プロレス統計

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プロレス技の使用頻度変化調査:新日本プロレス編

プロレス興行が世界的に自粛されているこのプロレス空白期間(©92サイトー)は何かを振り返るのに持って来いのタイミングでもあります。
そんな最中、先日の92サイトーさんのプロレスの事「好きな技の事」回を聞いていて、以前から気になっていた疑問を思い出しました。
それは「技の流行り廃り」について。
日本のプロレスと海外(例えばアメリカ)のプロレスを見比べた時の大きな違いとしてはエルボー(フォーアーム)の多様が挙げられると思います。
一打撃技に過ぎないはずのエルボーが日本でここまで市民権を得ているのは、一説には全日本プロレスの四天王時代に激しいエルボー合戦が繰り広げられたことに発端があると言われています[要出典]。

まぁその虚実については眉唾物なんですが、それを頭において試合を見ているとここ数年に限っても流行っている技、逆に廃っている技があるんじゃないか?と思い立ち、今回はそんなプロレス技の流行り廃りを使用頻度から調べてみました。

参考:フィニッシャーの回数を調べたのはこちら。
新日本プロレス フィニッシャーランキング2019 - プロレス統計

 

集計したもの

今回は試合中の技の登場頻度を調べるわけですが、似たようなことはTwitter上でやっている人がいたりしますね*1
とはいえ流石に各技ごとに逐一カウントしていくのは骨が折れるので今回は先日のコメント解析で一緒に集計した新日本プロレスの公式サイトに記載されている試合詳細を用いました。
現在公式サイトに載っている試合結果の内2007年5月から2019年12月までの試合結果を以下で用いています。
試合詳細は誰が何をしてどうして、という一部始終が掛かれているのでその分の中に何回技名が出てきているのかを調べればおおよその登場回数は出て来るかなぁと。
とはいえ、例えば「エルボー合戦」とかの表記の場合は大幅に実際の回数からはズレる感じがしますけど、そういう場合は「エルボー合戦」という1ムーブとしてカウントする感じで。

こういう集計の仕方なのであんまりマニアックな技名は集計に向かなさそうなので今回はプロレスの基本技と言えるドロップキック、エルボー、ラリアット、チョップ、スープレックス、ブレーンバスターの6種類について集計しました。
ここでは同じくバックドロップもスープレックス系に含まれる気がしたので、同技の登場頻度などもスープレックスに含まれるように集計しています。
また、単純に技名の登場頻度調べているので○○スープレックスみたいな固有名詞のある技も「スープレックス」として集計されていることになります。

試合登場率

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まず初めに上記の5つの技について、各年の全試合の内何試合で使われたのか(試合中の登場頻度はさておき)の割合(Appearance rate%)を示したのが上の図。
上側が折れ線グラフで下側に各技・各年の登場率を示した表になっていますが、
2019年の結果を見ると最も(試合詳細への)登場確率が高かったのはエルボー88.34%の試合に登場していたようです、もうエルボーという文字が出てこない試合の方がレアという。
それに対して最も少なかったのはスープレックス(バックドロップ込み)とブレーンバスターの二つで共に55%弱、約半数の試合でのみ登場した模様。
これと同様にチョップもまた60%弱と他の打撃技と比較すると頭一つ登場率が低くなっており、ある意味エルボー・ドロップキック・ラリアットが基本技、スープレックス・ブレーンバスター・チョップなどが選択必修技みたいな感じはあるかもしれません。

また推移を見てみると2013年ごろから前述の基本3技の登場頻度が上がっていき、相対的に選択必修3技と登場頻度に差が生まれたような形で、2013年ごろからこれらの5種類の技の住み分けが進んだという感じですね。
これを流行り廃りで判別するなら、スープレックスなどが廃れた、というよりはエルボー・ドロップキック・ラリアットが流行り始めた、と言えるかもしれません。
流行りというよりは、この3つの技が中心になるように試合の組み立てに変化が起きたと言えるかもしれません。

平均使用回数

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続いては、上述した各技が登場した試合について試合中の登場回数について平均値をとってみたものがこちら。
最初に述べたように○○の応酬とか○○合戦とかの表記は1回としてカウントされているので、感覚としては「○○を使う場面が何回あったか」という感じになりますかね。
こちらでもダントツで多かったのはエルボー平均3.99回使用場面があったとのこと。
しかもその平均値は2015年から急増しており、それまでトップだったラリアットを追い抜く形で最多になっているので、2015年あたりに打撃、なかでもエルボーが主体となる試合スタイルに変化したと言えそうですね。
それに次いだ回数を見てみるとドロップキックとチョップ>スープレックスとブレーンバスターと大きく3つに分かれています。
これに関しては2000年代よりもその差がはっきりと分かれていることから、使用頻度の差=技の格付けの差がよりはっきりと分かれてきたとも言えますね。

 

所感雑感

というわけで各基本技の使用頻度について解析でした。
まぁ一応「技の流行り廃りを見る」としていたんですけど、それに則るなら少なくとも新日本においては「エルボーが流行り」つつあるというように言えるかもしれません。
とはいえ技の登場回数が少ないのは上述したように「大技扱いになってあまり出さないようになった」という可能性もありますし(実際ヤングライオンは打撃技中心ではじめ試合を組み立てるようにして、1年ぐらいたってからスープレックスを解禁してるし)、単純な流行り廃りというよりは「試合の組み立ての変化」という風にとらえたほうが良いかもしれません。
試合の組み立ての変化を真面目に議論するのであれば冒頭に紹介したように1試合ごとの試合経過をちゃんと見るべきではあるんですが、何とか簡単な方法がないものか・・・。

きょうはこれまで、それでは