プロレス統計

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ネット・プロレス大賞2018各部門で振り返る2018年の日本プロレス界

早速ですがつい先日、ブラック・アイさんが主宰しているネット・プロレス大賞2018の全結果が発表されましたね。
2006年から毎年開催されており今年がなんと13回目、いやぁ毎年のことですが頭が下がる思いです。
個人的にネットプロレス大賞は、初めて結構な規模の数値を集計した対象で、今のこのプロレス統計での活動の原点ともいえるものなのでかなり思い入れ深かったりします。

ということで去年に引き続き今年もこのネットプロレス大賞を骨の髄までしゃぶりつくすべく集計し、解析してみようかと思います。
今回は集計もPythonで行うべくいろいろ試行錯誤した結果、
・2013年以降のデータのみ
・表記揺れ・バグなどにより集計した数値とブラックアイさんでの集計値に誤差がある場合がある
での解析になってしまったのでご注意ください(集計方法については記事の最後にでも)
まぁ集計年数は減ったものの今回は前回のような団体部門だけでなく最優秀興行及び試合についても解析していきます。

参考:2017年版

www.pwanalysis.com

 

総投票者数推移

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さてまず最初に総投票者数についてですが今年の総投票者数は536人だったそうです。
前年の489人から47人、約10%増加しました。
上の棒グラフは2013年以降の投票者数の推移を示していますが2013年から2015年は著しい増加を示していたのが2015~2017年はほぼ横ばい。
ある意味「1年を振り返って各部門ベスト3を投票する」ほどのファン・マニア層にはおおよそ広まりきったのがこれくらいの時期ということだと思いますが、その状態からさらに今年50人弱の増加を見せたのは一重に選択肢式投票を導入したおかげですかね。
実際に今年投票していて感じましたけど、選択肢が用意してあるおかげで投票する側も思い出しやすく投票しやすい、つまりは投票するためのハードルがググっと下がっているんですよね。
さらに言うと、過去の結果を集計していて気づいたのは手動で打ち込んだ場合の表記揺れ・タイポって結構多くて集計するうえでもかなり手間だったと思います(というか実際かなり手間だった)。
そういう意味で今回の選択肢式投票はより多くの投票者を集めるうえで大きな効果があった、といえるでしょうね。

最優秀団体部門

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続いては最優秀団体部門について集計です。
まずはこの部門への投票全体に関してのまとめですが、この部門への総投票者数は495人(全体の92%、前年は452人)、そして投票された団体数は92団体(前年82団体)でした。
全体の投票者数が増えたことで投票者数が増えるのはもちろんですが、得票した団体の数が増えている=評価された団体に多様性があるというのも特徴ですね。
ちなみに去年は2016年から学っと20団体近く投票された団体数が減っていました。
上述の通り、あらかじめ用意された選択肢から投票することで投票される団体が限られるのではないか?と考えもしたんですが結果としては逆に増えるという。
で、ブラックアイの杉さんに伺ったところ団体の選択肢は全部で69団体用意したとのこと。
つまりは用意された選択肢の中からただ選ぶだけでなく、選択肢以外の団体をきちんと入力した人たちも結構いるってことみたいですね。

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詳しい順位についてはブラックアイさんの該当ページを見ていただくとして、トップ5について2013年以降の推移を見てみると上記のようになります。
トップ5の陣容については昨年と同様ですが、
2011年から8年連続の1位となった新日本と、前年に引き続き5位にランクインした東京女子は全体の投票数と同じく1割弱の増加に対し、
2~4位をキープした全日本・DDT・大日本は若干得票数を減らしています。
これはつまり他の団体に票が流れていることを示唆していますが、前年度からの獲得ポイントの増加数のトップ5を見てみると以下の通り

  団体名 増加(今年/前年)
1 新日本 285(2749/2461)
2 NXT 199(239/40)
3 九州プロレス 135(199/64)
4 NOAH 119(130/11)
5 ZERO1 78(118/40)

元々多かった新日本が増加ポイントでも1位なのが何とも末恐ろしいところですが、
マニアをうならせる好試合を連発した”WWE第3のブランド”NXTは前年の6倍
ローカルプロレスながら大躍進を見せた九州プロレスは前年の3倍
新世代の王者が誕生しWWEのヒデオ・イタミとのスペシャルシングルも実現させたNOAHがなんと12倍
そして会場のサイズに限らずド迫力ファイトを繰り広げ濃いマニアをうおーっうおーっ!させたZERO1が3倍
という感じに全体の投票数以上の割合で票を伸ばしていました。
この九州プロレスの躍進については本当に2018年何があったのか存じないんですけどいやまじで一ローカルプロレスで、あんまり比較するのもあれだけどアンドレザ・ジャイアントパンダみたいな変化球的なしかけも(多分)なくしてこれだけの躍進とか一体何があったんだ…詳しい人は教えてください。

