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共通項で機運を高めるグレート・O・カーンvsオカダ・カズチカ

毎年恒例、秋の大阪ビッグマッチまで残り10日と迫っております。
まぁG1後のこの時期、というかG1直後はドームに向けての遺恨整理月間という感も例年あって、遺恨があるということは対戦の記憶も新しいカードが多数組まれる傾向があります。
今回は全6試合、すべてがシングルマッチという少数精鋭指向となった大阪大会ですがそのうち5つはそういったカード、所謂リマッチってやつですね。
まぁリマッチ云々に関してブーたれる人が出るのも毎年恒例、かつリマッチを重ねることで攻防が進化最適化され、試合クオリティが向上してきた歴史があった、という説明をするのも毎年恒例です。

しかし大阪大会では唯一初顔合わせのカード、どころか新日本のリング上では初のシングルマッチになる試合が組まれています。

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(新日本プロレス公式サイトより引用)

それが第3試合のグレート・O・カーンvsオカダ・カズチカ
先日閉幕したG1 CLIMAX 30のAブロック最終日にウィル・オスプレイと結託し、凱旋帰国を果たしたオーカーンがついにその(シングルマッチでの)実力を示すという試合。
なにやらネット上では既に心を掴まれたオタクも多い模様ですが、その辺は自身も濃いオタクだったオーカーンだからこそオタク心理を心得ているってことですかね。
(というか新日本のファンて怪奇派は結構好きだよなぁ、EVILの時と言い)

そんなオーカーンの本格お披露目な意味合いも強い一戦なんですが、個人的にはそれに加えてオカダ&オーカーンという組み合わせも色々な共通項が見えて興味深かったりします。
というわけで今回はこの両者の共通項を上げつつ機運を高めていきたいと思います。

 

共通項1:大型日本人ヤングライオン出身者

簡単に言えばこの両者、新日本プロレスに登場する日本人選手の中でも大型の部類に入る選手なのです。
オカダが191㎝、107㎏
オーカーンが188㎝ 110㎏
昨今は小型化が進んでいるプロレス界、そしてその中でも小型化傾向が強い印象のある新日本においてはヤングライオンなんかでも180㎝台であれば十分にヘビー級路線を嘱望される風潮があったりします。
そんな傾向の中オカダ、オーカーンの両者ともに180㎝後半以上の身長をもつ、ナチュラルなヘビー級の選手なんですよね。

団体全体を見回せば外国人選手や他団体から移籍してきたSANADAなど大型選手はいるんですけど、こと生え抜き・ヤングライオン出身者に限るとこの両者がかなり久々のヤングライオン出身大型ヘビー級になるわけです。(少し前まではキャプテンニュージャパンとかがいたけど、外国人も含めるとファレもいるが)

現代のプロレスにおいては「デカさは正義」というわけでもないとは思いますが、それでも身長・体格はトレーニングでどうにもすることができない才能で有るのは現代でも変わらず。
そんな、久々の大型日本人(ヤングライオン出身者)対決という目線で見てみるとなお味わい深いかもしれません。

共通項2:キャラクター属性

モンゴルの怪人と雨降りおじさんじゃ全然違うだろいい加減にしろ、と言う方もいそうですがそういうキャラクター全体でなくその部分部分に共通項が見えるわけです

まず一つは「王属性」

オカダさんは別に王だのなんだのと名乗ることはありませんが、ガウンのきらびやかな様や長期のIWGP政権を築いたことからも、その立ち居振る舞いに王様っぽさを感じることはできる気がする(要出典)。

対するオーカーンですが、”カーン”はモンゴル帝国の最高君主の称号、つまり名前からして偉大なる王を名乗っているという。
勿論”王”とは言ってもオカダさんが権威・権力を保持した王な印象に対して、オーカーンは自称するように他者を征服する征服王という違いはありますが。
(というか現新日本は自称王様多すぎでは・・・?)

もう一つが「金」に関連するところ

オカダさんの二つ名はレインメーカー、「金の雨を降らせる者」の意で最近めったに聞かないが「新日本プロレスに金の雨を降らせる」が当初の謳い文句であり、ビッグマッチでは偽札レインメーカードルを降らせるパフォーマンスも印象深いところでしょう。

果たしてオーカーンにその要素があるか?というところですが、実はオーカーンのモチーフである「モンゴルの怪人」というキャラクターが大型日本人レスラーにとって縁起がいいモチーフなんですよね。
果たしてオーカーンが参考にしているのかは定かではありませんが、モンゴルの怪人というキャラクターの元祖はキラー・カーンであると予想されます。
キラー・カーンはかつて日本プロレスでデビューした後アメリカに渡り、当時のWWFに参戦してアンドレ・ザ・ジャイアントとの抗争も行ったトップヒールで、当時のアメリカで一番稼いだ日本人レスラーともいわれます(どこかで読んだけど出典は定かではない)。

