これまでも何度か行ってきたツイート解析においては興行全体を通して瞬間ツイート数が最も多かったいくつかのシーンについてのみ紹介していたんですが、それはあくまでもそのシーンの盛り上がりであり、興行のハイライトを押さえるという役割は満たしていました。
しかし「どの試合が特に盛り上がっていたのか?」などを考える際には如何せん瞬間的すぎるという点もあり、旧来の手法ではそういった解析を行うことはできませんでした。
今回はそういった問題点を解決し、試合ごとの盛り上がりを調査すべく、例として今年の1.4東京ドーム大会のデータを用いて解析していきたいと思います。
用いたデータ
以前のツイート解析時にも用いましたが、2020年1月4日に#njwk14に投稿されたツイートデータを今回も用います。
データは弊ブログで公開している自作ツイート集計プログラム*1を用いて行い、毎分何件のツイートがあったのかを集計しています。
今回はこれに加えて「どの試合が何時から何時まで行われていたのか?」を当時の実況をTwitter上で(手動で)調べ、それを元に集計したデータを各試合ごとに分割し、各区間ごとに解析を行いました。
そのため実際の試合スケジュールからの誤差(私の見積もり違い及び実際の中継映像とTwitterへの投稿の時差)があると思いますがご了承ください。
ツイート数推移
大会中のツイート数の推移を各試合もしくは休憩時間等ごとに色分けしたのがこちら。
ツイート推移データ自体は以前ツイート解析したもの*2と全く同じになっています。
各区間ごとの最大値のポイントには◆マークをつけ、なかでも目立ったもの(第4試合以降)には実際の数値とその時刻を併記しています。
ちなみに1.4東京ドーム大会では3つのダークマッチ(0-1、0-2、0-3と表記)が行われましたが、スターダム提供マッチとなった0-1は新日本プロレスワールド上での中継・配信がないため他のダークマッチと比べてもツイートが増えていないのが分かり、その終了時間近くになって中継が始まったことで一気にツイート数が増えているのが分かります。
以後はこの区間ごとにデータを解析して比較していきます。
各試合所要時間
まず初めに各試合等の所要時間(duration)についてまとめてみたものがこちら。
ここでいう所要時間は入場の開始から次の試合の入場が始まるまでの時間を指し、つまりは入場+試合+退場の一部という試合に付随する総時間ですね。
上図では試合時間のみを濃い色で、所要時間全体を薄い色で示しています。
また実際の数値を各棒グラフ上に数字で示すと共に、所要時間全体に対する試合時間の割合も白い文字で示しています。
ダークマッチ3試合に関しては、意外な感じもありますが所要及び試合時間共に0-1>0-2>0-3の順番に長く、試合中継がなかったスターダムがいずれも最も長かったとみられます。
まぁ所要時間に関しては0-1と0-2の間には中継が始まるまでのタイムラグなんかもあったとは思いますが。
この所要時間に関しては「その興行内における相対的重要性」を間接的に表していると考えられますが、そういう意味で、本大会においては、「ブシロードグループ新規参入のスターダムの提供試合」>「若手主体のタッグマッチ」>「ベテランのタッグマッチ」という序列があったのかもしれません。
これを踏まえて本戦の序盤戦を観ると、2~5試合がほとんど同程度の10分台後半~20分台前半なのに対して、第1試合は27分と前半戦にしてはかなり長い。
その内訳を見てみると試合時間自体は1~3試合はいずれも8分台、4・5試合が10分台半ばとなっていたんですが、
第1試合は所要時間の実に70%近くがそれ以外に用いられています。
おそらくは各選手の入場時間などに充てられていたと思われます(都合10人の選手の入場を一人づつやってたからそりゃあね)が、まぁ実際そこがメインみたいなところもあるでしょうし特別措置って感じですね。
そして終盤の3試合は所要時間も試合時間も後ろに行くにつれドンドンと長くなる構成になっており、特にメインに関しては試合後のマイク等も含めているので試合以外で30分近く用いていることになりますね。
各試合最大値
各区間での最大値のみを抜き出したのがこの棒グラフになります。
