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過去対戦で振り返るザック対SANADA

 先日お伝えした通り、WTL優勝決定戦の結果を経て正式に決定した東京ドーム二連戦のカードですが、おおよそは複数回のシリーズを経て構築された因縁を踏まえて決定されたもの、例えば後藤対KENTAのNEVER戦なんかはWTL中ずっと襲撃してはし返されを繰り返していましたが、振り返れば後藤にとってはKENTAは「盟友柴田を足蹴にした男」という見方もできるわけで因縁はG1にまでさかのぼります。

そういう意味でいうといささか急に決まった感もあるのがRPW認定ブリティッシュヘビー級選手権試合となるザック・セイバーJr.対SANADA。

因縁らしい因縁はそれこそ、WTL優勝決定戦終了後のバックステージでザックがSANADAを襲撃したことが決定を知らせる記事でも書かれています。
一見すれば「そんな唐突に・・・」となりがちではあるんですが、私が見たうちでは子のカードについて眉を顰める意見はなかなか見当たりません。
それはやはりこのザック対SANADAというカードが一つのブランド、価値ある一戦であるという共通認識が知らず知らずのうちにファンの中にできているからではないですかね。
というわけで今回はこの新たなブランド対決、ザック対SANADAについて過去対戦で振り返ってみます。

 

2018.3.18 初対戦

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日英随一のテクニシャン同士の初遭遇 (2018.3.18)

(新日本プロレス公式サイトより引用、試合映像)

この両者が最初に対戦したのは2018年のNEW JAPAN CUPの準決勝戦。
奇しくもこの年の前半はこの両者の新日本でのキャリアにおいて重要な時期だったとも取れます。
まずSANADAはNJCに先んじて行われたNEW BEGINNING大阪大会で初めてIWGPヘビー級に挑戦、勝利こそ出来なかったもののそれまでいささか地味に思われていたSANADAが会場から大歓声を引き出し、新日本でのシングルプレイヤーとしての地位を確立し始めました。
対するザックは前年から鈴木軍として参戦を開始してはいましたがこのNJCを前にセコンドにTAKAみちのくをつけ始め、それに伴ってその関節技のエグさが際立つようになりました。
さらに言えばこのNJCにおいてザックは優勝し、来る両国大会で初めてIWGPヘビー級に挑戦し、新日本において押しも押されぬシングルプレイヤーとして名を上げることに。

そういう意味でいうと両者にとってシングル戦線参戦初期となる時期なので、観客自体もこのカード自体への期待感も思い入れも薄い状態ですが、内藤や飯伏といった強豪を倒してきたザックの関節技に対し、SANADAが同じく関節技で対抗することで盛り上がった印象。
ここまででいうと関節・グラウンドに関してはザックの独壇場と化していた部分もあったんですが、この試合でSANADAが「ザックに対抗しうる技量を持っている」と証明したことで「ザック対SANADA」というカードに注目が集まるきっかけになったかもしれません。

2018.7.21 ブランド確立

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SANADAのシングル戦線突入への試金石にもなった名勝負(2018.7.21)

(新日本プロレス公式サイトより引用、試合映像)

両者の再戦は同年のG1 CLIMAX後楽園大会にて。
後楽園ホール、特にG1 CLIMAXでの後楽園ホールはその注目度の高さに相反するようなキャパシティの小ささもあってマニアの中のマニアが集う特殊な”場”が形成されがちな印象があるのですが、この”場”の存在がザック対SANADAというカードのブランド化においては必須だったと今になっては思います。
もう試合映像を見ると試合開始前から期待感に溢れる場内、勿論先んじてのNJCでの一戦が評価されたからこそ「きっとすごい試合に違いない」と期待された部分はあるんでしょうけど。
その期待感と、その期待感にそぐわぬ高度な攻防だからこそその一挙手一投足に対して非常にリアクションが良い、というのがこの試合の印象になってしまうんですが、やっぱりリング上だけでなく会場のレスポンスの良さも「名勝負」においては重要なんですよね。
試合内容としても、前回以上に積極的にザックの土俵で張り合うSANADAが最後はお株を奪うような鮮やかなオコーナーブリッジでの丸め込みだっただけに、会場の盛り上がりは勿論ですけど見ていても美しい、SANADAの言葉を借りるのなら「エレガントな」試合に感じるんですよね。
噂によれば選手の中でもこの一戦に関しての評判が良かったらしく、それもまたこの対決に箔をつける要素にもなっている気がします。
いずれにしろこの一戦が「ザック対SANADA」のブランドを確立させた一戦なのは間違いないでしょう。

2019.6.29 初めてのブリティッシュヘビー級戦

その翌年、同カードはザックのホームであるイギリスRPWにも逆輸出されることに。
イギリスもイギリスでマニアックなファンが集う印象もありますけど、こうして逆輸出されるカードは「このカードが見たい!」もしくは「このカードを見せたい!」というファン待望・選手自慢のカードであると思うので、このカードのブランド性の表れでもありますかね。

ちなみにこの一戦がSANADAにとって初めてのブリティッシュヘビー級挑戦となりましたが結果は敗戦だったようです*1

2019.7.6 ワールドワイド

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日英の天才が米のマニアを唸らせた(2019.7.6)

(新日本プロレス公式サイトより引用、試合映像)

 直近での対戦は記憶にも新しい今年のG1 CLIMAX開幕戦のダラス大会。
同大会ではメインに「黄金カード」とも呼ばれるオカダ対棚橋をラインナップするなどかなり気合が入っていたんですが、そこに並んだという意味ではザック対SANADAもまた「ブランドカードである」という証左でもありますかね。
そしてアメリカにおいても高い期待感は、アメリカのファンにとってもこのカードの価値が受け入れられている、すなわち国を問わずこのカードのブランドが確立している証拠でもあります。

時期的にはSANADAはオカダとのライバル関係がスタートしたころであり、もはやその支持については確立した節もあったり。
こうしてみるとザックとの対戦を通じてSANADAはシングルプレイヤーとして確立されていったとも見えて、そういう意味ではSANADAにとって重要なカードであるということは言えそうですね。

 

所感雑感

というわけでザック対SANADAについてまとめでしたが、総合戦績は4試合して2勝2敗の互角の状態です。
どんなプロレスラーにおいても多かれ少なかれ出世試合と言われる試合は存在すると思うんですけど、SANADAに関して言えばやっぱり2018年G1のザック戦がそれにあたるのかなぁと改めて思ったりしました。
改めて新日本プロレスワールドにある試合は全部見たんですけど、どの試合を見てもゆやっぱり面白いんですよね、そういうクオリティも確立されているからこそG1後楽園→G1ダラスときて東京ドームでと順に舞台を上げていってるんでしょうし。
そういう意味だと、今度のドーム二連戦で普通に試合が楽しみなのはこのカードかもしれません。

きょうはこれまで、それでは