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試合時間などで比較する新日本プロレスの選手たち

さて新日本的にはG1前の最後のシリーズKIZUNAロードが開始しているわけですけど、大体の選手にとってはようやく口を開けるタイミングということでそれぞれに自己主張をしているわけですが、
その中で棚橋は先日のケニーの会見について多少なりとも反論、もしくは挑戦布告をしている感じ。
棚橋といえばケニーのヘビー級転向後最初の標的で言わば”踏み台”にされた間柄なわけですが、その後ぱったりと対戦はない一方でお互いに敵意むき出しのコメントの応酬があったりする間柄でもあったりするんですよね。
個人的な思いもあれど、やはり対戦経験が少ない関係に加えて今やヘビー級王者になったケニーに絡むのは棚橋にとっても大きい上に状況的に追い風を起こせる状況、ってのもコメントに現れてるんですかね。

とはいえ、先日の記事で書いたようにケニーが「日本人は楽な試合をしている」と発言したとされていることが実は誤訳だったんじゃないか説を唱えていて「棚橋それはどうなん・・・?」となってるのも事実なんですよね。
とはいえ、なぜこうも波紋が広がったかというと、ケニーの真意や人柄はさておき「そういうこと言いそう」な雰囲気はある、ってのはあると思います。
実際に自分も会見の映像を見るまでケニーの言わんとすることを調べるべくいろいろ分析してましたから。

ということで今回はケニー発言誤訳説を見出したことで半ばお蔵入りしかけたもののもったいなかったので公開する、新日本プロレスの試合時間に関するまとめです。

 

集計した数値

今回集計したのは試合時間、期間としては2012年から2018年の大阪城大会までの間に新日本プロレスで行われた全試合(試合時間の記載があるもののみ)を対象に集計しています。
とはいえデータ自体は依然試合結果などを集計する際についでに集計していたものの再利用で、各試合について戦った選手及び試合時間がわかっているので
各選手の1年間の総試合時間、平均試合時間、そして総試合数などについてまとめました。
試合数についてはこれまでにも何度かまとめている気がしますが直近までのデータということで(下の記事がことしの2月に書いたもので、2012-2017年までのデータ)。
また、今回は上のケニー発言の裏取り的な側面もあったので各ユニットのリーダー格の選手たち、オカダ・カズチカ、内藤哲也、ケニー・オメガ、棚橋弘至、鈴木みのるについてのみ集計しています。
おそらく年末にはまた1年間のまとめのデータを出すことになるとは思いますのでご了承を。

www.pwanalysis.com

2018年のこれまでの試合時間

名前 総時間 試合数 平均 中央値 最長
オカダ・カズチカ 15時間45分34秒 56 16分53秒 14分19秒 1時間04分50秒
内藤 哲也 15時間06分36秒 67 13分31秒 12分56秒 34分26秒
ケニー・オメガ 5時間18分19秒 14 22分44秒 19分19秒 1時間04分50秒
棚橋 弘至 10時間47分21秒 40 16分11秒 14分35秒 34分36秒
鈴木 みのる 13時間15分54秒 61 13分02秒 12分41秒 32分28秒
全体 117時間32分41秒 574 12分17秒 11分01秒 1時間04分50秒

いきなりぱぱぱっとまとめたのが上の表になりますが、参考として一番下の行に新日本で行われた全試合に関するデータも乗っけてあります。
とりあえず集計したのは試合の総時間、試合数、平均、中央値(長さ順に並べたときに真ん中に来る数値)、そして最長試合時間です。

総試合時間及び総試合数に関しては、流石にオカダ、内藤のトップ2は今年こそ多少オフもあるとはいえ5人の中でも頭一つ抜けており、それにみのる、少し離れた棚橋が追う形。
それに対すると今年のケニーは総試合時間に関してはオカダ内藤の1/3(しかもその内時間はこないだの1試合という)、試合数は1/4~1/5という圧倒的少なさ。
これはそれこそ巡業帯同などが少なく、スポット参戦に従事している証拠であり、先日公開された内藤さんのファミレス記事での反論の根拠になる部分って感じ。

その一方で平均・中央値では他4人及び全体の数値とは明らかに差が出ています。
これは上記の通り、ビッグマッチ中心のスポット参戦ではあるもののそれによって1試合1試合の試合時間自体は長くなっていることがうかがえます。
こういうデータを見ると、ケニーなら「俺は試合数こそ少ないが1試合ごとにこれだけボリュームのある試合をしているぞ!」ということを誇示しそうだな、という気もしてそれと比較して「日本人は・・・」という発言になった、というかそういう訳に説得力を持たせることになったのかな、と思います。

果たして「どっちがより努力しているのか」はさておき、データとしてはこんな感じです。

ここ数年の試合時間推移

ここまでで大体ケニー発言について調べてみたデータなのですが、そもそも試合時間について興味がわいたので追加で試合時間の推移について調べてみました。

総試合時間

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BIG5の総試合時間推移(2012~2017)

上の図は上記5人の総試合時間の2012年から2017年の推移(縦軸の単位は秒)、2018年は明らかに少ないので省略。
こうしてみるとオカダさんは安定して高く、内藤さんは2016年以降増加、棚橋は2016年以降減少、みのるはノア遠征時の15・16年に谷があるものの現在は依然と同じ程度の数値に戻ってるって感じ。
で、ケニーはというと12-14年のあいだももちょくちょく参戦してはいたのですけど、一気に増加したのは本格参戦した2015年、そしてヘビー級転向した2016年には棚橋に匹敵するレベルにまで試合時間が増えています。

