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襲撃とビデオメッセージで振り返るクリス・ジェリコ

大盛況のうちに終了したレスリングどんたく2019、熱戦も数多く生まれたシリーズだったわけですけど、ある種その最後の最後ですべてを掻っ攫っていった感があるのはこの人。

言わずと知れた超大物、ベスト・イン・ザ・ワールドY2Jアルファ…様々な呼び名を持ち今回はPainmaker(苦痛をもたらす者)と名乗っているクリス・ジェリコその人。
よくよく思い出してみれば公式のインタビューなんかでも「棚橋やオカダとも戦ってみたい」と発言してたり、今年1月に敗北した時も「今度はIWGPヘビーを狙う」という発言があったんですけど、それから音沙汰がなくすっかり記憶の片隅に追いやられていたタイミングだったのでかなりびっくりでした。

その挑戦表明を、現王者たるオカダさんは受諾したようですけど公式での発表はまだ(5/5現在)。
ということでそれを待ちがてら、これまであの手この手で新日本にサプライズをもたらしてきたクリス・ジェリコについて、各抗争相手ごとに、少し振り返ってみたいと思います。

 

ケニー・オメガ 2017.11.5~2018.1.4

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クリス・ジェリコが”現代新日本”に姿を見せたのは2017年11月5日、ケニー・オメガのIWGP USヘビー級防衛戦の直後のことでした。
当時のクリス・ジェリコは、ある種の特別扱いだったとはいえ、間違いなくWWE所属の選手であり、ある種敵対団体である新日本への参戦はたとえ噂を耳にしても「そんなまさか」と一笑に付されるレベルの「あり得ないこと」だったと思います。
だからこそ会場および英語実況の反応は想定外のサプライズに本当かどうか信じられない!といった感じでしたね。
実際私も1.4当日に入場してくるまでまだ信じられなかったぐらいですからね・・・
とはいえこの時点、第1作目のビデオレターの時点でインパクト十分かつ(日本人にも理解できるぐらいに)簡潔にまとめられたメッセージは流石といったところ。
しかもこの時点で”アルファ(頂点)”vs”オメガ(究極)”というキーワードを用意し、観客にも印象付けているあたり用意周到。


まさかの襲撃、まさかの狂乱だった
(新日本プロレス公式サイトより引用)

その後12月11日にもジェリコはビデオメッセージを送りつける。
まぁこの時は前回からの繰り返しでもう一本送ってくるとはご苦労なことで…と思っていたんですが、明かりがつくとなんとジェリコがリング上に!(映像)
まさか1福岡くんだりまで(在住の人すいません)わざわざ来まい、と高をくくっていたケニーとファンの心理の裏を突く、これもまた巧妙なサプライズ。
しかもこれまでのVTRでは「どっちが本物のベスト・イン・ザ・ワールドか決めようぜ」というクリーンファイトを望む風を見せていたのに反するようなラフファイト。
ベルトショットでケニーを血まみれにするやセコンドやレフリーも突き飛ばし、旧知の仲らしい英語実況のドン・キャリスにもコードブレイカーをお見舞いする狂乱。
そして最後はプロレスマスコミの衆目の中で自分でタクシーに乗って去っていくという。
ある意味この襲撃でジェリコの姿勢、そしてこのアルファvsオメガの試合の方向性が決まったと思います。

その後、両者の合意の元ノーDQ(反則裁定無し)戦となった一戦は無事?1.4ドームで行われ、本場のファンも唸る一戦の末、ケニーの辛勝(試合結果試合映像)。
ちなみに現在ケニーが副社長を務めるAEWの旗揚げ戦では両者の2度目の対戦がラインナップされています。

内藤哲也 (第1次抗争) 2018.1.5~2018.6.9

(新日本プロレス公式サイトより引用)

上述のケニーとの一戦後、ジェリコは「二度と来るか!」と吐き捨ててコメントブースを去っていたのですが、負けっぱなしで帰るほど寛容な男ではなく、翌日のメインイベント終了後にリング上に残っていた内藤を襲撃。
とはいえ当時の内藤さんは、それこそ前日にIWGPに挑戦するも奪取に失敗したところで無冠。
そういう意味ではネームバリューとインパクトこそあれ「まだおいしい時期ではない」と判断したか、その襲撃以降しばらくの間ジェリコが登場することはありませんでした。

