さて現地時間9月30日のロングビーチ大会を経て秋の大一番、King of Pro-Wrestlingの全カードが決まったわけですけど、皆さんはどれが一番楽しみですかね。
各々の嗜好はあるでしょうけども、今回決まった試合の中で一番議論を巻き起こす、もしくは紛糾している感があるのは間違いなくメインでしょう。
【10月8日(月・祝)17時~ 両国国技館大会・全カード決定!】
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) October 2, 2018
なんと史上3度目のIWGPヘビー級王座“3WAY”戦が実現!
メインで、ケニー・オメガvs飯伏幸太vsCodyが激突!!https://t.co/HVXg1sQJ7z#njkopw #njpw pic.twitter.com/A8FohfY25m
先日のロングビーチ大会のメイン終了後、リング上のマイクで飯伏対ケニーのゴールデン☆ラヴァーズ対決が決定か?!と思いきや何故かコーディが間に割り込む形で3WAYに。
いろんな方が調べ上げてきているようにIWGPヘビー級選手権で3WAYマッチが行われるのはこれで3度目、1987年に成立し31年余りの歴史があるにもかかわらずこれまで2回しか行われていないんですよね。
というわけで今回はこの前例2件に+αして3WAYマッチについて振り返りです。
IWGPヘビー級における3WAYマッチ
IWGPヘビー級における3WAYマッチは過去2件のみなので簡単におさらい。
2014.5.17 AJスタイルズvsマイケル・エルガンvsオカダ・カズチカ
1件は2014年5月17日にROHとの合同興行で行われた一戦。
本来は福岡でオカダからIWGPを奪取したAJが当時ROHの所属だったマイケル・エルガンと防衛戦を行う予定だったみたいですが、
同大会ででオカダと対戦するはずだったセドリック・アレキサンダーが直前の試合で負傷しオカダとのシングルマッチが流れることに。
せっかくアメリカまで来たのに試合なしか・・・と思っていたら大会のオープニングでマイクをしていたAJ率いるBULLET CLUBの前にオカダが現れ突然の挑戦表明。
これに元々の挑戦者だったエルガンが「だったら3WAYだ!」とし、菅林当時会長も「3人がそれでいいなら」とGOサインを出した結果の試合だったみたいですね。
ROHでの試合なので当然新日本プロレスワールドにはないですね、もしかしたらROHの配信サービスのHonor's Clubにあるのかもしれないけど。
それでもなぜかこの試合の当時からYouTubeなどにこの試合のHighlight動画がいくつもアップロードされているので見てみても良いかもしれません。
流石に試合の流れはわからないですけど2人をまとめてぶん投げるエルガンのパワーや、ここぞのところで飛び込んでくるAJのセンスの良さが見えますね。
2005.10.8 藤田和之vs蝶野正洋vsブロック・レスナー
もう1件、そしてIWGPヘビー級における初めての3WAYマッチは2005年10月8日における一戦、チャンピオンの藤田和之にブロック・レスナーと蝶野正洋が挑んだ一戦。
これに関しては本当に情報でしか知らない、というかどういう経緯で決まったのか、どういう試合だったのかすらわからないんだよなぁ・・・と思って色々調べたらなんと中国の動画サイトにて発見。
当時の新日本は所謂暗黒期も真っ盛り、その中で今と比べ物にならないヤバい強さで王者に君臨していたのは藤田和之。
そして「バケモンにはバケモンをぶつけるんだよ!」という発想なのかそこに参戦してきたのが当時WWEを退団していたフリーランサー、ブロック・レスナー。
調べるとこの年の1月のドームに観戦しに来てて、この10月のIWGP戦が新日本初参戦だったみたいですね。
で動画で見てみたんですが、それこそ肉体的全盛期にあるレスナーのパワーよ。
日本人の中では規格外だったはずの藤田さんでも劣っちゃう辺りが人種の違いを感じる。
というわけで案外見てみるとこれはこれで面白かったという、会場もお通夜状態っていう感じでなく結構盛り上がってる感じもしましたし。
当時の評価的にはどういう感じだったんですかね、今となっては「酷いものだった」ていう噂だけが独り歩きだったりしないかなぁ(まぁ縁の切れ方が酷かったからその影響もありそう)
とはいえ試合としてはレスナーが暴れるだけ暴れて勝ったという感じで蝶野の良さ、藤田の良さは全くと言っていいほど無く、という意味では文句なく良い試合、っていうわけではないですよね。
ケニー・飯伏・Codyの3WAY歴
と、こうして振り返ってみれば新日本において行われた「IWGPヘビー級での3WAY戦」とどちらもちゃんと試合を見ることすら難しい状態なんですよね。
そういう状態に加えて、ケニー対飯伏という黄金カードが目の前で逃げたという事実も加わって、今回のカードに対するヘイトが溜まってるんじゃなかろうか、という気もします。