しかし、どこぞのインタビューで「試合しすぎた・・・」と弱音を吐いていたのが記憶にありますが、それもあってか2017年は一気に試合時間が減少、スポット参戦主体に切り替えていったみたいですね。
2018年もこれまでに5時間弱=18,000秒、G1があるとしてもこのペースでいくと総試合時間は40,000ぐらいで去年をさらに下回る可能性もありますね。

平均

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BIG5の平均試合時間の2012-2018年の推移

上の図は上記5人の平均試合時間の推移、ここでは今年のこれまでのデータも入れ、さらには全体の平均も入れています。
こうしてみると緑色のケニーの試合時間が2013年以降右肩上がりで2018年は圧倒的に増えてるってことがわかりますね。
このあたりやはり、試合数自体は絞るもののその代わり試合はじっくり、クオリティの高いものをやる、という方向性をケニーがとりはじめているのは確かかも。
とはいえ他の4選手も2018年については増加傾向にあるし、全体平均をみても試合時間が伸びてる傾向なんですよね。

その他選手の試合時間比較

ここまでは現在のトップ選手5人についてですが何となく気になった組み合わせでもいろいろ集計してみたのでついでに。

BULLET CLUBリーダー(デヴィット、AJ、ケニー)

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バレクラ3リーダーの(左)総試合時間(右)平均試合時間

日本人と比較すると確かに少ないけどこれまでのリーダーと比較するとどうなん?と思って調べた。

結果を見ると総試合時間も平均試合時間もケニーが一番多いという結果に。
ちなみにデヴィットは2014年の4月まで、AJは2016年の1月まで参戦なので総試合時間はかなり短くなっちゃってますね。
とはいえケニーは2016年にかなり試合時間が長いものの、2017年は13年のデヴィットクラスになっていて、この感じだと2018年は2015年のAJぐらいに落ちつくのかな。
そう思うと結構普通?というかまぁ常識的といえば常識的な働き具合なんだろうか。

新日本の若手ズ(ジュース、EVIL、SANADA、吉橋)

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ジュース、EVIL、SANADA、吉橋の(左)総試合時間、(右)平均試合時間

続いて、トップではないけど結構期待されてる勢としてジュース、EVIL、SANADA、吉橋。
ジェイも入れようかと思ったんですけど如何せん参戦も多くないからなぁ。
総試合時間に関して言えば2015年にEVILとジュースは参戦開始し(10月ぐらいのはず)、翌年にはEVILが吉橋を超え、その翌年2017年にはさらにSANADAとジュースがわずかとはいえ試合時間で上回る結果に。
試合時間=搭乗時間≒目立つ時間ではあるのでジュース、EVIL、SANADAの増加はやっぱり売り出し中って感じがありますかね。
そういう意味でいうとここ数年徐々に試合時間が減りつつある吉橋はちょっと黄色信号かなぁ。

平均試合時間でいうと各人ともにNJCとかがあったおかげか現状大幅増加中、とはいえなぜか2017年にSANADA以外は谷をむかえているのが不思議だ、タッグ戦線に注力してた・・・わけでもないよな、G1にも出たしEVILはタイトルマッチもあったのに。

ジュニア勢(ヒロム、KUSHIDA、田口、デスペ、YOH、SHO)

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ジュニア勢(ヒロム、KUSHIDA、田口、デスペ、YOH、SHO)の(左)総試合時間 (右)平均試合時間

続いてBOSJ25を大いに盛り上げたジュニア勢。
当たり前ですがYOHSHOは2017年から参戦、しかも2017年はジュニアタッグのタイトルマッチに絡みっぱなしだったので平均としても他の選手より高い数値が出てますが2018年は平均試合時間が落ち着いた形に、逆にシングルのタイトルマッチがないためか少なめですかね。
総試合時間の傾向を見ると2015年以後から特にKUSHIDA、田口両名の試合時間が増えてジュニアを支えていたのがわかります。
その一方で2017年にはヒロムの登場、デスペのリターンがあり一気にそれを追い越せ追い抜けな感じに。
KUSHIDAの総試合時間が減っているのは海外遠征が増えてるってことなのかな(集計データに海外での試合情報は入っていないので)

平均におけるデスペの2015年のピークは試合数が少なすぎるゆえのノイズでしょう(1.5にライガーとやってなかったっけ)
KUSHIDAがここ数年平均試合時間が右肩上がり、ヒロムも16年は試合が少なかったので多く見積もられていますが、それでも減ったように見える2017年でもジュニアトップクラスの平均試合時間。

所感雑感

というわけで、ケニーの発言をきっかけにした試合時間のまとめでした。
こうしてまとめてみるとトップ選手の中ではケニーだけ全然別方針をとってる感じはありますね、それが外国人だからあのかどうかはさておき。
まぁ試合時間が長いからと言ってそれがきつい試合なのか、さらに言えばいい試合なのかはわからないわけですが、それらの一つの指標として参考にしてもらえたらな、と思います。

一応新日本に参戦した全選手のデータはあるので、なにかリクエストがあればお気軽にコメントでもツイッターでも。

きょうはこれまで、それでは


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