(追記)
ブラック・アイ3の杉さんに教えていただきましたが、今年の九州プロレスは初めて福岡国際センターに進出したとのこと。
福岡国際センターは九州でも有数の大会場で、プロレスだと新日本やドラゴンゲートぐらいしか使ってなかったわけですけど、そこに初進出したことで評価を上げたってことかもしれませんね。
ちなみに過去のデータを見てみても、DDTは両国国技館に初進出した(両国ピーターパン)2009年に、大日本も同じく両国国技館に初進出した(両極譚)2015年に大きく団体部門での得票を伸ばしています。
やはりそういった団体としてのさらなる躍進がこうしたネット・プロレス大賞での評価につながっている部分はあるようです。
杉さんありがとうございました。

いずれにしろ、こうした単純な視聴者層の厚さだけに依らない結果が出てくるのはネットプロレス大賞の面白いところだと思います。

最優秀興行部門

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続いて最優秀興行部門についてです、団体の場合と同じく詳しい順位は最優秀興行 / 2018年| ネット・プロレス大賞:公式サイトを参照してください。
この部門への総投票者数は494人(前年は438人)、投票された興行数は282大会(前年は349大会)となりました。
こちらの場合は投票者数自体は全体と同じように増加したものの興行数に関しては逆に大幅に減少した形になりました、とはいえ選択肢数は117大会だったようでその2倍近くが投票されたんですけども。
これに関しては選択肢の中から選ぶ・探すという形で投票の多様性がかなり減ってしまったのかもしれませんね、もちろん「2018年と言ったらあの大会でしょ!」という感じでいくつかの大会が突出してたのかもしれませんが。
ちなみに去年と同様最優秀興行部門のトップ3は新日本プロレスの1.4東京ドーム、G1 CLIMAX優勝決定戦、大阪城ホール大会だったんですが、それぞれの合計票数は去年は311票、今年は291票と今年のほうが少ないんですよね。
ということを踏まえるとトップに圧倒的に固まっているというわけではないようです。

  団体 総得点 ノミネート数
1 新日本 3014 29
2 DDT 584 17
3 全日本 358 9
4 WWE 327 7
5 大海賊祭 291 2
6 大日本 290 7
7 アイスリボン 271 5
8 TAKAYAMANIA 265 1
9 九州プロレス 242 2
10 葛西純P興行 240 2

で、今回はこの最優秀興行部門について、各団体別に総得点及びノミネートした興行数を集計してみました。
結果としては半ばお察しの通り、両数値で新日本が1位となりました。
こうしてみると必ずしも最優秀団体部門と全く結果が同じ、というわけでもなく
鈴木みのるデビュー30周年記念大会だった大海賊祭りや、現在闘病中の髙山さんを応援するチャリティー興業だったTAKAYAMANIA、毎年恒例の葛西純プロデュース興行がランクインするなど、そういったスペシャル興行も得点数は多いようでしたね。
そういった点数以外でいうと独自配信サービスをもっている新日本、DDT、全日本、WWEが得点で上位を占め。さらに大日本もノミネート数では上位なあたり、興行部門における配信の多さの重要性が見て取れます。

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で、この総得点の推移について、トップ5をまとめたものがこちら。
勿論大海賊祭りに推移もなにもないんですが、トップ4でいうと新日本とWWEは微増、対してDDTは2014年以降から微減傾向が続いており、全日本も2015から2017年にかけての増加傾向が少し頭打ちになった感じがあります。

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続いてノミネート数ですが、こちらで見てみるとトップ5はWWEと大海賊祭りに代わってKAIENTAI DOJOとDragon Gateがランクインしてきます。
結果としてあまり得点数では伸びなかったようなのですが、知る人ぞ知る好大会を送り出していたってところでしょうか。
逆にいうとそういった「あの大会がよかった!」というファンの声がなかなかプロレスファンの社会に伝わっていきづらい環境にあるのかもしれませんが。
しかしこのノミネート数でいうと新日本、DDTそして全日本についてはいずれもノミネート数は大きく減少、いわゆる「当たり大会」「神興行」という意味では打率が低かったんでしょうかね。
対してDragon gateは微増、KAIENTAIに関してはかなり増加しており、今年はあたり興行が多かった、んでしょうか。

最優秀試合部門

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続いて最優秀試合部門になります、こちらも詳しい順位に関しては最優秀試合 / 2018| ネット・プロレス大賞:公式サイトを参照してください。
この部門への総投票者数は509人(前年は459人)、ノミネートされた試合数は386試合(前年は551試合)でした
投票者数は前年よりもかなり上昇しており、投票率も他2部門と比較しても2%ほど多いですね。
しかしノミネートした試合数は最優秀興行部門以上に、165試合=30%近く減少しています。
これに関してはやはり選択肢式投票(この部門では165試合を用意したとのこと、2倍近くノミネートしてはいる)によって、ノミネートする試合数に大きく影響を与えているかもしれません。

