プロレス統計

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新日本プロレスにおけるフィニッシャーに関する諸解析

昨日の記者会見で公式に投票がスタートしたKOPW2020の初戦。
「ルールを各自持ち寄ってファン投票で決定」という特色が初回から「大体一緒だから投票なし!」という例外を作るなど初っ端からイレギュラーで始まりましたが、その他3試合に関するファン投票は現状でも概ね盛り上がっているようです。

その中でも注目を集めている、というか唯一大差が付きつつあるのが小島vsデスペラード戦に関する投票。
まぁ戦前から両者(と言うかコジの)のコメントに注目が集まり、物議を醸していた面もあるので道理なんですけど。
これに関して以下のようなツイートをしたところ結構反応を頂きました。

まぁ自分でも調べてみて「まさかとは思ったけどここまでか・・・たまげたなぁ…」となってたぐらいなんで、意外に良い解析ができたなぁという感じです。
で、こうしてくると「他の選手はどうなのか」「逆にフィニッシャーが多彩な選手はだれなのか」「全体の傾向としてはどうなのか」とかってに気になり始めたので今回はそれに関して解析です。

 

集計したもの

今回は新日本プロレス公式サイトの試合結果ページに掲載されている2007年から2020年7月までの全試合データを収集し、そこから各選手のフィニッシャー(試合を決めた試合)を集計しました。
基本的に新日本プロレスの試合結果は丸め込みや関節技はその技名が付きますが、それ以外の系統の技だと「(フィニッシャー技)→○○固め」という形式になっています。
こういった場合に関しては”→”まえの部分の技名を抽出し、集計しています。
当然表記揺れやタイポは別扱いですし、レフェリーストップなども別決まり手扱いになっているのでご注意ください。

フィニッシュ占有率

まず初めに、上記の全期間について各選手ごとにフィニッシャーになった技と回数を集計します。
その結果からフィニッシュとなった回数が最も多かった技が、フィニッシュを決めた回数の内何%に相当するのかを占有率として計算しました。
これが高ければほぼ毎回同じ技で試合を決め、低ければ固定の決め技ではなく臨機応変な技を使っているということになります。
ちなみに以下では試合を自らの手で決めた回数が合計50回以上の選手に限定しています(ゲスト選手などを除外するため)

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左が上位5名、右が下位5名になりますが、
冒頭のツイートでも紹介していた小島選手のラリアットが実に96.7%に相当しており、ダントツの1位でした。
それに続くのがオカダ選手のレインメーカー(92%)、みのる選手のゴッチ式パイル(89.6%)、チェーズ選手のパッケージパイル(89.3%)、そしてジュース選手のパルプフリクション(84.0%)となっています。
いずれも「この選手と言えばこれ!」というような組み合わせが並んでいますが、その中でも小島選手のラリアットは断トツの高割合の模様。

続いて逆に割合が低い方ですが、
1位となったのはザック選手のジム・ブレイクス・アームバーでなんと8.5%でこちらもダントツの低割合。
この数値は「最も頻度が高いフィニッシャー」の数値なので他の技はより低いわけなので、如何に多様なイメ技を持っているのかがうかがい知れます。

ちなみに平均値としては69%程度と算出されていますので、たいていの選手が7割の確率で定番技で勝利し、3割の確率でレア技が出るようです。

フィニッシャー種類数

上の集計をしていてふと「割合が高いってことはフィニッシャー候補が少なく、低いってことはフィニッシャー数が多いってことでは?」と思ったので、今度はフィニッシャー数の夥多についてしらべてみました。

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その結果が上の表で、左側が少ない方、右側が多い方の5名になっています。
結果として僅差ではあるものの高割合だった小島選手のフィニッシャー数が実際に4つのみと最少となりました(多分表記揺れを含んでいるのでもっと減るけど)
しかしそれ以外の選手を見ると田中将斗選手やオスプレイ選手など先ほどはランクインしなかった選手が見受けられます。
これに関しては田中選手は少ないながらも各フィニッシャーをそれぞれそこそこの頻度で使っていることがうかがえ、一方のオスプレイ選手の場合ジュニア→ヘビーへの転向によってフィニッシャーがオスカッター→ストームブレイカーへと変化したことで、持ちフィニッシャーが少ないものの高割合にならなかったとみられます。

同じく右側の持ちフィニッシャーが多かった選手については
ザック選手が39種と十分多かったんですがそれを田口・タイガー・タイチの3選手が上回る形に。
よく考えればこの5人の中でザック選手は2017年以降の参戦なので参戦機会が短い中40種近い決め技を出しているのに対し、他4選手はかなり参戦期間も長いので、先ほどのオスプレイ選手と同じく、フィニッシャーの遷移などもあり増えた部分はあるかもしれません。

平均フィニッシャー数・占有率推移

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最後にフィニッシャー数と占有率についての全体平均を各年ごとに計算したものがこちら(参考として中間値も薄い色で示しています)。
結果としてフィニッシャー数(左、青)は2012年を境に1.5ポイント近く減少し近年は徐々にですが増加傾向が見られます。
一方で占有率(右、オレンジ)では2007年から2015年にかけて占有率が上昇し、一時は70%近くにまで到達しましたがその後4年間は徐々に減少傾向にあると見えます。

これらの結果を踏まえると2012年以降から新日本プロレスでは持ちフィニッシャーを絞るスタイルに、かなり劇的に変化したと見えます。
ちょうど2012年はブシロード体制への移行の年なのでその際にリング上でも変化が現れたと言えるでしょう。
しかしその際占有率にあまり大きな変化が現れなかったのは持ちフィニッシャーの中でもほとんど使わないような技をフィニッシュとして使わないようにし、複数のフィニッシャーをそれまでと同等のバランスで使うようにしたということと思われます。

時折新日本のプロレスを「各人のフィニッシャーが決まれば勝ち」という意味で「必殺技のプロレス」という表現をしますがそのような傾向は実際にあるかもしれませんね。
その傾向が特に高まったのが2015年ということになります。
しかしそこである種煮詰まったのか、またはリング上人員の大きな変化も影響したのか、フィニッシュ数の増加・占有率の低下でフィニッシャーの多様化傾向が近年ではみられるようです。

まとめ

  • コジは勝つときは97%の確率でラリアットで勝つ
  • ザックのフィニッシャーは全部レア
  • 近年ではフィニッシャーが多様化している

 

所感雑感

というわけで思い付きの割にかなりヘビーになった解析でした。
実はちょっとバグを見つけて集計プログラム修正とかもしたので地味にえらい時間がかかったりしたんですよね。
まぁより良くなった(はず)ので良いんですが、修正前と集計結果が違ったりして困惑したりしてます。
フィニッシャーに関する本格的な解析は多分今回が初なんですが、なかなか興味深い結果になったので是非他団体でも…と思ったんですが、既に持っているCagematchのデータには決まり手までは書いていないので今のところ保留状態なのですよね。
どなたか決まり手まで含めた試合データがあるサイトをみつけるかデータを提供してくれないものか・・・

きょうはこれまで、それでは