これを見るにダークマッチ~大会のOP映像までは毎分100ツイート台が多いのですが、
レジェンドレスラーが多く登場したライガー引退試合その1の第1試合(1と表記)は以降の2試合と比較しても高めの毎分344ツイートの速度を記録しています。
第1試合で最高値をとったのはライガーが入場したまさにそのタイミングでした。
その後の2試合は翌日に向けた前哨戦的に8人タッグマッチであったため、毎分200ツイート台前半の低めの数値。
それ以降はタイトルマッチが続いたこともあり一気に数値も上昇し、傾向としては後の試合になるほど高い数値になる傾向がありますが、第7試合IWGP ICではその前のジュニア選手権から少し下がっている辺り「爆発的に盛り上がる」というタイプの試合ではなかったことがうかがえます。
そして第8試合メインイベントIWGPヘビー級選手権試合では最速となる毎分890ツイートが得られました、これに関しては「翌日のメイン決定」という意味合いもあった気はしますね。
各試合平均・中間値
続いては各試合区間におけるツイート数の平均(mean)・中間値(median)をそれぞれ計算してみました。
平均値に関しては突出した値がある場合、かなり数値が偏る可能性もあるので中間値も用いましたがおおよその傾向としては同程度になったかと思います。
どちらの数値にしても平均値が抜けていたのは第1試合(ライガー引退試合)、第5試合(IWGP US王座戦)、第6試合(IWGPジュニアヘビー戦)、第8試合(IWGPへびー) の4つという感じ。
そういう意味では瞬間的でなく試合全体を通して盛り上がったのはこの4試合だったといえるかもしれません。
また平均値・中間値のいずれも最も数値が高かったのは第5試合のIWGPUS王座戦でした。
これを見るにどれだけお祭り騒ぎで息を突かせない試合だったのかということがうかがえますね。
(ちなみに最も低かった部類が中継の無かった0-1と休憩時間(interと表記)なのは道理というかなんというか。)
総ツイート数
最後に各試合の総ツイート数について。
こちらに関しては所要時間が長いほど大きくなるのは道理だとは思うんですが、最も多かったのはメインのIWGPヘビー級戦で1万4177ツイート、次点が第6試合IWGPジュニアヘビー級戦で9135ツイート、3番手がセミのIWGP IC戦で7857ツイートでした。
所感雑感
というわけでいつものツイート解析をさらに詳細に解析してみました。
如何せん各試合の開始・終了時刻を調べるのがえらい手間なのであんまり頻繁にやれそうになく、ビッグマッチもビッグマッチだけやっていこうかなぁという感じですね(近場でいうと大阪城とか?)。
しかしこうした解析をすることで、瞬間のツイート数を見るだけでは見えなかった各試合の特徴が見えてくるのは面白いかなぁと思ったりするので、そう思っていただけると幸い。
まぁこういうことをやろうと思ったのは、正直言えば普段のツイート解析に関してマンネリ感があったので「もっと解析っぽい解析したいな」と思ったからなんですよね(興行の感想を書く際には便利なのは変わらないんですけど)。
そういう意味では今回の結果は満々満足、今後もこういう新しいことをやっていきたいとこです。
きょうはこれまで、それでは
おまけ:各種数値まとめ
上述の各データの数値だけをまとめたものがこちら。
それぞれ所要時間(duration)、最大ツイート数(max)とその時刻(max_time)、平均値(mean)、中央値(median)、総ツイート数(total)です。
また試合の最大値を記録したのは
0-1:(中継無しのため試合に関するものではないと思われる)
0-2:(中継開始直後の盛り上がり)
0-3:テンコジ入場の瞬間 (16:32)
1:ライガーの入場シーン(17:16)
2:(試合開始の盛り上がりもしくはライガー引退試合の余韻) (17:33)
3:ラグビー日本代表が映ったシーン(17:56)
4:フィンレーがアシッドドロップを極めて勝利したシーン(18:29)
5:モクスリーが10カウント勝ちを決めたシーン(18:53)
6:ヒロムがTIME BOMBIIで勝利したシーン(19:30)
7:内藤がデスティーノで勝利したシーン (20:18)
8:オカダがレインメーカーを決め勝利したシーン (21:11)