プロレス統計

「プロレスの数字とプロレスする」をテーマにプロレスに関連する数字を調べ、まとめ、考えるブログです。

MENU

各種数値で見るIWGPヘビー級歴代王者

つい先日これまで行われたIWGPヘビーvsジュニアの王者対決についてまとめたんですが、各王者の過去の成績についてまとめるのが手動でちょっと難儀したんですよね。
ということで思い立って新日本プロレスの各王座の歴代王者についても集計してみました。
その集計結果の解析第一弾として今回は歴代IWGPヘビー級王者について各種数値を見ていきたいと思います。

参考:IWGPヘビー級王者年齢・年代推移 - プロレス統計

 

集計したもの

集計したのは新日本プロレス公式サイト中にあるIWGPヘビー級の歴代チャンピオンページの情報。
公式サイトには他にも現存する各王座について同様のページがあるんですが、いずれもページの構造が同一なので集計プログラムを使いまわして全データを集計できるのがうれしい。

同ページには各王者と各防衛戦について情報が載っているので、王者に限らず歴代の挑戦者についても情報収集はできるんですが、今回は王者・王座戦についてのデータを中心に紹介したいと思います。

主な数値

f:id:Rodyonsw:20200215152512p:plain

第70代(現)王者 内藤哲也

(新日本プロレス公式サイトより引用)

まず初めにIWGPヘビー級に関する主なデータを紹介すると、
現王者は内藤哲也選手で第70代王者に相当します。
これまでに王者になった選手は30名(グレート・ムタ=武藤敬司とすると29名)で、これまで同ベルトをかけて試合を行った選手は90名なので挑戦したもののベルトを獲得するに至らなかった選手は60名になります。
そして同タイトルをかけて行われた試合は全部で256試合となっています。

年間タイトルマッチ・移動・新王者数

f:id:Rodyonsw:20200214233836p:plain

上述した256試合について各年での開催数を示したのが上図の青い棒グラフ。
最初に行われたのが1987年6月12日のアントニオ猪木vsマサ斎藤、同対戦は元々は現在でいうG1 CLIMAXのようなリーグ戦だったIWGPリーグ戦の第5回リーグ戦の決勝戦として行われ、それ以降は同名の王座として定義され、今日に至るまでの歴史を築いています。

年間のタイトルマッチ数に関しては少ない場合は5回、多い場合は12回といった具合にばらつきが見えますが、2010年前後は歴代の中でも年間のタイトルマッチ数が多い傾向がありましたがその後2015年には年間5度に減少。
これに関してはIWGP ICやNEVERなどの別王座の設立及びそれらによるメインイベント開催が恒例となった影響によるものと思われます。
その後は平均程度に開催数も増えており、これは最近のビッグマッチそのものの数の増加も関係があるかと。

参考として各年においてタイトル移動が起きた回数を緑色で、新王者が誕生した回数を赤で示しています。
IWGPヘビー史上最もタイトル移動が多かったのは2004年で、第34代王者中邑真輔(王座返上)→天山広吉(2月15日獲得)→佐々木健介(3月12日獲得)→ボブ・サップ(3月28日獲得、後に返上)→藤田和之(6月5日獲得)→佐々木健介(10月9日獲得)→天山広吉(12月12日)というようにあわただしく年始から年末にかけて6回の王座移動劇が繰り広げられることに。
しかもそのうち2回は王座返上という(中邑は負傷による返上、サップはK-1で藤田に負けたことを経ての自主返上とのこと)
また新王者誕生については2000年代後半以降は数年に1度というペースで起きているようですね。

連続防衛

f:id:Rodyonsw:20200215160949j:plain

ここ以降では各王者の防衛記録のトップ10としてまず初めに連続防衛記録(defence)についてまとめてみました。
Wikipediaなんかに歴代1位は載ってるんですが案外2位以下って載ってなかったりするんですよね。
割と最近の事なので皆さんご存じだと思うんですが歴代最多連続防衛を記録しているのは第65代王者オカダ・カズチカ選手、連続防衛12回でした。
連続防衛記録でいうと次ぐのが第56代王者の棚橋選手(V11)、第31代王者の永田選手(V10)、第16代王者の橋本選手(V9)というのはわりと有名な気はするんですが、それに次ぐのが第59代時のオカダ選手(V8)だったりします。
そして第3代王者の藤波選手が現在でも第6位にランクインしているんですが、こうしてみると第3代(1988年)で藤波選手が築いたV7の記録を破るのが第16代(1994年)の橋本選手で6年の月日が掛かっているんですよね。
次に破るのが31代の永田さんで9年後の2003年に、次が56代の棚橋で2012年なので9年後の樹立、そして最新V12が65代王者オカダで2018年に樹立なのでさらに6年後。
およそ6~9年ごとに新記録が樹立される計算になるのでV13樹立は2024年ごろだろうか。

