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各種数値で見るネットプロレス大賞2019:MVP編

プロレス界に数ある「大賞もの」ですが、先日発表されたネットプロレス大賞2019とほぼ時を同じくして週刊プロレスのプロレスグランプリ2019もまた発表されたようですね。
いずれもファンの投票による大賞ではあるんですが、ネット上のプロレスファンと週刊プロレスを購読しているプロレスファンでその特性も同じ部分があったり異なる部分があったりするようで、その比較も面白そうではあります。

とはいえネットプロレス大賞の特徴は全投票内容を公開していることで多種多様な解析ができるという点にあったりします。
というわけで今年は部門ごとに解析しているネットプロレス大賞ですが、今回は「MVP部門」について解析です。

ネットプロレス大賞2019その他の解析:
各種数値で見るネットプロレス大賞2019:最優秀団体編
各種数値で見るネットプロレス大賞2019:最優秀試合編
各種数値で見るネットプロレス大賞2019:最優秀興行編

過去解析
ネット・プロレス大賞2018各部門で振り返る2018年の日本プロレス界
ネットプロレス大賞・団体部門で振り返る2017年のプロレス界

 

集計したもの

集計したものは勿論ネットプロレス大賞の結果、なんですが詳しい解析を行うために各年の全投票者リスト*1を自前でスクレイピングで集計して、そのデータをもとに解析しています。
その際に各年でフォーマットが違うこともあったり、スクレイピングにミスもあるのかして弊ブログでの集計結果とブラックアイさんでの集計結果に誤差(数%ぐらいのはず)がある場合がありますのであくまで参考までにお願いします。

今回主に集計したのはMVP部門、そして一部で次回解析予定の最優秀試合部門のデータも用いているので、厳密なデータとしてはブラックアイさんの公式HPの方を参照してください。

MVP/2019| ネット・プロレス大賞:公式サイト
最優秀試合 / 2019| ネット・プロレス大賞:公式サイト

総ポイント&ノミネート選手数推移

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2019年のMVP部門の総ポイント数は9170点で、昨年の9699ポイントから500ポイントほど減少しました。
また同部門にノミネートした選手数はおよそ206人と推測されます、ブラックアイさんの結果ページでは総得票が9点以上の選手のみに限っていますが131名が記載されていますね。
ネットプロレス大賞の投票者数が2015年以降からほぼ横ばいなのもあってか先日解析した最優秀団体部門でもこのMVP部門でも総ポイント数にあまり大きな変化はないとも言えます。
ノミネートされた選手数に関しても、昨年から増加したものの2015年以降でいうとあまり変化がないように見えますね。
以前集計した日本国内で活動したプロレスラー数*2を見てもここ数年で大きな変化はなく1000人前後となっているので、全プロレスラー中20%程度がMVPとして挙げられるというのがここ数年の現状のようです(勿論集計したCagematchに載っていない選手も多いとは思うのでもっと割合は低い可能性はありますが)。

獲得点数推移

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ブラックアイさんの公式集計結果によると1位はウィル・オスプレイ選手で1552点2位は宮原健斗選手で836点、3位はオカダ・カズチカ選手で713点、4位は飯伏幸太選手で449点、5位は獣神サンダー・ライガー元選手で355点だったようです(上の図では誤集計で多少の誤差が出ています)
上の図ではこの上位5選手の2012年以降の同部門での得票の推移を示していますがこうしてみるとオスプレイ選手の躍進ぶりがものすごいことになっているのが分かります(順位も去年28位→1位ですし)。
躍進という意味でいうと2位の宮原選手も自身の過去最高値を更新しての2位入賞をしてるので2019年の活躍っぷりがうかがえます。
まぁ先日解析した最優秀団体部門などと比較してMVP部門は、その年々の活動内容にも如実に影響を受けるためにかなり変動が大きい部門でもあることがここからもわかります。

その中でいうとちょっと興味深いのが今年3位に入賞したオカダ選手。
2014年以降は得点が大きく増減しているのが見え、あたかも高評価と否定が繰り返されているようにも見えたり。
評価が安定していない、っていうのはMVP部門の特に上位では如実ではあるんですが、不安定ながら定期的に得票が増えるというのは長期的に活躍している証拠かなぁと思ったりもします(逆に言うと瞬間最大風速が出ないタイプとも)

参考:2018年トップ5の得票推移

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参考として2018年のMVP部門の上位5名、棚橋弘至選手、竹田誠志選手、ケニー・オメガ選手、里村明衣子選手、丸藤正道選手の2012年から2019年の推移を見てみたものがこちら。
昨年圧倒的支持を受けたとしても翌年には光影もなくなりうる、というのは見方によっては他の部門よりも厳しいとも、ここでの評価が水物であるとも見えますね。
そういう意味でいうと2016年から2018年にかけて高評価を維持したケニー選手は凄いとも言えますが。