つまり両者ともに、自身の周囲に金を降らせる王というなんとも縁起が良いキャラクターなのです。
あとまぁイメージカラーが黄色なのも一緒ですが。

共通項3:木谷会長の肝いり

体格とかキャラクターとかに関しては探せば他にもいそうなもんですけど、オーナーたる木谷会長から大きな期待をかけられていたという共通項はおそらくないでしょう。

まずオカダさんに関しては、まず2012年のIWGPヘビー初戴冠のタイミングがそれまでのユークスからブシロードへ親会社が変わったタイミングと一致しており、ある意味でブシロード新日本の顔として売り出された面もあったりします。
その3年後の2015年にダイアモンド・オンラインでのインタビューにおいてオカダさんに賭ける期待とその役割について以下のように語っています。

木谷 たとえば、人気選手のオカダ・カズチカは女性ファンもいますけれど、子どものファンも狙っています。なぜかというと、オカダ選手の年齢にも関係しています。彼は27歳です。私は、お客さんは自分の年齢より20歳以上離れた人には、感情移入できないと思っているんですよ。
(中略)30歳の人が感情移入できるって、50歳ぐらいまでで。高校生ぐらいだと、35歳ぐらいまでが限界ですね。
(中略)そうすると、10歳ぐらいの子どものファンをいっぱい作りたいなと思ったら、彼らが感情移入できるレスラーの年齢は、せいぜい20代半ばのお兄ちゃんなんですよ

(猪木の時代から激変した、新日本プロレスリングのいま | 日本のブルー・オーシャン企業 | ダイヤモンド・オンライン より引用)

2012年当時のオカダは24歳、上の理論で行くなら14歳ぐらいの中学生のファンを中心に新たに作ることを期待していたっていうことになりますね。
出典は不明ですが「中2でハマったジャンルは熱が冷めても再燃する」なんていうツイートもあって見た時に確かになぁと思った記憶があるんですが、
これも併せて考えると10歳ぐらいのファンを作ることで数年後にも会場に戻ってきてくれるファンを作ることができるとも言えるんですよね。

勿論他の年齢の選手は別の層のファン獲得を、という話もあるんですが、子供のファンを増やすことの重要性は各所で度々語られるところでもあるので、木谷会長がそこに注力するのも道理で、それを期待されるオカダさんへの(当時の)期待の強さは伺えます。

一方でオーカーンこと岡倫之に関してはもっと別の、プロレス団体のオーナーとしてというよりはもっと一プロレスファン、しかも古参のファンとしての期待があったことが2016年の1月5日の岡及び北村の入団発表の際のコメントに現れています。

木谷 (なぜ岡及び北村を入団させたのかという自問に対して)僕の一番の気持ちは、ここだけの話にしておいて下さい。世間からナメられたくないからです。

(NEW YEAR DASH !! – 東京・後楽園ホール – 木谷高明オーナーがアミューズとの業務提携を発表! | 新日本プロレスリング より引用)

この段階ではかなりぼんやりした漠然とした内容でしたが後日発売された週刊プロレスではインタビューが掲載され、さらに詳しい思いが載せられています。

木谷 (前略)お客さんのニーズとして新日本に強さを求める人もいるわけじゃないですか。その担保が欲しかったんです。

2016年1月27日発売週プロより(Fujisan.co.jp)(Amazon)

当時というと日本では久々のテレビ局が全面支援する総合格闘技イベントRIZINが発表されたタイミング(2015年10月)でもあり、かつてのPRIDE全盛期などの記憶も薄れぬファンはかなり警戒心が高まっていた時期と記憶しています。
だからこそもし上がらざるを得ない状況があった場合にはそこに送り込む刺客を用意しておきたかった、というような意図だったと記憶しています。

結果としてその後5年経ったものの、当初RIZIN側からの挑発があったり、他のプロレスラーがリングに上がることもありましたが、新日本プロレスの選手が上がることはありませんでした(良いのか悪いのかはさておき)。
それとは別にして上のコメントのようにプロレスラーとしても「強さ」を求めるファン層というのは依然として存在しているので、そういった需要を満たすことが今後は求められているとも言えます。

結果的にはプロレスを世間へ・未来へ広げる方向と、プロレスを外敵から守る方向の二方向でオーナーから大きな期待をかけられていた肝いりの両者の対戦がついに実現、というわけでもあります。

 

所感雑感

というわけで実は名前以外にも共通項が多かったオーカーンとオカダさんでした。
キャラクターについてはこじつけも良いとこなんですが、大型日本人対決という面と、共に大きな役割を期待されながらここまで育ってきたという面は頭に入れておきたいなぁと我ながら思うところです。
もちろんシンプルにキャラを楽しみ展開を楽しみでも良いんですけど、こういう楽しみ方もあるということでご参考にしてください

きょうはこれまで、それでは