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平均動員比較でみる”タッグリーグ”の興行的重要性

年末といえばタッグリーグという印象が強いプロレス界ではありますが、タッグに注目があつまる時期だからこそよく話題に出るのは「なぜタッグは興行的に成功しないのか」という話。
特にこれは新日本プロレスマニアの中で度々語られることではありますが、これとの比較対象として「良い例」として挙げられるのが全日本プロレスや大日本プロレスのタッグ部門があります。

とはいうもののこういった議論も「おもしろい、いやおもしろくない」という主観で語られることが多いので今回はその議論の助けとすべく、興行的重要性という観点から各団体のタッグリーグと興行全体の平均動員を比較することでタッグリーグについて考えていきたいと思います。

集計したデータ

今回も以前集計した2012年1月から2019年10月までの日本国内で行われた全興行データを用いて集計を行いました。
この全興行データの内、イベント名に「Tag League」の文字列を含むものを今回は「タッグリーグが行われた大会・シリーズ」とみなして解析を行います。
日本国内のリーグ戦において、シングルリーグ戦はG1 CLIMAXやチャンピオンカーニバルなど特殊な名前で呼ばれることが多いんですが、ことタッグリーグに関しては結構どの団体も「○○タッグリーグ」の名称なので集計が簡単だったりします。
とはいえ、そういったネーミングでないタッグリーグ戦もあったとは思うので、そういった大会については除外されていることになります。
 
今回は各団体において2012年1月から2019年11月までの期間において、各年の「タッグリーグ」の興行の平均動員について、その年の興行全体の平均動員に対する割合を計算しています。
以下の集計では全体平均に対して何%多かったのか少なかったのかを紹介していますが、つまりその数値が0%以下であれば「全体平均よりも動員が少なかった」、0以上であれば「全体平均よりも動員が多かった」という結論になり、前者は興行的重要性が低く、後者が高いといった議論ができると考えられます。

集計結果

詳細は後述しますが継続して「タッグリーグ」を行っている5団体についての集計結果がこちら。
横軸を年、縦軸を上述した「全体平均とタッグリーグの平均動員の差」になっています。
灰色の点線が±0%の目印で、点線よりも下側が平均動員よりも低いことになりますね。
このままだとちょっと見づらいので以下では各団体に注目してみていきます。

新日本プロレス&ドラゴンゲート

まず初めに新日本プロレス(NJPW)とドラゴンゲート(Dragon Gate)の2団体。
どちらも数値はマイナスで全体平均と比較して低めの動員が記録されているようです。
ドラゴンゲートに関しては平均動員は-10~-20%を推移し、詳細は不明ですが2017年以降は「タッグリーグ」が行われていない模様。
一方新日本に関しては2012年こそ平均動員に近い動員を記録していますが2013年以降は-30%付近を推移し、2019年はさらに落ち込んで-40%。
とはいえ新日本ではヘビーとジュニアのタッグリーグがあり、ここではジュニアの大会の一部が集計されていることもあって余計に低い数値が出ているかもしれません。
いずれにしろこの両団体では「タッグリーグ」の興行的重要性は現状では低いといえるでしょう。

全日本プロレス

 続いでは全日本プロレス(AJPW)、現在まさに世界最強タッグリーグが開催中ですがそのデータはまだ集計されていません。
こうしてみると0%を上回ってプラスとなったのは2014年、2017年、2018年の3度のみになっています。
最も割合が低く、-40%近くとなった2013年はW-1勢の大量離脱によって大きく全日本自体の屋台骨が揺らいでいたころなのでその影響はありそうでもあります。
同じく2015年は、2013年同様主要メンバーの退団が相次いだ年であり、その影響がタッグリーグへもあったと見えます。
 
とはいえそういった諸問題を乗り越えて新体制がほぼ確立された2017年以降は全体平均よりも上の数値を記録しており、参戦チームを見てみると2017年からは諏訪魔&石川修司の暴走大巨人の参戦がスタートしており、リング上の陣容の充実も影響があったか、やはり所属選手の強豪がいると年間通しても注目度は上がりそう。

NOAH

ノアのタッグリーグはGLOBAL TAG LEAGUEの名前で開催されていますが、大きく+の数値となったのは2016,2017年のこと、鈴木軍が離脱する前後は結構混乱があった覚えがしていて、上述の全日本の推移をみるとここで大きく+になっているのは少し以外ではあります。
その後2018年に大きく数値を下げ、今年2019年は平均動員近くまで回復・・・というかなり不安定な推移になっているのはそれこそここ数年で大きく体制が変化したことを示しているかもしれません。

大日本プロレス

大日本は最侠タッグリーグ戦なんですけど「英語でどう表記してるんだ・・・?」と思ったらそのままSaikyoでした。
それはさておき同リーグ戦は1999年から継続開催のはずなんですけどデータを見てみると2014~2018までとなっているのでデータベースに大きく穴があるかもしれません。
しかも2018年は調べてみると準決勝の大会のみ集計されているので、不当に低い値になっているかもしれません。
なのでそれらを無視すると、2015~2017年にかけては他団体と比較してもかなり高い数値となっており、大日本においてはこのタッグリーグがそれこそドル箱となっていたということが見て取れます。
優勝チームを見てみると宮本裕向&木高イサミのヤンキー二丁拳銃に始まり、関本大介&岡林裕二が二連覇、そして2017年は新鋭の 橋本大地&神谷英慶が優勝ということでした。
あまり大日本をチェックしていない私でも「大日本のタッグ戦線は凄い」という印象があり、名タッグと呼ばれるチームも多い印象なので、年間通してもここで盛り上がるのは納得。

 

所感雑感

というわけで”タッグリーグ”に関するまとめでした、調べてみるとデータベースに穴があるので本来は違う方法でちゃんと集計すべきところではあるんですけど、それはまた次回。
まぁこうしたデータから何が言えるかはどう読み解くかによるんですけど、少なくとも新日本とドラゲーは現状「タッグリーグ」の重要性が低く、一方全日本や大日本に関しては傾向としても「タッグリーグ」の重要性が上がっていっている、もしくは高めていっているということが言えると思います。
まぁ本来は他のリーグとも比較を・・・と思ったんですけど上述のとおりシングルリーグは名前に規則性がないので少し手間がかかるのだ、でもまぁ2019年のデータがそろったらまたやりたいとこです(どんどんやることがたまっていく・・・)
 
きょうはこれまで、それでは