少し遅れはしましたが今年もこの季節がやってきました。
「G1のGは何のGなのか?」を問う季節が。
GreatなのかGodなのかといわれている中「G1のGは後藤のG」というセンセーショナルな新説が出されたのが2008年、あれからはや12年も立っていますがいまだに結論は見えていません[要出典]。
そんな中、ふと思い返すと第1回G1 CLIMAXでは当時は闘魂三銃士の中で一歩出遅れていた感のあった蝶野選手が既にスターと化していた武藤選手に劇的勝利しての優勝、この衝撃度からG1は新日本でも1番のドル箱シリーズと化したともいわれています。
そう、G1はそれまでの序列をひっくり返す”下克上”から始まった、つまりG1のGは”下克上”のGではないか?と。
奇しくも先日の解析*1でG1での試合順は現在の新日本における”格”を反映しているのではないかと話しました。
そういう意味でいえばいつもの試合順よりも高い公式戦=格上との対戦で勝利を収めることこそ下克上ではないか?ということが考えられるわけです。
そもそもの話として全大会・全選手について平均試合順以上・以下の勝率はそれぞれ41%、56%というようになっています。
つまり基本的には「平均より試合順が低い(格下との対戦)の時の方が勝率が高い」というのが通常なわけです。
しかし調べてみるとまったく逆に「格上との対戦の方が勝率が高い」選手が存在することが分かったので、今回はそんなG1における下克上を数多く成し遂げてきた選手について解析です。
集計手法
今回は新日本プロレス公式サイトの試合結果から2007年から2019年のG1まで全公式戦について集計し、各年・各選手の平均試合順を参考にしながら、平均試合順以上での勝率、以下での勝率をそれぞれ計算し、それらの差を見ることでより試合順が後の方が勝率が高い=”下克上”度の高い3選手を紹介し、その具体的下克上例も紹介します。
ちなみに3位から1位にかけて紹介し、各見出しでは「(平均以上勝率)/(平均未満勝率) 下克上度=(差)」という表記をしています。
3位 100%/20% 下克上度=80%
第3位は2008年にエントリーした矢野通選手。
2008年というとまだ矢野選手はGBH所属のドヒール期、今の陽気な様子などおくびにも出さない頃。
この年G1ではほとんどが第2,3試合への出場(この年は第1、5試合にタッグマッチ)がほとんどでそれこそ格というものは低かったわけですが、唯一1回だけセミメインの場に出場。
その時の相手がまだRISEを結成していた若かりし頃の中邑真輔、それこそ当時のトップ選手の一角ですね。
そんな千載一遇のチャンスをゲットし、見事に勝ち星を盗んで見せたのが当時の矢野選手なのでした。
そういう意味では「格上にめっぽう強い」というよりは「大波乱を起こした」という感じが一番近いかもしれません。
2位 80%/0% 下克上度=80%
続いての2位は数値こそ3位矢野選手と同立ですが2012年の内藤選手になりました。
2012年のG1の内藤選手というと後のキャリアに大きな影響を与える膝の負傷をした大会でもあり、なんとか完走こそしている戦績は振るわず、この大会後の10月には長期欠場しています。
しかし序盤はまさに快進撃であり初戦で中邑真輔に勝利し、次戦ではこの年2月に敗れたオカダにも勝利、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いがあったのは事実。
これを「下克上」というかどうかは人による気はしますが、当時IWGPヘビーをまいた経験があるものとなかったもの、直近で敗れておりこの勝利がリベンジに当たることなどを考えるとPayBackみたいな感じですかね。
ちなみにこの2戦はいずれも後楽園ホールでの一戦、ある意味この時期の内藤さんは後楽園男だったのかもしれない。
第1位 100%/16% 下克上度=83%
栄えある第1位はまさかの格上相手に三連勝の勝率100%をたたき出した2019年の矢野選手!まさかのWランクイン!
これに関しては皆さんの記憶にも新しいとは思いますがこの年の矢野選手の活躍っぷりたるや。
まずブロック開幕戦でいきなり優勝候補の内藤選手を3分42秒で丸め込み*2、
続いてまさかの開幕二連敗でいきり立っていたジェイをさらに短い3分4秒で丸め込み*3、
そして鳴り物入りで新日本デビューし全勝街道まっしぐらだったジョン・モクスリーをわずか5分のリングアウト勝利でストップする*4。
恐ろしい…まさしく”下”のものが”上”のものに”克”つんですけどリーグ戦でこれほど恐ろしい存在がいるとは・・・。
今年もG1は矢野選手には要注意だ・・・
トップ5まとめ
ということでなんだか「YTRマジック特集」みたいな感じになりつつありますが、一応トップ5までをまとめるとこちらのように。
upperWINが平均試合順以上の試合での勝率、lowerWINが平均試合順未満の試合での勝率になっており、カッコ内は(勝利)/(試合数)の表記ですね。
実は2013年の天山選手や2018年のオカダさんなんかも下克上度は高いんですが全然そういう印象ないっすね、「下克上度」というネーミングが良くないのでは?(本末転倒)
所感雑感
というわけでなんだか最初の思惑とはズレた感じもしますが、試合順を使ったもう一種のお遊び解析でした。
ちなみに今年の矢野選手の平均試合順は3.13でほとんど第2か3試合に出場なんですが、平均試合順以上の試合に出場になるのは9.29後楽園(第5試合 vsEVIL)、10.14神奈川(第4試合 vs内藤)の2戦のみ。
・・・EVIL&内藤ファンは震えて待とう!
きょうはこれまで、それでは
*1:各種数値で機運を高めるG1 CLIMAX 30:試合順編 - プロレス統計
*2:HEIWA Presents G1 CLIMAX 29 – 東京・大田区総合体育館 2019/7/13 – 第7試合 30分1本勝負 「G1 CLIMAX 29」Bブロック公式戦 | 新日本プロレスリング
*3:HEIWA Presents G1 CLIMAX 29 – 東京・大田区総合体育館 2019/7/13 – 第7試合 30分1本勝負 「G1 CLIMAX 29」Bブロック公式戦 | 新日本プロレスリング
*4:HEIWA Presents G1 CLIMAX 29 – 福岡・福岡市民体育館 2019/8/1 – 「G1 CLIMAX 29」第6試合 Bブロック公式戦 | 新日本プロレスリング