連続保持期間

f:id:Rodyonsw:20200215160957j:plain

続いて連続保持期間(duration)について。
こちらでもトップになっているのは第65代王者時代のオカダ選手で720日間の記録、ほぼ丸二年の保持でした。
保持期間についてはおおよそ連続防衛回数と同じになるんではないかと思っていたんですけど、よく見てみると2位になっているのは第19代王者の橋本選手(防衛回数7回)だったり4位には第13代王者のグレート・ムタ(防衛回数5回)だったりするので必ずしも単純に比例する関係ではないといえますね。
割と「最近は防衛戦の頻度が低い」みたいな話もありますけど、これを見ると昔(少なくとも90年代)も頻度的にはあまり変わらなかったんではなかろうかという疑惑が(冒頭の難関のタイトルマッチ数の推移を見ても80,90年代と現在はそんなに大きな違いはないですし)

通算戴冠回数

f:id:Rodyonsw:20200215162554j:plain

ここからは通算記録ということでまず初めに通算戴冠回数について。
割とアメリカ・WWEとかだと連続防衛記録よりも通算戴冠回数の方を強調したりしますよね(X time championとか言って)。
この部門で堂々一位となっているのは棚橋弘至選手で通算8度の戴冠を果たしています。
その以前の記録保持者が師匠格といえる藤波選手なのもなんとも系譜を感じる。

通算防衛回数

f:id:Rodyonsw:20200215163521j:plain

続いては通算防衛回数(Total defence)についてまとめ。
最多通算防衛回数は30回防衛でオカダ選手が1位となっており、昨年の10月のSANADA戦をもって新記録を樹立した感じですね(全然注目されなんだ記憶がありますけども)。
こちらに関しても連続防衛回数が多いほど上位に来ている感じはありますがその上位陣の中でいうと永田さんが通算12回で6位となっており、V10以外では2度の防衛のみだったようなのは意外と言えば意外かもしれません。

通算保持期間

f:id:Rodyonsw:20200215164038j:plain

最後に通算保持期間(Total duration)について。
現状1位なのはオカダ選手で通算1789日、通算約5年間にわたってベルトを保持していると考えると驚異的というか。
凱旋帰国が2012年で現在2020年、帰国後の9年間で半分近くが王者としてリングに上がっていると考えるとなんかすさまじいことになっている感じが。

王者期間、挑戦者期間

f:id:Rodyonsw:20200215164822j:plain

最後にちょっと特殊な解析ですが、歴代王者について最初の王座獲得~最後の王座陥落までの期間を王者期間(champ)、最初の王座挑戦(獲得含む)~最後の王座挑戦を挑戦者期間(contendar)とし、それらを歴代王者ごとに重ねて表示してみたものが上の図になります。

ちょっと複雑な図ではあるんですが、特徴として王座期間が長い選手と短い選手に二分されている感があることがあげられます。
長い選手の典型は藤波・武藤・棚橋・オカダ各選手となっており、これらの選手は若手~ベテラン期にかけて王者となっていることから団体を長期間に割って支えたエース選手だったと言えるかもしれません。

また挑戦者期間に着目すると、挑戦者期間のみが長い選手と逆に挑戦者のみ期間がほとんどない選手に分かれます。
御呪術のエース選手の中を見ると、棚橋選手は若手時代には挑戦者期間がありますが、他の選手はほぼ挑戦者期間がなく、最後の王座陥落以後、徒に挑戦していないとも「挑戦するなら獲得する」ことができているとも言えます。
言い方を変えればある一定の「格」を保ったタイプの選手と言えるかもしれません。

逆に挑戦者期間が長い選手でいうと蝶野選手や永田選手が前後に挑戦者期間が長いようで、若手時代に上の世代に跳ね返され、ベテランとなってからは今度は若手の壁もしくは踏み台となっていたとも言え、
上述した自分の「格」をある種犠牲にしつつ後進の「格」上げに努めた、これもまた団体を支えた証とも言えますかね。
また、王者期間前の挑戦者期間が長い選手は獲得までの”溜め”が効いている選手ともいえますが、第3世代の4人(永田中西天山小島)の4名は長い”溜め”の期間を経ての王座獲得だったようです。
そういう意味でいうと近年の新王者でいうと溜めが長かったのは真壁・内藤両選手ぐらいなもんですが、こういう傾向をみるにこの両者は雑草型と言っても良いかもしれません。

 

所感雑感

というわけで歴代IWGPヘビー級王者に関して解析でした。
以前各王者の年齢なんかについて解析した覚えがあるんですが、今回のケースだと公式サイトには現在所属していない選手の年齢などのデータがないので同様の解析ができないのが悩みどころですね・・・Cagematchのデータと連結して何とかするか?
冒頭の話に戻るとIWGP王者対決は、後に歴代でもトップクラスの記録を残す選手が行っていることになるので、現王者の内藤さんも頑張ってほしいなぁとかそういう。
まぁ「初の二冠王者」っていうのは一つの記録ではあるけど、というかいずれにしろ上述のような記録を築き上げるには長い時間が必要になる辺り、それが無理だからこそ一発勝負の「史上初」という記録を狙いに行ったとも取れる…のかもしれない。

きょうはこれまで、それでは