各順位票割合

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ここでは左から1位、2位、3位票それぞれの獲得票数の上位の選手を示しています(全体の4%以上の選手のみ)
1位票を見てみるとオスプレイ選手が25.8%、約4分の1の票を獲得しており投票者の中でも「オスプレイがMVPだろう」という認識が強かったものと考えられます。
それに対抗していたのが宮原、オカダ、飯伏という形。
対して2位以降になるとオスプレイの順位が下がり、オカダ/宮原/オスプレイという順番になり、オカダ宮原については「1位は譲るもののそれに準ずる」という認識も強かったかと。
そして3位になると最も多かったのは2019年引退ロードを行ったライガー元選手で、MVPとして挙げるにははばかられるが、2位3位であれば・・・という部分はあったんですかね。

そして上の図を見てわかるように4%以上獲得した選手たちの占める割合が1→3位になるにつれドンドンと小さくなっていっているのが分かり、これについては順位が低いほどより多くの選手が投票されていたということでもあります。

歴代高得点ランキング

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今年のオスプレイ選手の圧倒的支持っぷりが凄いと話題にもなったネットプロレス大賞ですが、じゃあ歴代でどれくらい凄いのかということを調べるために2012年以降の各年の上位選手を得点(point)順に並べたのが上の表になります、参考としてその年の全ポイント数に対する占有率(rate)も併記しています。
2019年1位となったオスプレイ選手は歴代でも3位の高得点だった模様で、そのう1にはLIJフィーバーに湧いた2016年の内藤哲也選手(1994点)、そしてパパわる&イデオロギーフィーバーに湧いた2018年の棚橋弘至選手(1629点)となっています。
まぁそういう書き方はちょっと穿っている感じもするんですが、いずれもリング外の行動・熱狂も評価されての高得点だった二人と比較して、純粋にリング上での活躍が主だった2019年のオスプレイ選手が歴代でも3位に入り込んだというのはすげぇな、という感じがしますね。

こうしてみると得票数トップ10は新日本勢がやはり多勢を締めていますが、その中に2018年の竹田選手、2017年の石川選手もやはりすごい。

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同様に今度は同年の総得点に対する占有率(rate)の上位10名をまとめたのがこちらですが、2019年のオスプレイ選手はここでも5位にランクインしていますね(16.28%)。
で1位となったのはレインメーカーショックが起きた2012年のオカダ選手で29.96%、票数自体はまだ投票者数も少ない時期だったので比較的少なかった(1350点)んですが占有率は歴代でもダントツ。
それに次ぐのが2016年の内藤選手、2018年の棚橋選手、そして2013年はイヤァオが覚醒し始めていた中邑選手、と振り返ると近年の新日本プロレスのターニングポイントになった出来事とリンクしている感じもします。
そこにオスプレイ選手が割り込んできているというのは結構凄い。

MVP・最優秀試合比較

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本来最優秀試合部門に関してはまた後日解析をする予定ではあるんですが、「果たして投票者はどういう視点でMVPを選んでいるのか?」というのが気になったんですよね。
以前MVPの”V”ってなんなんだ?という話という記事も書いたんですけどプロレスのMVPにおいては数値化されない”価値”が基準になっている感じもするんですよね。
それがネットプロレス大賞でもそうなのか、を調べるべく今回は最優秀試合部門において各選手が含まれる試合の数(nominate)とそれらの総得点(point)を集計し上位10選手を並べています。

総得点ではMVPとなったオスプレイ選手が惜しくも2位(1371点)になっているんですが、1位となったのは鷹木信悟選手(1393点)
勿論この両者は最優秀試合に選ばれたBOSJ決勝の顔合わせなので両者のベストバウト部門での総得点が近いのは道理ではあるんですが、鷹木選手はMVP部門では9位に甘んじているんですよね。
同様に、両者に次ぐ625点を獲得している関本大介選手はなんとMVP部門38位
MVPで5位になったライガー選手と最優秀試合部門2位の試合をした鈴木みのる選手は592点獲得しているもののMVP部門41位
結果を見てみればベストバウト級の試合をした2名をみても片方がMVPで躍進しもう片方はそうでもない、という傾向がある感じなんですよね。

またベストバウト部門にノミネートした試合数(nominates)を見てみると、13試合入選で宮原選手がトップとなり、上位にはオカダ選手(9試合)、オスプレイ選手(8試合)と上位に入っているんですが、彼らに交じっている関本選手と岡林裕二選手はどちらもMVP部門で38位になっているんですよね。

「だからおかしい」とかそういうことを言いたいわけではないんですが、この結果を見るに「良い試合をする」ことが必ずしもMVPに直結しない、かつ別の要素が絡んでくるということが言えると思います。
そのことについてはまた次回解析したいとは思います。

 

所感雑感

というわけでネットプロレス大賞2019、MVP部門について解析でした。
おそらく次回以降は最後のMVPと最優秀試合の関係性の解析のように複数の部門に関する解析が主になると思います。
自分としてはやはりいい試合をするレスラーが評価される傾向にある、と思っていたんですが、一面ではそうであっても他方から見てみるとそうとも言えないっていうのはなんとも意外ではありました。
先日上げた最優秀団体編の感想をいくつか見てみると、やはり「なぜ大日本が(試合のクオリティは良いのに)順位が下がっているのか」という話も多く、それがMVP部門でもというのが見えてなんとももんやりする夜です。
なんとか今後の解析でそのもんやりを解決こそしないまでも明確にとらえたいとこではあります。

きょうはこれまで、それでは