プロレス統計

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週刊プロレスの表紙でみる日本プロレス界の変化

先日、プロレスリング・ノアの広報活動を行っているという花澤勇佑さんがnoteで以下のような記事を公開していました。

note.com

記事ではコロナ禍下での広報活動とその成果について書かれており、その成果の一つとして「週刊プロレスの表紙数」を挙げ、「表紙を一番多く獲得したのは紛れもなく『プロレスリング・ノア』だった。」とのこと。
週刊プロレスの表紙を飾るか否かは話題性の一つの指標でもあるので、つまりは「当該期間で最も話題性が合ったのはノアである」という主張でもありますね。

以前から週プロの表紙については調べてみたかったのもありますし、上記の出来事がノアにとってどれほどのことなのか?も調べたかったので今回は週刊プロレスの表紙について解析です。

 

集計したもの

今回集計したのは歴代週刊プロレスの表紙をどの団体が飾ってきたのかになります。
まず歴代の週刊プロレスの表紙がどんなものだったのかを調べねばならないんですが今回はFujisan.co.jpというサイトを使用、こちらのサイトには週刊プロレスのバックナンバーが2006年ごろまで時系列順に掲載されており、サムネイルに表紙が映っているので集計はしやすかったです。
基本ルールとしては表紙となった写真について「試合前・中・後の写真であればその試合が行われた団体でカウント」「インタビューであれば選手の所属団体」「合同興行や複数の団体の要素が混じっている場合はその他でカウント」などとしています。

このように手動で、目視で集計をしているので精度は期待できませんが参考までにどうぞ。

主要団体表紙獲得回数推移

f:id:Rodyonsw:20200707215104p:plain

ということで集計できた2006年~2020年の7/7までの段階での新日本、全日本、DDT、ノアの年間表紙回数の推移を示したのが上図。
2020年に関してはまだ半年分しか発行していないので途中経過ですが、それ以外の年はおおよそ年に50回前後の発行をしているため、上の数値がそのまま割合に相当します。
近年、特に2014年以降の傾向としては新日本の表紙掲載回数が20回を超え、年間の約4割の週プロの表紙が新日本となっているようです(2015年に関しては全日本やDDTの表紙回数が増えた関係か20回を割っていますが)。
そういう意味では2014年以降新日本と他の団体の間で格差が広がっていると言えるでしょう(少なくとも週刊プロレスの扱いにおいて)。

また2010年以前に注目すると、新日本・全日本・ノアの表紙回数がほぼ変わらない期間になっています。
この時期はこの3団体で30回程度表紙を飾っており、言ってみれば「週プロの表紙が新日本か、全日本か、ノアか、その他団体か」という天下三分の計状態だったと言えるでしょう。
ちなみに最近話題に上るALL TOGETHERは第1回がこの時期に開催されており、新日本全日本ノアが手を取り合う形になっていましたが、
以下所感ですが、それはこうして業界誌での取り扱いも均衡している時期だったからこそできたんではないかと少し思ったりします。

ちなみに今回は残念ながら2005年以前のバックナンバーがFujisan.co.jp上で不完全になっていたので集計には上げませんでした。
しかし上図の傾向を見ると分かるように2000年代初頭に行くほどノアの表紙回数が増え、新日本は表紙回数が減るという傾向があったりします。

おまけ:2020年のコロナ禍下でのノアと週プロ

今回の話の発端になったコロナ禍下でのノアの週プロ表紙についてですが、
4/7の緊急事態宣言始動~5/25の解除までに週刊プロレスの発行は7回あり、その内3回がノアで確かに最多でした。
上記noteだと宣言解除直後の号も含めて4度としてはいましたがまぁ誤差みたいなものでしょう。
これによって2020年のノアの週プロの表紙は計5回となりましたが、実は既に2014~2018年までの年間表紙回数を超えています
また今回のように1・2週おきにノアが表紙になるという高頻度な出来事に関しても近年ではあまり例がなく、2012年の4/185/25/166/6号の時以来となっています。

そういうのを踏まえるとnoteで一つの成果として広報担当の方が挙げるのも道理かなぁと思うところです。

おまけ:コロナ禍下の国内興行について所感

上記の緊急事態宣言期間には興行を行った団体そのものが少なく、行われた興行の数は67大会、ノアや全日本、DDTなどを含む13団体が興行を行いました。
参考に今年1月の興行数・団体数を見ると146大会・32団体、2月は133大会・30団体、3月に入るとコロナの影響が出始め71大会・26団体と減っていましたが、
これらのデータを見るに通常時であれば毎月30の団体が週プロの表紙を獲得する上での競合だったのが約半分近くになっていたともいえ、それがノアの近年最多の表紙獲得数へ繋がった部分はあるとは思います。

とはいえ同じ無観客試合の中でこうしてノアが他の13団体を押さえて半数近くの表紙を獲得できた理由を考えるとそこはやはり中継プラットフォームの違いがあったかなぁと。
この時期に行われた無観客試合の中継プラットフォームとしてはYouTubeLIVEや独自の配信サイト、サムライTVなどがありましたが、ノアの場合はAbemaTVでの中継が主となりました(WrestleUniverseでの中継もあったかも、後楽園のはYouTubeだったが)
AbemaTVの影響は冒頭のnoteにも書いてありましたが同期間で大きく有料会員を伸ばした辺り、このプラットフォームで積極的配信ができた、というのが話題性獲得・週プロ表紙獲得の上で重要だった気はします。
Abemaというと数年前は新日本の中継もあったりした覚えがありますが、ここまで積極的活用はしていなかったと思いますし(まぁ当時はワールドが既にあったし・・・)(同様の事は今のDDTにも言えるかも)
その辺はAbemaとノアの要件が上手く一致したと見えます、それもノアにとっては幸運だったか。

まとめ

・2010年ごろは新日本・全日本・ノアの表紙数は同程度だった
・2014年ごろから新日本とそれ以外の団体の表紙回数の差が開き始めた
・コロナ禍下でのノアの表紙回数・頻度は数年ぶりの高さ

 

所感雑感

というわけで週プロの表紙について集計でした。
ちょっと集計自体の精度が甘いのと、集計したは良いもののどういうことを主張すべきか悩みながら書いたんですが、まぁ言いたいことは上記の通りです、ノアの人たちが盛り上がっているところに水を差す感じがあるのは申し訳ないんですけど。
まぁしかし、こういう情報って気になる人も多いとは思うのでいつかきちんとしたデータベースにしたいところではありますが・・・今度は公式?のバックナンバーを探るべきか(Fujisanだと表紙の画像の解像度がやたら低かったりして困難だった)

きょうはこれまで、それでは