勿論3WAYだと如何せん慌ただしくなって1対1の場合と試合のテンポも内容も変わるので、それが気に入らないなんて人もいるんでしょうけど。
しかし、そういう事情や個人の趣向はさておき、はたして「3WAYは面白くない」かというとまた別ですし、今回の3WAY戦も過去の2戦とはまた違ったものになるんではないかと思うんですよね。
というのもレスナー蝶野藤田で行われた3WAY戦の場合、レスナーはWWEで何度か3WAYを経験している一方で蝶野や藤田は全くと言っていいほど経験のない、いわば素人の3WAY戦。
そして試合を引っ張るべきレスナーもレスナーで試合が巧いタイプではなかった、というのが挙げられると思います。
そこで今回調べたのは、両国で3WAYに参加する3人の過去のnWAYマッチの経験について、その結果は
ケニー:42回
飯伏:23回
Cody:105回
多いだろうなぁと思って調べてみたらやっぱりめちゃくちゃ多かったという。
Codyは言わずもがなWWEでの経験、ケニーもROHをはじめとした海外団体が多いんですけど飯伏も飯伏でDDTでかなりやっているという。
単純なnWAYの試合数、経験値というのを見ただけでもこの3人はいわば3WAYのプロという考え方もできて、3WAYでの戦い方盛り上げ方を、少なくとも過去2戦の面子よりも熟知しているメンバーがそろったといえるでしょう。
2013.1.4 IWGPジュニア3WAY戦 プリンス・デヴィットvsロウ・キーvs飯伏幸太
そして単純に経験値というだけでなく、そこできちんと盛り上がる、素晴らしい試合をしたという実績もあります。
その一例として挙げるのは2013年1月4日、新日本の東京ドーム大会で行われたIWGPジュニアヘビー級3WAY戦(試合映像)。
2013年の東京ドームは自分がiPPVで初めて見たドーム大会だったんですけど、メインの棚橋対オカダ、セミの中邑対桜庭が凄かった記憶と共に、このIWGPジュニアの3WAYも凄かった記憶があるんですよね。
当時の新日本ジュニアはこの3WAYで争ったプリンス・デヴィット、ロウ・キーそして飯伏による3強が頭一つ以上抜け出ていました。
IWGPのベルトもこの3人の間で移動し続けている状態の中、文字通りの頂上決戦、最終決着戦として組まれた試合。
3人ともに心身ともに絶頂の時、ためらいの無いド派手な飛び技・打撃技が折り重なるように繰り広げられる、今見てもなお興奮する好試合。
この後、ロウ・キーは新日本から離れてしまい、その後デヴィットはBULLET CLUB結成・WWEへ移籍、そして飯伏はヘビー級へ転向という具合にそれぞれ別の道をたどってしまったわけですが、
結果としてこの3WAY戦が2010年代初めの新日ジュニアを支えた3強による時代の一つの到達点と言える試合ではないでしょうか。
勿論今回の3WAYにおいて、このIWGPジュニアでの3WAYを経験している飯伏は他団体、アメリカなどで3WAYの経験を積んできたほか2人よりも新日本のリングでの3WAYの闘い方を熟知していると言っていいでしょう。
それは他二人へのアドバンテージでもあり、この試合そのものへの期待値を上げるにも十分な材料な気がします。
所感雑感
というわけで3WAYについてちょっと色々振り返りでした。
まぁケニーらの3WAYでやろうや!って発言から、正式決定以降もああだこうだと議論が白熱してたので個人的な所感をまとめる意味もあったんですけど、
まぁご存知の通り新日本のリング上でのIWGPヘビーの3WAYは2005年の一戦以来で、それをもって「3WAYは嫌だ!」と主張してる人も多かった気がしたんですよね。
でもあの時とは違って、今回は上述の通り3WAYの経験も豊富な3人であり、そのうち一人は2013年のドームで好3WAYを行った飯伏がいるのは「面白い試合になりそう、なるかも」と思うには十分な材料な気はします。
しかし、その一方で「3WAYが嫌とか言う奴はわかってない!」というのもどうかなぁという気もしていて。
慌ただしい試合になってしまうというのもありますけど、個人的に3WAYの面白さって全く別々の勢力の3人がそろってこそ面白いという気がしていて、2013年のIWGPジュニア、そして先日のNEVER3WAYもいずれも普段敵対する3人による試合で、だからこその駆け引き・スリリングさがあったように思います。
しかし今回はBULLET CLUB theELITEの3人、しかも挑戦表明で言っていたように「友達」という言葉も出てくるような3人。
そういう「対立構造の無さ」が、ただでさえゲーム性が強くなってしまう3WAYでタイトル戦の趣き、特別性を損なってしまうんではなかろうかという心配もあるんですよね。
ということで今回の3WAYについては、期待が半分・不安が半分、まぁどんなものになるか見せてもらおうか、ってな感じですね。
まぁどんな試合であろうと面白い試合を楽しめないのが一番損なので、IWGPジュニア3WAYとか見つつ機運を高めたいです。
きょうはこれまで、それでは。