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ある意味ジェリコにとっては内藤が”おいしい獲物”になるのを待っていたわけで、それを証明するかのように4月29日のレスリング火の国でIWGP ICを再戴冠した直後、どんたくシリーズの最終戦に再び突如姿を現します。
しかもしかも内藤が退場しようとするタイミングでマスク姿での襲撃、これもまた意表を突く襲撃でしたが、まさしくインパクトは絶大、タイミングも他の挑戦者が現れていないタイミングに加え、直後のビッグマッチが大阪城ホール大会とまさにどんぴしゃりのタイミング。

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そして次シリーズBOSJの後楽園大会(5月22日)においては満を持して(?)ビデオメッセージを送付。
ケニーに送ったメッセージと異なるのはどこかの倉庫内でなく屋外の道端、そしていわゆる自撮りによる映像(割とこの時期WWEとかでもこういう形式の映像が流行ってたような)。
その映像の作りに加えてその言葉でも内藤とLIJ、そしてそのファンを小馬鹿にするような内容でケニーの時とは戦法を変えているのが見えますかね。

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そしてそれに続くようにシリーズ最終戦6月4日後楽園大会でもメッセージを送付。
たしかこの映像の前に新日本プロレスの公式サイトもしくはワールドでジェリコに関する内藤のインタビューが公開され(これか?スマホサイト会員のみ)、それを踏まえてのものだったかと思います。
この時は前回よりもさらに一歩、内藤と内藤ファンのトラウマに一歩踏み込んで東京ドームメインイベントを巡ったいざこざを例に挙げて挑発をします。
それに関して内藤は「話が長い」と切り捨てていましたが、それは同時にとっさに切り返す、言い返せなかったことも意味します。

そして来る6月9日の大阪城ホールでのIWGP IC戦、大阪初見参となったジェリコは内藤を破りIWGP ICとしては初戴冠、”インターコンチ”王座としては実に通算10度目の戴冠を果たします。

EVIL 2018.6.9~2018.11.3

(新日本プロレス公式サイトより引用)

その内藤戦後、さらに内藤をいたぶるジェリコに対して割って入ったのは同じくLIJのEVIL。
それはすなわちジェリコの持つIWGP ICへの挑戦でもあったわけですけど、ここで正直に受けることがないのがジェリコ。
その後のG1シリーズ及びDestructionシリーズを経てEVILも別の相手、ザック・セイバーJrへと目を向けたそのタイミングで再び新日本に舞い戻ってきました。
その場は10月8日の両国国技館、EVILとしては前年のオカダ戦に並んで大一番といってもいいスペシャルシングルマッチに従者付きのド派手な登場を用意したわけですが、その従者の中に紛れ込んで入場中に襲撃して見せたジェリコ。
この襲撃によって試合は無効試合になりましたが、この盛大な”辱め”をもってEVILの挑戦表明への返答としたってことですかね。

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そんなEVILに対するメッセージも両国から少しして公開。
内藤への者と同じく、というかそれ以上に相手を”グリーンボーイ”扱いして見下した内容だったわけですが、このメッセージに対してEVILはまさかの対応を見せます。

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そうまさかの返答のビデオメッセージ!
ジェリコはメッセージ中で「日本人にしては大した度胸だ」とEVILを小馬鹿にしつつも褒めていましたけどその度胸の良さがこうした形でも出るとは・・・
そもそも今の日本プロレスのリング上でこれだけコテコテのキャラクターを固めて凱旋してきた時点で大した度胸だなぁと感心した覚えがあるんですけど、ここでもそれが発揮されたか、という。

そして迎えた11月3日大阪大会、ジェリコはついに新日本プロレスのメインイベントに到達したわけですが、
それだけにはとどまらず、自身の象徴的フィニッシャーであり、新日本では「若手相手の技」としても印象強いウォール・オブ・ジェリコ(逆エビ固め)での勝利を見せ、格の違いを見せつけました。

