プロレス統計

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国内プロレス7団体による要望書について所感

去る2020年4月15日はある意味で「プロレスと政治」というものについて世界規模で稀有なイベントが起きた日になったようです。

早朝にはアメリカ・フロリダ州知事が「全国の観客を対象にしたプロのスポーツとメディア制作は”必要不可欠”な仕事である」と声明を発表したことで、同州でのWWEのRawやSmackdownの収録が可能になった、なんていうニュースが出てきました*1
これに関して「素晴らしい!」「新日本もそうなれるはず!」*2と褒める人もいたんですけど、調べてみるとフロリダ州に対してドナルド・トランプ派の政治資金団体から投資があり、その団体の代表がリンダ・マクマホン、WWEのトップであるビンス・マクマホン氏の奥さんなので何やら批判が起きている、という話なようです。

そういう意味でなんとも「プロレスと政治」というとなんともなイメージが湧く感じがしていたんですが、その午後には日本において国内プロレス7団体が馳浩衆議院議員に要望書を提出した、とのニュースが(下記リンク参照)。
馳浩氏と言えば衆議院議員にして元文部科学大臣にして現役(?!)プロレスラーのあの人。
こちらに関しては言ってみれば真っ当な関わり合い、取り組みなんですけど、これに関してどういう内容だったのか、ということについてちょっと見ていきたいと思います。

battle-news.com

 

要望書の内容

新日本プロレスとスターダムの親会社であるブシロード、その会長である木谷高明氏を発起人として国内の7プロレス団体が要望書を現役(!)プロレスラーにして衆議院議員の馳浩氏に要望書を提出したとのこと。
その主な内容については上述のバトルニュースの記事を、(多分)厳密な文面に関しては新日本の公式リリースを確認していただくとして、その主な要点は以下の二つ

  • 新型コロナウイルス感染症対策に伴う検査キットの早期普及
  • 自粛による年間契約選手の休業補償

1つ目に関しては検査キットが通常の医者ではなく臨床検査技師が行っているために、要望したように現場で使って・・・という使用法はできないという話だったようです。
代わりにこれまで通り、症状があったら医療機関に行き、その後検査を、というこれまで通りの利用法を再確認したという感じのようです。
まぁPCRキットも今頑張って増産している段階なので各団体ごとに普及、まではしばらく無理でしょうしね。

対して2つ目については、休業した場合の雇用者の休業手当については雇用調整助成金を用いることで4/5を国が負担してくれるんですが、どうやらプロレス業界ではこれが上手く使えないというのが問題だった模様。
プロレス業界では年俸制なんかが使われているという話ですが、こういった雇用体系の場合上記助成金が使えないようで、その改善(条件の緩和?)を求める要望だったようです。

これに関しては結構な分量で担当者のコメントが載っていたんですが、それをしばらく見ていても、はたしてこれが改善・緩和に向かうのかはちょっと定かではない感じが如何にも省庁の答弁…って感じですね。
現状では「持続化給付金」という別の制度で対応するのが良いんでは?という結論のようですけど、果たしてどうなるのか。
(まぁこの要望書の提出の場はあくまで提出の場なので制度の変更についてああだこうだ言える場所ではなかったというのもあるので意図的にそういう発言を避けてるという感じもしますが)
専門でないのでよくわからんのですが、何か詳しい人に解説してもらいたい。

「国内7団体」について諸解析

で、上記要望書に賛同したのは以下の7団体。
新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノア、DDTプロレス、スターダム、ワールド女子プロレス・ディアナ、東京女子プロレス
大まかな枠組でいうと新日本とスターダムのブシロードグループ、DDTとノアと東京女子のサイバーエージェントグループ、そこに全日本とディアナの2団体が加わったという形。

f:id:Rodyonsw:20200415214140p:plain

この7団体の昨年の総動員の割合を示したのが上の円グラフ。
Requestが上記7団体、Othersがそれ以外の団体の合計になっていますが、この総動員の割合を市場のシェアと考えると今回要望書に賛同した団体は市場の60%近いシェアを占めている感じになります。
そういう意味では今回の要望書がプロレス業界全体の(大まかな)総意として受け取られても良いと思います。

一方で昨年の観客動員の上位団体に目を移す*3と、
上位5団体の内で唯一ドラゴンゲート(業界2位)のみが参加していない形にはなっています。
まぁ今回参加した団体が首都圏を活動拠点としている7団体だったのを見ると、神戸を拠点としているドラゴンゲートが参加するには少し距離的ハードルがあったのかな?って感じですね。

 

所感雑感

というわけでなんか風雲急の出来事だったので思わず所感です。
雇用調整助成金に関しては話は聞いていたので「これがあれば多少は楽だよなぁ」と思ってたんですけどまさかプロレスラーには当てはまらないとは・・・
まぁ一番は条件緩和なんでしょうけど、果たして各団体どういう対処を獲るんですかね。

で、今回の要望書の一件でプロレスファン的にちょっと目を引くのが、馳氏がプロレス業界のコミッションの設立を促すような場面があったこと。
今回のような業界全体としての要望を出すときはコミッション団体があると何かと便利かつ動きが早くなるとは思うのは確かに、なんですけど現状だと実現には時間を要するだろうなぁと思うのが思うところです。
この要望書提出に関するリリースだけにしても、各種プロレスメディアの詳細リリースが夕方6時ごろ、それに遅れて新日本も公式にリリースだったんですけどそれらに先んじるようにDDTの公式アカウントが要望書の提出を報告*4
まぁ「早く情報を出す」ことに関しては良いとは思うんですけど、この段階では情報はツイートのみでリリースもなし、木谷氏が発起人であるという情報も伏せた状態、ある意味で他団体との足並みを乱すようにも見えたんですよね。
どこまで意図がある行動なのかはさておき、その後もいくつかのニュースが出ましたけどいずれもトップに来るのは木谷氏もしくは新日本という状態で、そこに良くないものを感じることがないと言えばウソなんじゃないかなぁと。
そういう意味で「情報の初出」という点だけでも機先を制するという意図はあったのかもなぁ、と思うと果たしてコミッションがどうなるか・・・と。
実際に新日本のリリースでは、馳氏のコミッション云々の部分は省かれてますし、新日本側としては現状として乗り気ではないというのはあるかもしれません。

まぁ何はともあれ要望が良い変化をもたらすことを期待しております。
きょうはこれまで、それでは