プロレス統計

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平均動員比較でみる各団体各リーグ戦の興行的重要性

つい先日、いくつかのプロレス団体の「タッグリーグ」の平均動員について解析したわけですが、如何せん思い付きの突貫工事、見れば見るほど粗が見える、といった具合だったのでもうちょっとちゃんと解析を使用ということで、今回は少し手法を変えて、タッグリーグに加えてその他リーグ・トーナメントについても平均動員をそれぞれ調べてみました。

前回の解析

 

集計したもの

前回と同じく2012年1月から2019年10月まで日本国内で行われた全プロレス興行のデータ(CagematchからWebスクレイピングで取得したもの)を用いています。
で、前回からの変更点として、今回は各リーグ・トーナメントについてそのリーグ・トーナメントの名称を含む試合が行われた興行をそれぞれピックアップしています。
例えば新日本プロレスのヘビー級シングルリーグ戦であれば「G1 Climax」、全日本であれば「Champion Carnival」、ノアであれば「Global League」もしくは「N-1 Victory」といったのがそのリーグ戦の名称ですが、これらの名前が大会名に用いられていない場合も考慮して、各大会中で「○○リーグAブロック公式戦」といった名称の試合が行われていた大会をそのリーグ戦が行われている大会と規定して取得しました。
これによって前回は奇妙なデータになった大日本のタッグリーグについては十分に正しい?データが取れたと思います。

で、各リーグ・トーナメントでの平均動員と同年の全興行の全体平均を比較し%で表した数値をそれぞれプロットしています。
以下では各団体の略称としてNJPW(新日本プロレス)、AJPW(全日本プロレス)、NOAH(プロレスリングノア)、DDT(DDTプロレスリング)、Dragon Gate(ドラゴンゲート)、BJW(大日本プロレス)を用いています。

(ヘビー級)シングルリーグ戦

まず初めにヘビー級、またはその団体唯一のシングルリーグ戦についての結果。
ここではNJPWのG1 Climax、AJPWのチャンピオンカーニバル、NOAHのGlobal LeagueまたはN-1 Victory、DDTのKing of DDT、Dragon Gateのキング・オブ・ゲート、BJWの一騎当千を対象として集計しています。

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で、そのしゅうけいけっかがこちらですが明らかに目に付くのはNJPWの数値で他団体から逸脱した数値を維持し、全体平均の180%の平均動員を記録しています。
これまで散々「G1は新日本のドル箱興行」と言ってましたけど平均を見ても通常協業の倍近く入るんだからそれも道理だな・・・
他の団体を見てみると各団体100%を割る年もありますが100~120%あたりで推移しており、比較的動員が増えるリーグ戦であることは確かなようです。
変動で見るとAJPW、Dragon Gate、BJWは年によって変動が大きい感じがしますが、NOAHは90~110%程度を維持しており変動が小さいのが特徴でもあります。

全体としてみると「通常よりも動員は多くなる場合が多い」と言え、特に「NJPWでは通常の8割増しの動員が見込める」形態のようです。

ジュニアヘビー級シングルリーグ戦

続いてはジュニアヘビー級のシングルリーグですが、NJPWでいうBest of the Super Jr、AJPWでいうJunior Battle of Glory、NOAHでいうGlobal Junior Leagueに当たります。
他の団体はあまり定期開催していなかったと記憶しているのですが、もし何かありましたらコメントで教えてください。

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結果がこちらですがAJPWとNOAHは、ヘビー級シングルリーグ戦と同じく80~120%を変動している様子ですが、一方のNJPWでは近年向上してはいるものの50~60%程度と低い数値になっています。
そもそも「ジュニアヘビー級」というくくりも海外であまり一般的でなく、日本でもご覧のようにリーグ戦開催数も多くはないんですけど、そういう意味で出場メンバーに大きく制限があるリーグ戦であるということが影響しているのかもしれません。
AJPWやNOAHではその影響があまり大きくない一方でNJPWでは、ヘビー級と比較してもかなり差が大きい辺り、出場する選手の陣容に大きく影響を受けやすい環境にあるのかもしれません。

(ヘビー級)タッグリーグ戦

続いてはヘビー級、またはその団体唯一のタッグリーグ戦についての結果を。
ジュニアタッグリーグについては新日本も含めリーグ戦の形であまり開催数も少なかったので今回は省きます。
ここではNJPWはWorld Tag League、AJPWは世界最強タッグリーグ(Real World Tag League)、NOAHはGlobal Tag League、Dragon GateはSummer Tag Leagueなど、BJWは最侠タッグ(Saikyo Tag League)が対象です。

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結果はこちらですが、今回集計した5団体の内ドラゴンゲートは2016年まで開催し、2017年は少し名前を変えて開催しましたけど2018年以降は開催していないようで、数値的には90%程度で安定していたようですね。
そして前回もお伝えしたようにNJPWのタッグリーグは70%程度で一定の状態、近年はわずかに上昇傾向はありますが少なめと言っても過言ではないですかね。
AJPWは2012~2016年までは100%を中々超えることができず2017年は過去最高の110%程度に達してはいました。
傾向としては2013年以降は緩やかな上昇傾向であるとも言えます。
そしてNOAHは2014~2017年にかけて数値は100%を大きく超えていましたが2018年に急落し2019年も100%をわずかに下回る結果だったようです。
BJWは前回は不完全なデータで不可解な結果になっていましたが、今回のデータを見るに100%を割ったのは2014,2015年のみ、しかもわずかに下回った程度で、その後割合は上昇し、110%以上の動員になっているよう。
BJWの場合シングルのリーグ戦が結構変動が激しい一方でタッグでは安定して100%超えをしているあたり、タッグリーグに関しては定評がある、のかもしれません。

シングルトーナメント

最後はおまけに2010年代になんだか増えた気がするシングルトーナメントの集計。
ここではNJPWはNEW JAPAN CUP、AJPWは王道トーナメント、DDTはKING OF DDTトーナメントを対象としています。

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結果はこちらで、NJPWは大まかには減少傾向がみられ、2012年には130%近くだったのが2019年は90%程度まで減少してきています。
一方でAJPWでは(なぜか2018年はデータがないですけど、多分名称の細かいところが違ってた?)2013年の開始時は60%と低めでしたがその後上昇し、2016年をピークにその後はいずれも100%超え。
より好調なのがDDTで最初こそ50%程度だったのがその後急上昇し2015年には180%とNJPWのG1に近い割合になり、その後も100%超えを維持しています。
DDTの場合は年間最大ビッグマッチの両国大会などへの盛り上げもあるのか、うまく動員に繋がっている感じがありますかね。

 

所感雑感

というわけで、思い付きをブラッシュアップして一応きちんとした形にまとめてみました、最初からこうしろよとは思う、私も。
とはいえ、この全体平均との比較は結構面白いと思うので今後も頻繁に取り入れていきたいところです、何より団体間での比較に用いることができるのが良い。
いずれにしろ、こうしてみると団体ごとの強みとか弱みとか、つまりは特徴が見えてくるのは面白いところではあります。
もちろんこれらは単純に測定結果・集計結果であり「なぜそうなったのか」という理由はまた考えねばならんのですが、それについて議論していただけると幸いです。

きょうはこれまで、それでは