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新日本プロレスにおける”急所攻撃”登場数簡易調査

最近でもないんですがTwitterなんかを見ていると時々ですが新日本プロレスに関して何やら怒っている人を見かけるわけです。
そんな腹立つなら見なきゃ良いのに…と思いつつ見てみると「急所攻撃が多い!」とのこと。
まぁ確かにジェイにしろEVILにしろ内藤さんにしろ急所攻撃を通常のレパートリーに持つ選手は多いなぁとは思うんですが、私の記憶をさかのぼっても昔は昔でそこそこいたし最近特に増えたというわけでもないのでは?という気もしたんです。

とか思っていたらWrestlenomicsのBrandon=サンがちょっと興味深いデータを投稿してましたね。

大まかに言えば各団体の各年度の反則や場外カウントアウト、無効試合などのいわゆる不透明決着となった試合数なんですが、WWEとかはさておき新日本と全日本は90年代を境にガクッと下がっているんですよね。
多分当時全日本で不透明決着によって暴動沙汰があって「不透明決着をなくそう!」というムーブメントがあったんですが、それが元で後の四天王プロレスが生まれるんですが、新日本もそれに追従するムーブメントがあったんですねぇ。

こうしてみるとやっぱり、新日本ではここ数年は、3,4年周期で不透明決着が増えたり減ったりしていますが、80年代と比べても少ないし、2020年も殊更増えている感はないですね(むしろ2018年がやたら多かった)。
とはいえこの結果はあくまで決着なので試合内容まではわからない。
ということで今回は試合内容まで踏み込んで、昨今熱い(?)急所をめぐる攻防について調べてみました。

 

調べ方

以前新日本プロレスにおける技の使用頻度を調べたことがあった*1んですが、今回もその時と同じく新日本プロレス公式サイトの試合詳報をスクレイピングで収集し、
そこから所謂急所攻撃に該当する「急所」「ローブロー」「金的」の3ワードの登場頻度などを数え上げました。
まぁ厳密に試合映像を見て調べたわけではないので正確性はあまり期待できませんがおおよその傾向は見ることができるんでないでしょうか。
(所謂正当な意味で”急所”というワードを使っている例もあるかもしれませんが、「そんなこと詳報でわざわざ言及せんだろう」と決めつけつつ以降解析を進めます)

急所攻撃回数推移

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まず初めに上記の急所攻撃関連ワードの年間登場回数をプロットしたものがこちら。
基本的にローブローや金的といった特定の技に関しては記述がかなり少なく、基本的には「急所をどうした」という感じで書かれているみたいです。
2020年は9月いっぱいまでのデータで、残り3か月あるのでまだ総数は少ないですが、現状「急所」は83回、ローブローが15回、金的は0回となっているようです。
総数としてみると2007年以降から推移を見ても、2011年にかなり急所攻撃数が少ない年があったぐらいで実は急所攻撃の登場回数はこの10年であんまり変わっていないというのが現状のようです。

1試合当たりの急所攻撃数

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勿論各年の試合数も異なるので今度は先ほどの数字を年間試合数で割り、1試合当たり平均何回の急所攻撃が出ていたのかを調べたのがこちら。
こうしてみると2007年の異様な多さが目立ち、何と1試合平均2回も急所攻撃が出ていたというので驚くところ。
なんでこんなに多いのか…と思って少し調べると当時はまsない極悪ヒールだったGBHが毎試合のように急所パンチをしていた模様。
当時の嫌われっぷりはヤバかったとも聞くのでやはり急所攻撃はファンに嫌われる最短ルートなのかもしれない。

それはさておきそれ以降を見てみると急所攻撃は平均1回程度の登場頻度であんまり高くない。
んですがよく見るとローブローの使用頻度はそこそこに上昇している。
ローブローと急所の合算でいうと1試合当たり1.16回の登場で少なくともここ3年の中では最も高い数値でもありますね。
そういう意味でいうとローブローも含めた急所攻撃数自体は今年比較的多いとも言えるかもしれない。

最多急所攻撃数

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最後に平均とかではなく1試合中に最も多く急所打ちが出た回数を調べてみたものがこちら。
歴代最多は2017,2019年の1試合に8回なんですがこれ一体だれの試合だったんだろう…と思って調べると2017年は8.2の矢野vsエルガンで未遂も含めた急所攻撃数は5回ですが、この試合では矢野が「自分が急所を攻撃された!」とアピールして反則勝ちを奪うというトンデモ試合だったのでそれも含めて回数が増えた模様。
2019年10.17のジュニアタッグリーグでの石森ELPvs金丸デスペ、こっちはきっちり6回の急所攻撃をお互いに打ち合ってるので近年でもかなり急所急所した試合だった模様

それはさておき単純な傾向を見ると、最多急所回数は2011年を底に徐々に上昇傾向にあるようにも見えますね。
そして加えるとここ3年で一気にローブローの最多使用回数が上昇しているのが分かります、実際にそう使用回数も増えているわけですし。
今ローブローの使い手というとジェイを筆頭としたBCの面々。
それを考えると彼らが多数、しかも1試合中に使っていることがファンの印象として「急所攻撃が多い!」という風にのこっているんではないでしょうか。

 

所感雑感

というわけで急所攻撃について調べてみました。
本来はPWMusingさんとかのやってるStatsをとって調べるのが正しいんでしょうけど、試合数が膨大で、しかも急所攻撃を探してみるっていうのはとてもじゃないができない…ので代替ということで。
まぁ冒頭で示したBrandon氏の集計結果を見るに、少なくとも10年代から新日本では不透明決着への否定と肯定が繰り返されている感じはしますね。
そういう流れの中で急所も…と思いきや急所にはあんまりそういう傾向が見られなかったのは意外ではありますね。
いずれにしたって実際はあまり増えているわけでもないのに増えた感じがするのはやっぱり人の印象って当てにならんな、とも最近の急所攻撃は逆に印象に残るような使い方ができているとも言えますけど。
まぁ今後の議論の素材になれば幸いです(なるのか?)。

きょうはこれまで、それでは