として確立されています。

そういうわけで当初の理念からは大きくそれてはしまったんですが、今のNEVER戦線への支持率は結構高く、結果として今新日本に無くてはならないベルトになっている感はあります。

U-30、NEVER、そしてKOPWの相違点

そういうわけでいずれも一選手、しかも新日本のトップ選手の系譜に該当する選手によって設立された3つの王座なんですが、KOPWと他二つの大きな違いが「若手の底上げが目的ではない」という点にあると思います。
その試合形式などの関係で若手にもチャンスが…という期待こそあれ、最初のコンセプトには全く入っていないんですよね。

おそらく理由としては、かつてU-30を封印した中邑と同じく「若手であろうがIWGPヘビーで活躍できる・すべき」という考えかも知れません。
各王座設立時の各選手の年齢は棚橋28歳、内藤30歳、そしてオカダさんが現在32歳。
棚橋はこの2年後に、内藤はこの4年後に初めてIWGPヘビーを獲得することになりますが、たいしてオカダさんはご存じの通りIWGPヘビーは獲得済み。
前者二人が自分を含む若手の活躍の場を作り、巧くIWGPヘビーへのステップアップを図る目的もあったのに対し、
KOPWに関してはIWGPヘビーをおおよそやりつくした感があるだけに、今度はそれ以外の幅を広げることを目的としているという感はありますかね。

 

所感雑感

というわけでちょっとKOPWと共通項のある2タイトルについてでした。
棚橋がやって、内藤がやって、今回がオカダがと考えるとそういう系譜というかトップ選手が一度は通る道という感じもしてきますね、とりあえず新タイトルを作ってみてからが本番的な。
まぁ上述の通りその目的が異なっているという感じはありますが、前例の片方が数年で終了、もう片方が現在まで続く定着したタイトルと差が生まれている辺り、今度のKOPWがどういう運命をたどるのかは気になるところではあります。

きょうはこれまで、それでは

*1:オカダ・カズチカ選手が発案した“新タイトル”設置が決定! その名も『KOPW2020』!! 【7.28オンライン会見】 | 新日本プロレスリング

*2:私見ですけど国内ファンは割と賛が多く海外ファンが否が多い感じがするんですが、海外ファンが「WWEを経験した上で”非WWE的”なPURORESUを新日本に求めている」からこそそういうものから程遠いコンセプトなKOPWに難色示している感はあったりします

*3:中邑真輔、U-30王座封印を宣言: プロレス専門BLOG「ブラック・アイ」

*4:IWGP U-30 無差別級選手権|王者の伝説 〜強者どもが夢の跡〜|SPICE OF LIFE スパイス・オブ・ライフ