内藤哲也 (第2次抗争) 2018.11.3~

上記のEVILの敗北後すかさずリングに上ったのはある意味ずっと機を伺っていたであろう内藤さん。
そこでの襲撃と内藤の挑戦表明を受けて新日本プロレスはいち早く2019年1月4日のIC戦を決定しますが、ジェリコは試合後コメントから一貫してリマッチを拒否。
これもまたジェリコの戦略ではあるんでしょうけど、内藤さんも新日本では数少ない「ジェリコと戦ったことがある男」だけに、これまでと同じような、ジェリコに機先を制される展開を避けようと積極的にしかけます。
とはいえアメリカに飛んで襲撃して・・・というのは流石に巡業があるのでできず、となったときにある種ヒントになったのはEVILの返答ビデオでしょう。

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内藤さんは機先を制して、ジェリコよりもいち早くメッセージビデオを公開(12月10日)。
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続く12日にはそれに対してジェリコも返答メッセージを送り、メッセージ中で言っていた「俺はトランキーロじゃいられない」の言葉通り、その3日後12月15日に緊急来日し記者会見に臨みます。
この会見でもお互いに挑発を行っていたわけですが、それを遮るように内藤は水を吹きかけて挑発し、ジェリコが前後不覚の内に去っていく挑発。

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会見では一応平静を取り戻して帰っていったジェリコですが、もちろん侮辱を受けたまま帰る男ではなく、その日の後楽園大会の試合後に通算3度目となる襲撃を敢行。

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その後12月21日にジェリコは再度内藤にメッセージを送付。

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さらにその後12月25日には内藤も同じくメッセージを送付。
ここまでくるとメッセージ動画による”応酬”と言っても過言ではないでしょう。

こんな”自撮り動画”での応酬が2週間近くにわたって繰り広げられた末にやってきた2019年1月4日、ジェリコとのリマッチに挑んだ内藤はある意味ジェリコのお株を奪うベルトショットでベルトを奪還しました。

オカダ・カズチカ 2019.5.4~2019.6.9?

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というわけでこれまで3人の相手と4度の抗争を繰り広げてきたジェリコの次なる目標はオカダさん。
これまでかかってきたベルトも新設間もないUS王座、棚橋曰の”大関ベルト”のIC王座を経て、ついに新日本の最高王座であるIWGPヘビー級に到達した辺り、ジェリコの新日本でのステップアップの順調ぶりが見えます。
ケニーとの抗争以降、内藤さんやEVILとの抗争ではあくまで”アルファ”というニックネームを用いてきていましたが、今回はオカダの”Rainmaker(金の雨を降らせるもの)”をひっかけた”Painmaker(苦痛を与えるもの)”というニックネームを用意してきた辺り新グッズの予定がかなりの意気込みがあるようですね。

いずれにしてもこうして振り返ってみれば、いずれの抗争も前哨戦の段階で「ビデオメッセージ」と「襲撃」が重要な要素になっているのがわかります。
そういう意味でやはりファンとしては「いつジェリコが襲撃してくるのか?」に気が行くところですが、同じく大阪城で試合を迎えた内藤さんとの第1次抗争を考えると次期BOSJシリーズのどこかで「メッセージ」が来てもおかしくはない気はしますね(今回は特に全戦新日本プロレスワールド中継だからいつ来ても見逃すことはないし)。

 

所感雑感

というわけでジェリコの襲撃とビデオメッセージについてまとめでした。
まぁ上記の通りたくさんある割にYouTubeにあったりなかったり、時系列がわかりにくかったりしたのでこのまとめが参考になれば幸いです。
今回はそういった前哨戦での仕掛けが主題だったので試合についてはあっさりまとめでしたが、時間があれば振り返ってみても面白いかもしれませんね。
ちなみにビデオメッセージを見てもやっぱり英語実況席のリアクションがすさまじいのでそっちで見る方がおもしろいかもしれません。

きょうはこれまで、それでは