  名前 総得票数 ノミネート数
1 ケニー・オメガ 1402 9
2 オカダ・カズチカ 1277 13
3 棚橋弘至 1100 9
4 飯伏幸太 962 6
5 竹田誠志 818 8
6 丸藤正道 367 6
7 クリス・ジェリコ 354 3
8 葛西純 338 7
9 石井智宏 320 6
10 木高イサミ 295 3

この部門では、各選手ごとに総得票数、ノミネート試合数を集計してみました。
しかし、今回はプログラムの関係上タッグの試合は含んでいないので注意してください、ケニーや飯伏なんかはゴールデン☆ラヴァーズでの試合も結構あったからもう少し実際の数値は上かもしれません。
で、上述通り総得点でのトップはケニー・オメガ、しかし総ノミネート数ではオカダ・カズチカがトップになるようです。
言ってみればこのランキングは「良い試合をする選手ランキング」に相当するわけですがこれとMVP部門の結果があんまり一致しないっていうのも面白いところですね(MVP / 2018年| ネット・プロレス大賞:公式サイト
トップ10に関していえば、順番こそ違えどケニー、棚橋、竹田、丸藤の4名のみがMVP部門でもトップ10にランクインしています。
まぁ、今年の東スポ制定プロレス大賞のMVPの授賞理由にもリング外でも活躍が盛り込まれたように、必ずしも「良い試合をするレスラー」が「良いレスラー」ではない、ってことなんですかね。

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さてこれを踏まえてのトップ5の得点推移ですが、トップ2のケニーとオカダについては今年大きく得点を下げています。
まぁこの二人については去年の1.4がかなり圧倒的な得点だったってのもあるんでしょうけど。
対して棚橋、飯伏、竹田の3名は今年かなり得点を伸ばしています。
棚橋飯伏に関しては今年の最優秀試合部門で1位を獲得しているというのもありますし、竹田に関しても日本デスマッチ界をけん引して木高イサミとの試合が第4位(新日本以外では1位)にランクインしてますしね。
そういう意味で昨年より圧倒的でこそなかったものの安定していい試合をしたケニーオカダ、今年一気に”作品”を残した棚橋飯伏竹田、って感じでしょうか。

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続いてノミネート数ですがこうなると竹田と飯伏に代わって竹下と内藤がランクイン、こうしてみてみると新日本及びDDTのメインイベンターだらけなので、メインイベントに出る回数が多いからこそ印象に残り、ノミネートする試合が多いってことでしょうか。
しかしいずれの選手も昨年と比較してノミネート数が減少しているのが何とも不思議。
ちなみにこの後には竹田及び里村明衣子が8試合ノミネートで続きます。

 

所感雑感

というわけでネットプロレス大賞2018についてまとめでした。
こうして結果をまとめるだけでかなり大変なあたり、準備から集計・発表までやってる杉さんはじめ実行委員会?の方々は本当にお疲れ様です。
今年から投票形式が大きく変わったということで、もちろん集計する側はかなり楽になったとは思うんですが、それによる影響も見えたりしたのは結構面白いところではありますね。
今回は集計しやすそうだった史優秀団体、試合、興行についてでしたが、他の部門やこれらの部門の別側面の解析も時間があったらやっていこうと思うのでその時はよろしくお願いします。

きょうはこれまで、それでは


プロレスランキング

おまけ:集計方法の話

で、今回は冒頭で述べたように、手動で100件近いデータをまとめる気力も時間もなかったのでPythonでちゃちゃっと集計しようとしたんですね。
で、2013年以降は全投票者リストが同じフォーマットで公開されているので、それを取得して、各投票者の投票結果から集計していったわけです。
まぁここからは細かい話なんですけど、当初スクレイピングで投票者リストのページからhtmlを取得して集計しようかと考えたんですが、なぜか途中まで(10件程度)までしか取得されない。
調べたところ、その集計に用いているBeautifulSoupというプログラムの仕様で長すぎるhtmlは途中で取得するのをあきらめるらしく、調べて見つけたサイトでは「Soupがこぼれる」なんて表現していて、誰がうまいことを言えと・・・
まぁそれはさておき、そこでにっちもさっちもいかなくなったのでとりあえずメモ帳に全投票者リストをコピペし、そのファイルを読み込んで集計することに

しかしまぁ、2017年以前の結果はすべて手動入力だったこともあって表記揺れの多いこと多いこと・・・一応数年分は目でチェックして団体名などを調べてはいるんですが、選手の名前に関しては数が膨大すぎるのに加えて選手名を変更する場合もあるので割と有名な選手だけになりました、なのでもしかしたらその辺を見落として、実際の数値と異なる場合があるわけです。
統計サイトにあるまじき適当さ加減だけど来年までにはもうちょっとブラッシュアップするので許してください

おまけ:プロレス統計の投票内容

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こんなんでした。
ちなみに調べてたら弊ブログを最優秀プロレスを伝えたで賞に投票してくれている人がいましたね、ありがとナス!