さて前述の通り、どんたく2連戦に突入して怒涛の振り返り中ですが、
今年で2年目となる博多どんたく2DAYS、そのオオトリを飾ることになったのはご存知の通りのオカダ・カズチカvsSANADA。
【5月4日(土・祝) 福岡“2日目”の全カード決定!】
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) April 8, 2019
・メインは“IWGPヘビー級王座戦”オカダvsSANADAが激突!
・セミは“スペシャルシングル”石井vsEVIL!
・BULLET CLUBの“X”がついに登場!https://t.co/UKzqi0JTHh#njdontaku #njpw pic.twitter.com/bLBntUArAk
これまでのシリーズでの煽りでも言われていた通り、同い年対決でもあり、NJC決勝の再戦でもあり、色々な共通項と過去・因縁のある両者ですので、この両者について振り返りたいと思います。
- 2016.5.3 シングル初遭遇
- 2016.7.23 G1初対決
- 2017.7.25 無邪気さを身につける”新日本プロレス”でのSANADA
- 2018.2.10 民意を味方につけたSANADA
- 2019.3.24 約束の一戦
- 所感雑感
2016.5.3 シングル初遭遇
この両者の初遭遇は2016年4月10日のこと、内藤哲也がオカダに挑んだIWGP戦にて終盤に乱入し、内藤のIWGPヘビー初戴冠のお膳立てをしたことにあります。
オカダにしてみれば「SANADAの乱入さえなければ・・・」という思いもあってか次シリーズ、奇しくもレスリングどんたくにおいて両者のシングルマッチが組まれたわけです。
当時のSANADAというとそれまでのきらびやかなコスチュームと正反対の真っ黒なコスチュームに寡黙なストーンフェイスでそれまでのファンを困惑させもしましたが、初参戦シリーズ中に見せた動きだけでもその身体能力の高さは観客に強く刷り込まれてましたね。
実際自分もSANADAの後楽園初参戦の試合を会場に見に行った記憶があるんですが、えらいワクワクして見てた記憶があります(あと入場曲がえらいかっこよかった記憶も)。
思えばそのワクワクの源泉というのは、その若さも身体能力もですけどそのすべてがオカダと互角を張るものだった辺りが、それまで言われていた「オカダのライバル」たりうるものなんじゃないか、というのもあったとは思います(少なくとも私はそう)
それはちょうど、内藤さんがLIJとしてヒールターンをしたことで、オカダに対して敵でこそあれ、同タイプの「ライバル」ではなくなったタイミングがあったからこそかもしれません。
試合としてはその期待感にそぐわない、ポテンシャルと巧さ、強さを見せつけたSANADAでしたが、この日のSANADAの敗北でこの両者の関係がスタートすることに。
2016.7.23 G1初対決
初対戦での好勝負が評価を受けてか、その年のG1に初出場したSANADAはオカダと同ブロックにエントリーし、序盤の町田大会のセミでの対戦が決定。
新日本での初シングルこそ敗北でスタートしてしまったものの、G1は初戦で棚橋に勝利する金星を得て、再スタートを切るにはちょうどいいタイミングではありました。
この時点に来るとSANADAの一つ一つのムーブもすっかりと浸透している印象があるのは、その初登場といい、その後の活躍といい、インパクトを残せていた証拠ですかね。
それに加えて、オカダといえばレインメーカー、というのと同様にSANADAといえばスカルエンドという印象も、ありとあらゆる場面でスカルエンドを狙うその試合スタイルから観客に早くから印象づいていたのも、この早い「認知」からはうかがえるかもしれません。
オカダとの試合は2戦目とあって、スカルエンドへの切り返しやなども多彩になってきたSANADAですけど、それに対して対空迎撃のドロップキックやジャーマンという奥の手をオカダが見せたのはそれだけSANADAが追い込んでいたということの証拠ですかね。
2017.7.25 無邪気さを身につける”新日本プロレス”でのSANADA
その後、両者の再戦は丸1年後の同じくG1でのこと。
前回と違い今回は両者の対戦で初のメインイベントに組まれたことで、この両者の試合への信頼度の高さが見えますかね(前回は棚橋対真壁がメイン)。
ちなみにこの時のセミは伝説の矢野対ケニー戦(試合映像)だったりします。
1年の時を経て、オカダはケニーや鈴木、そして柴田との一戦で試合への自信を一層高めた記憶がありますが、対するSANADAも少しづつの変化を見せ始めていました。
ビジュアルの面でいえば、それまでの黒一色のコスチュームから、以前のパーソナルカラーでもある白や青を取り入れたり、試合面ではすっかり空き家となっていたミラノコレクションATの代名詞的技、パラダイスロックを使い始めたりと、言ってみれば茶目っ気、無邪気さを見せるようになってきた感じ。
それはこれまでに控えていた、SANADA、もしくは真田聖也自身の色を出し始めたということでもあったりします。
それはこの試合序盤でもこれまでにあまり見せなかったグラウンド、関節技の攻防から始まったあたりにもその素養を見せつつあることがわかります。
さらには試合中盤には膝を痛めた”フリ”という三味線を見せたり、そういった硬軟併せ持った”新しいSANADA”を見せた試合と言えます。
