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バリエーションで振り返る”七色の”レインメーカー

どんたくシリーズは本格的に九州へ伝播する後半になっていますが皆様いかがでしょうか。
それはすなわち世間一般でいうゴールデンウィーク突入なわけですが、帰省の予定も他の用事もない私はのんびり映画見たり喫茶店の開拓したり、はたまた何か新たに解析したりして過ごそうかと思います。

それはさておき、我ながら驚くほどすっかり忘れていたんですがつい先日の後楽園大会でオカダさんが実に九ヶ月ぶりに新型のレインメーカーを公開しました。
でいわれて気づいたんですがこれがなんと”7”種類目のレインメーカーバリエーション、タイトルの通りの”七色”のレインメーカーが完成したわけです。
”レインメーカー”だけに7という数字はやっぱり特別、ということで今回は改めてレインメーカーバリエーションを振り返ります。

【この記事は2018年8月17日に投稿されたバリエーションで振り返るレインメーカーの追加、改訂記事です】

 

初期型レインメーカー

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(新日本プロレス公式サイトより引用)

初公開:2012年1月4日 対YOSHI-HASHI戦
相手を背中側から掴みかかり、相手の右手を自分の左手で取る。
そこから右手で相手の背中を押して回転させ、腕が伸び切って正対したところで掴んだ腕を引っ張って引き付け、その勢いでランニングネックブリーカーを決める。
言わずと知れた”幻”の技(黒歴史ともいう)で、後述の通り、次シリーズからは正調式のレインメーカーを使うようになったため、この技は上記のW凱旋試合と2018年のG1で行われた吉橋との公式戦の2回のみでしか使われていない。

ちなみにオカダは闘龍門時代に師匠であったウルティモドラゴンから「お前は動ける馬場になれ!」と言われていたらしく、ジャイアント馬場の得意技であった脳天唐竹割やビッグブーツ、そしてランニングネックブリーカーを若手時代から使っていた。
そういう意味で初期型レインメーカーは若手時代の得意技の正統発展型とも言える。

正調レインメーカー

(新日本プロレス公式サイトより引用)

初公開:2012年1月25日? 対本間
初公開以降から今日に至るまでのオカダの代名詞的技(バリエーション)でありメイン市ニッシャ―となっている、中継での初公開は2012.2.5
相手のバックを取ってから腕を引き寄せるまでは同一で、そこから自分も右足で踏み込みながら右腕を相手の首元に叩きつける。
ちなみに「腕を持ってのラリアット」と表現されることもあるが、踏み込む足や腕の使い方的には所謂アックスボンバーであり、2013年9月の小島とのIWGP戦を前にしてラリアットが得意な小島に対して「僕のレインメーカーはアックスボンバーですから」とインタビューで答えている。
ちなみにアックスボンバーの開発者であるハルク・ホーガンとはTNA遠征時代にバックステージでニアミスしていたはずなのでそこから発想を得た可能性もある。

本来は優れた体格と腕力で相手を吹き飛ばすラリアット・アックスボンバー系の技であるのに対して、レインメーカーの肝は引き寄せられた相手と踏み込んだ自分の相対速度の大きさにあり、それによって決して分厚いとは言えないオカダの体でも威力を発揮している、ような気がする。
逆に言えば、威力を増す(または相手の体勢を崩す)ための初期動作(相手の腕を取って回転させ引き寄せる)が大きな隙になり、ここで切り返されること多数。
むしろ「レインメーカーをどう防ぐか、切り返すか」が相手の腕の見せ所になっている現状もある。

バックスライド式レインメーカー

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(新日本プロレスワールドより引用)

初公開:2013年10月14日、対棚橋戦
上記の通りオカダの決め技として使い続けられ、さらには大きな初期動作もあってか対策を取られることが多くなったレインメーカー。
特に棚橋は対オカダ戦の数も多勝ったためにこの試合でもなかなか決めることができない展開が続いていた。
そこで切り出したのが相手の意表を突くこの技。
相手の背面に回るまでは同じですが所謂バックスライド(逆さ抑え込み)と同じように背中合わせに立ち、左手を相手の右腕に絡ませる。
そこから自分が回り込みながら相手を回転させ、手を掴んだまま相手と正対する形に入り、レインメーカーを打ち込む。
正調式が自分が動かず相手の姿勢を回転+前後の動きで崩すのに対して、こちらの場合は自分も大きく動くことになる。
「バックスライド」とは所謂逆さ抑え込みの英語名だが、最初の背中合わせの状態がその丸め込みの初期状態に似ていることからバックスライド式と呼ばれる。

この後のアンダーソン戦でも決め手になった技ではあるがそれ以降の使用はない。
正調のレインメーカーの威力の要は上述の通り相手の姿勢を崩して引き寄せること、そして自分の踏み込みである。
その一方でバックスライド式は相手の回転で姿勢を崩すことはできるものの、相手の引き寄せが不十分、かつ自分が動き回るために踏み込みの”溜め”ができないこともあり、インパクトが不十分になりがちな面があるためだろうか。

