プロレス統計

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興行的見地から見るWRESTLE KINGDOM14の対戦カード

先日のWTLをもってメインとなる巡業も終わった新日本プロレス。
そこでの結果をもって遂に漸く1.4&1.5の東京ドーム2DAYSのカードが決定しましたね。

まぁ例のごとく、カードが発表になるとああだこうだが出るわけなんですが、何となく気になるのはその試合数。
近年の東京ドーム大会は10試合前後が組まれていたのに対して今回は両日ともに8試合ずつがラインナップ。
さらに初日はドームでは珍しい(というか久々の)多人数タッグマッチが3つ組まれているのに対し、2日目は第1,2試合のタッグマッチを除いてほぼすべてがシングルという少数精鋭型。
まぁ言ってみればアンバランスな構成なんですよね、初日の2つの8人タッグは2日目への前哨戦であるとはいえ。

これについて「なぜこういう構成になったのか?」を考えていたんですが、いろいろ数値を見てみるに主に興行時間に制約、もしくは理由があったのかなぁと思ったので過去のドーム大会を振り返りつつ解析です、

と思って「よっしゃ!解析するぞ!」と意気込んでたら先日トペ・スイシーダブログさんが既に似たような解析をしてましたね。
考えることはみんな同じか…となりつつちょっとデータ量を増やして補佐すべくまとめです。

 

集計したもの

今回は直近7年間の東京ドーム大会(WRESTLE KINGDOM、以下WK7~13)における試合数、開始時間、終了時間、および総試合時間を集計しました。
試合数・試合時間に関するデータはスクレイピングで集めた新日本プロレス公式サイトの試合結果ページから取得しています。
一方、大会の開始時間は公式サイトに記載がありますが終了時間に関しては記載がないため、過去のTwitter実況を検索することでおおよその終了時間(メイン後のマイク終了時間)をおおよそ見積もって用いています。

過去データまとめ

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WK7からWK13までの試合数(match#)、興行の開始時間(start)、終了時間(end)、総興行時間(event time)、総試合時間(match time)、試合時間に対する興行時間の比(event/match)のまとめがこちら。
当然ながらWK14については試合数と開始時間のみが分かっている状況ですね。

試合数に関しては、例年第0試合を含めて10または11試合だったことを考えると今年の両日8試合ずつは確かに少ないのは確かではあります。
また試合開始時間は15時開始だったWK8を除いてほとんどが16時開始だったんですが、WK14では一日目が17時から、二日目が15時からの開始が予定されています。

興行/試合時間推移

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興行・試合時間に関しての推移を積み上げ棒グラフで示したのがこちら。
オレンジ色は総試合時間(Total match time)、青色は試合以外の時間(non-match time、煽りVTRや入場、退場、マイクの時間等が相当)を示しており、これらを合わせた時間が総興行時間に相当します(試合以外の時間を興行時間ー試合時間で算出したともいう)。
それぞれの時間は棒グラフ内に白文字で、総興行時間は棒グラフ上に、〇時間を単位にして示しています。
いずれの年に関しても総興行時間は4~6時間ですがそのうち少なくとも2時間以上は試合以外の時間に充てられているのが常なようです。

試合以外の時間でいうと最も多かったのはWK8(2014年)でおよそ3時間弱が試合以外に充てられており、総興行時間に対する試合時間の割合(%でカッコ内に記述)は歴代最小の48%となっていました。
当時は私はiPPVで見ていたと記憶していますが、確かに入場時の演出などがえらい気合が入っていたて大会自体も長かった覚えがあります。
それ以降のWKでは、WK8が演出過多だったのか興行時間が長すぎたとの判断なのか、試合以外の時間を2時間半程度に抑えているようです。

試合時間に関してはWK12(2018年)が最も長く3時間半を占めており、総興行時間でも最長となる6時間超のロングイベントでした。
この年は終了時間がWK8以来4年ぶりに22時を超えており、ここでも「流石に長すぎた」との反省から翌年のWK13では試合時間が大幅短縮され、WK7に次ぐ最短タイの2時間半となる結果に、それで試合以外の時間は据え置きなのでここはもうこれ以上削れないんですかね。

こうしてみてみると、それが巧く働いているのかどうかはさておき、前年の興行時間の問題点が翌年の興行時間にフィードバックされているのが分かります。
これは逆に言えば今度のWK14においてもこれまでの大会での反省を踏まえた興行時間が設定・予定されているはずでもあります。

WK14興行時間予想

ここからはそのWK14の興行時間について予想してみたいと思います。
手法としては、WK7以降の東京ドーム大会で行われた試合の試合時間データから、試合人数(試合形式)別の平均試合時間を算出し、WK14両日対戦カードから予想される総試合時間をまず見積もります。
ここで「総試合時間と興行時間の比率が一定である」と仮定し、これまでの大会での興行時間と総試合時間の比の平均値を用いることで、予想興行時間も見積もることにしました。