それ以外にもフェノメノン式のスカルエンドや掟破りのツームストンパイルドライバー、そしてこれまで交わされ続けたラウンディングボディプレスとこれまでにないほど追い込んだ、とは思うものの最後の最後に狙ったアサイDDT式スカルエンドを切り返されての敗北。
SANADAファンにとっては「あれが決まっていれば・・・」と思うような結末であり、オカダファンとしては「あれを決めさせないのがオカダ」ともいえる試合ですね。
2018.2.10 民意を味方につけたSANADA
2018年2月の一戦はオカダ対SANADAのこれまでの対戦の中でも、シングルプレイヤーとしてのSANADAとしても重要の意味を持つ一戦です。
これまでもその高い身体能力や技術から実力者としては認識があったSANADAですけど、この試合では結果としてその自己の能力だけでなく周囲の状況から生まれうる「期待感」も味方につけた、そんな一戦でした。
その当時のオカダは長期防衛も後半に入ったことでその政権の終了を望むような声も増え、さらにはその最右翼とされLIJムーブメントと共に人気面も最高潮だった内藤を倒したことでその反感を買った、まさに低迷期も低迷期。
だからこそ、正直なことを言えばそれが誰であろうとも「オカダを懲らしめてくれるならだれでもいい」というような空気感は確かにあったと思います。
この一戦において、SANADAは確かにその役割に入り込んだのは確かで、その役割への期待以上に躍動して見せたのは確かだと思います。
勿論両者にとって初のタイトルマッチという状況もあったんですけど、そういったリング”外”での機運を掴むことがその後のキャリアに影響を及ぼすこともあるという良い例でもあるんですよね。
事実、ここで敗戦こそすれこの年のSANADAはG1でザックや飯伏を相手に好勝負を展開しシングルプレイヤーとしての”格”を大きく上げることにもなるわけで。
勿論そういった機運が一過性の者になったり、それをつかめない選手もいる中で、それを確実につかみその後に継続させた辺りがSANADAのすごさではあります。
2019.3.24 約束の一戦
その後しばらくの間をあけて再戦来ることになったのはその1年後のNJCでのこと。
正直言うと上記の試合の後にこの試合を続けてみると状況の違いに脳が混乱するぐらいですが、前回とは大きく状況が変わってます。
2018年のV12達成以後、ジェイとの抗争を経て一気に支持率を元以上に戻したオカダ、そしてコスチュームは元のショートタイツに戻したオカダ(重要)。
そして上述した通り飯伏やザックといった実力者と選手も唸る好勝負を繰り広げ、選手として評価を上げたSANADA。
既にIWGPヘビー級戦で実現しているカードという意味ではNJC決勝にふさわしくないわけもないんですけど、このカードが違和感なく受け止められてるというのはこの両者がトップレスラーとして受け止められている証拠でもあります。
しかし何よりも前回の対戦が正直オカダファンが見返すにはしんどすぎるものだったのに対して、きちんと両者に期待感のあるカードに変貌していることに感動すらするレベルだったりします。
とはいえそれは言ってみれば、状況による大きなデバフがオカダにない状態であり、もしかすると「勝者はMSGのメインへ」という意味でオカダにバフがある状況だったかもしれませんが。
これが両者にとっての5戦目、いずれもスカルエンドにこだわった結果切り返されての敗北だったのもあってか、SANADAはこの日はラウンディングボディプレスに勝機を見出した感もあり、スカルエンドで極めきるよりもカウントを取りに行ったりというシーンも見えたり。
対するオカダもそのもう一つのフィニッシャーであるラウンディングに足に縋りつく形でなりふり構わず止めに行くことで勝機をつかみ、最後のツイストツームストンからのレインメーカーに繋げてます。
ある意味この試合で始めて戦法を大きく変えてきたSANADA、ではあったもののそこにも対応されてしまった、というのが運の尽きだったかもしれません。
所感雑感
というわけでオカダとSANADAの過去対戦でした。
ご存知の通り戦績はオカダの5戦全勝になっています、そういった戦績だからこそ今度こそ・・・を望むファンも多いところだとは思います。
こうして一気に振り返ってみると、細かな技のチョイスこそ変われど、SANADAは新日本参戦以後あまり技の構成が変わっていないんですよね。
リープフロッグドロップキックに独特のバックドロップ、フィニッシュにスカルエンドとラウンディングボディプレス、そこに多少の変形や、プランチャやパラダイスロックが加わったような感じ。
そういったシンプルな技で試合を構成するのがSANADAの巧さの表れだとは思いますが、逆にいえばそこが相手に対応されるところだったりするかもしれません、特にオカダさんが相手になると。
思えばザック戦の勝利もそれまで出そうで出していなかったオコーナーズブリッジを出したことで劇的勝利をしたわけですし、そういうものが一つあれば…
と思ってWikipediaを参照してみると新日本で使っていない技としてはドラゴンスープレックスにロコモーションジャーマンからのオコーナーズブリッジの連携、そしてスカルエンドの前身であるThis is Itのバージョン2(腕極めのスカルエンド?)なるものもある模様。
タイトル戦に際して新技解禁、っていうのはちょっと安直な感じもしますが、一つの可能性として頭の隅に置いておくといいかもしれません。
きょうはこれまで、それでは