逆さ抑え込み派生レインメーカー

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(新日本プロレスワールド試合映像より引用)

初公開:2014年8月10日、対中邑真輔
上記のバックスライド式はあくまで技の入りがバックスライド=逆さ抑え込みに似ていただけだったが、こちらの場合は一度逆さ抑え込みでカウントを取り、それをはねのけたとみるや、相手の腕を離さず、体を起こしたところにレインメーカーを打つ。
通常のレインメーカーが相手を横回転させての技ならこちらは相手が縦方向に回転するため、”縦回転式”レインメーカーともいえるだろうか。

こちらの場合はバックスライド式と比較して自分の移動も逆さ抑え込みから立ち上がるぐらいで踏み込みが十分なものになるためインパクトは十分。
しかし使用頻度は少なめ、これ以外だといつかのAJ戦ぐらい?

ショートレンジレインメーカー

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(新日本プロレスワールド試合映像より引用)

初公開:2016年1月4日、棚橋戦?
上記のIWGP戦で公開、と言っても上の中邑戦でもそれっぽいのを出してたり、それ以外でも似たようなものは前から使っていた気はする。
最初の相手の体制の崩しを兼ねた回転動作を省いた簡易型、相手の腕を掴んで引き寄せ、アックスボンバーを打つ。
最初は上記写真のように一度レインメーカーを防がれても手を放さず、無理やりに放つという形だったが、そのうち咄嗟のスキを見て手を掴んではなったり、腕を掴んで引きずり回してから打ったりとバリエーションが増えた。
ある意味でオカダのV12達成期における象徴的な技でもある。
しかしフィニッシュになることは少なく、あくまで簡易型として正調式へのつなぎ技である。
結果としてレインメーカーの乱発にもなり、一発の重みが減るなんという声もあったからか最近では温存気味。

ローリングレインメーカー

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(新日本プロレスワールドより引用)

初公開:2018年7月27日 対YOSHI-HASHI戦
コスチュームやイメージカラーなどを含めて大きくイメージチェンジを図っていたこの年のG1のオカダ。
この前後から所謂ディスカスラリアット(回転式のラリアット)を使っていたオカダさんだが、それにアレンジを加えることで完成した。
相手のバックを取るまでは同じだが、相手の右手を右手(成長と逆の手)で持ち、手を引っ張って相手を反転させ(成長とは逆回転になる)、そこから自身も回転しながら踏み込んでアックスボンバーを打つ。
ここまでくると何をもって「レインメーカー」とするかも悩みどころではあるものの、「相手の手を取る」「クローズライン系の打撃」に加えて「回転動作」が入ってる当たりショートレンジよりもよっぽどレインメーカーっぽいよなぁと思ったりする。
一時は上記ショートレンジ式をフィニッシャー前のつなぎに使っていたことも多かったが、現在ではこちらを使うことも多い。
さらには乱戦の中で用いてチェンジオブペースにすることも。

コブラクラッチ式レインメーカー

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(新日本プロレスワールドより引用)

 

初公開:2019年4月23日、対BUSHI(&SANADA)
2017年11月30日にオカダが新技としてコブラホールド、コブラクラッチを使い始めてから予想されていたものの約1年半の時を経て解禁されたレインメーカー。
相手をスタンディングのコブラクラッチで締め付けた後、頸動脈を押さえていた右手を抜くと同時に相手の左手を掴んだ左手を引っ張って回転、すかさずレインメーカーをきめる。
他のレインメーカーが相手の意表を突く、もしくは相手をグロッキーにさせたうえで決めなければならない技なのに対して、コブラクラッチ式は相手を締めつけて動きを鈍らせてから行うという意味でより隙の少ない、完成度の高い技であると言える。
さらに相手の体勢の崩しとなる回転も、重心の近くにある腰回りで回転をかけるのでなく、より遠い肩回りでかけることによってより効果的になっている気がいなくもない。

 

所感雑感

ということで遂に”七色”と化したレインメーカーバリエーションでした。
初期型が公開されてから実に7年弱ついにここまで増えたか・・・と思うと感慨深いような。
結果として今回公開したコブラクラッチ式は本番となるタイトルマッチ(SANADA戦)に向けての試し切り的な感じだったんですけど、思えば今の正調式も棚橋とのIWGP戦に受けて本間に対して試し切りしたのが初ですし、状況としては似てるのがなんか今回改めて調べて面白いとこです。

そして今回は、今までも細かい修正・訂正なんかはやってきましたけど、改めて投稿するような改訂記事、言ってみればリメイクは初めてになりますね。
改めて調べるとひどい誤字だらけだったりして困惑したので今後改訂だったり修正もやっていかねば…

きょうはこれまで、それでは