WK14では8人タッグマッチが3試合、タッグマッチが3試合、シングルマッチが10試合の合計16試合が予定されています、過去の東京ドーム大会におけるそれぞれの平均試合時間はシングルが19分8秒、タッグが12分40秒、8人タッグが9分37秒でした。
(各タイトル別に平均試合時間出した方が正確では?という気もしましたけど過去のデータが少ない気がしたのであくまで試合形式・試合人数で判別しました)
さらに興行時間と試合時間の平均比はおよそ1.8でしたのでそれ等を用いて試合・興行時間を見積もったのが次の図。

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比較のために先ほどの図に付け足す形でWK14両日のデータを加えていますが、
1日目は試合時間2時間弱に対して興行時間は3時間半
2日目は試合時間2時間半程度に対して興行時間は4時間半程度と見積もられました。
うん、これは短すぎる!
流石に絶対これより長くはなるだろうという確信すら持てる感じですが、とはいえ二日目の興行時間はWK7と同程度でもあるんで、そう考えるとなくもないかもという気がしてくる。

WK14予想終了時間

ここでは「果たして上で見積もった興行時間はどの程度妥当なのか」ということを見積もった以上は考えねばならないのですが、興行的見地から無視できないのは興行の終了時間
かつて1994年に行われた全日本女子プロレスの東京ドーム大会「憧夢超女大戦」では全23試合という超ボリュームもあって興行時間は10時間近く、午後2時試合開始で終わったのが深夜0時近いという伝説的な大会だった*1とかで終電を逃すファンが続出したとか。
そういったのは極端な例ですが、いずれにしてもその日帰宅するファンのことも考えて、ある程度の時間帯に興行を終了するよう計画されているはずです。

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そこでWK7からWK13までの実際に興行が行われた時間帯を棒グラフで示したのが上のグラフになります。
各棒グラフは下端の位置が試合開始時刻、上端の位置が終了時刻となっており、それぞれの時間も青文字・赤文字で併記してあります。
参考として21時~22時の領域を灰色で塗り潰していますが、WK7~13の中でこの時間帯に興行が終了しなかったのはWK8とWK12のみであり、なおかつこれらの大会の翌年は大きく興行時間に変動が起きているのが分かります。
この事実を見るに新日本プロレスとしては東京ドーム大会を21時台に終了することをノルマとしている可能性が考えられます。

さてここで先ほど算出した興行時間と既に発表されている試合開始時間から見積もった、WK14の終了時刻は一日目が20時39分、二日目は19時21分が予想されています。
こうしてみると1日目に関しては、試合開始時間が17時といつもより遅いのもあって、見積もった興行時間では既に終了時刻が21時に近く、ここからさらに終了時間が伸びたとしても1時間が限度といったところでしょうか。
こういった制約を見るに、試合進行などに関しては予期できない部分が多いのも考慮して、新日本プロレスは開始時刻が遅い一日目に、比較的試合時間が短くなる多人数マッチを固めたのかもしれません。

こうなると「そもそもなぜ17時開始なのか?」というのも気になるところですけど、それこそ内部の人のみぞ知る事案。
考えうる理由としては「より多くの観客が訪れることができるようにした」とも考えられますが、例年16時から開始の第0試合を終わると本戦は17時開始だった覚えもあるので実質的開始時間は変わってないのかもしれません。

一方で二日目については試合終了が19時台とかなり早く、WK9と同程度となっています。
WK9が開催された2015年1月4日はWK14二日目と同じ日曜日開催であり、翌日が平日、しかも新年の仕事始めを控えていることもあり、その準備に追われることから早めに帰りたい人が多いであろうと考慮して早目の時間帯に終了する予定かも知れません。
もし、二日目が21時台まで興行が続くのであれば興行時間は6時間となり、歴代最長となったWK12と同規模となり、平均試合時間は24分程度と見積もられます。
シングルの平均試合時間が19分弱だったのでそれよりもより長い試合を行うことが可能ではありますね。
とはいえ2日連続の興行で6時間興行は果たして見る側が疲労困憊しないか・・・という感じも。

おまけ:中継予定時間との比較

ちなみにWK14はBS朝日4Kチャンネルで生中継が予定されています*2が、そのいずれも中継終了時刻は20時54分を予定しており、一日目に関してはこの終了予定時刻にかなり近いことが分かり、やはり21時前には終了する予定なのではとうかがえます。
一方で二日目については先ほど見積もった終了予定時刻よりもかなり長めに予定されていることから、案外21時近く、もしくは20時台ぐらいまで興行が続く可能性はあると思われます。

 

所感雑感

というわけで調査してみたら案外それっぽい結果が出て自分自身驚く解析でした。
まぁいずれの見積もりに関しても絵に描いた餅に過ぎないので実際にどれだけの興行時間になるのかはわかりませんが、あくまで「例年通りのクオリティの試合が並んだ場合」の見積もりとして参考までにとどめておいていただけると幸いです。
果たして私の予想が当たるのか、生中継枠が絶対なのかは1.4&1.5で分かりますのでその点も少し楽しみになってきました。

きょうはこれまで、それでは